NHK・Eテレ「100分de名著 ヘミングウェイスペシャル」に出演中の著者が、ポー、メルヴィル、フィッツジェラルドらの作品に挑む!都甲幸治『教養としてのアメリカ短篇小説』、10月15日(金)発売
度重なる戦争の歴史、色濃く残る奴隷制の影響、「禁酒法」をはじめとしたアルコールとの関係……独自の背景を踏まえ、アメリカ文学を代表する作家たちの短篇小説を読み解く!
早稲田大学文学学術院教授(翻訳家・アメリカ文学研究者)の都甲幸治さんによる『教養としてのアメリカ短篇小説』が10月15日(金)に発売となります。
先ごろ出版された『ノーベル文学賞のすべて』(※1)で編著をつとめた都甲幸治さん。自身も「今まで自分はマイノリティ文学に特化して読んできた」(※2)と書いているように、ジュノ・ディアス(※3)の翻訳などで知られるアメリカ文学研究者です。
本書では、そんな「世界文学の案内人」である都甲さんが、エドガー・アラン・ポーやマーク・トウェインなど、アメリカ文学の「王道」ともいえる作家の短篇小説を読み解いていきます。
※1 立東舎、2021年9月刊
※2 本書「おわりに」より
※3 ドミニカ共和国生まれでアメリカ合衆国に移民した小説家
各章は、解説する短篇小説のあらすじを紹介した後、作家の経歴と、その作品を理解するための背景知識などを解説し、また小説の具体的な記述に戻って細部を読み解いていく構成になっています。アメリカ文学を理解するための背景知識は、戦争の歴史や人種差別からアルコール依存症の問題まで多岐にわたります。
たとえばエドガー・アラン・ポーの「黒猫」を扱う第1講では、この作品における、酒に溺れて理性が崩壊していく主人公の造形と猫の黒さがもたらす効果について考察。その際、アメリカ合衆国におけるアルコール依存症の問題や、ノーベル賞作家トニ・モリスン(※4)が『白さと想像力』という著作で展開している「アメリカ文学では表面上まったく人種問題と関係なく見える作品でも色のイメージが人種のほのめかしになっている」という議論などを参照しながら、「復讐されることへの不安」という主題を見いだしていきます。
※4 アメリカの黒人女性として初めてノーベル文学賞を受賞した作家。『青い目がほしい』『ビラヴド』などの作品で知られる。『白さと想像力』は、文学における黒人表象についてのハーバード大学での講演をベースにしたアメリカ文学論。
取り上げる作品は、日本語訳が文庫などで手に入るものばかり。講義の配列は作家の生年順としているので、19世紀から現在にいたるアメリカ文学史のおおまかな見取り図を把握することもできる内容になっています。
著者の都甲幸治さんは現在、NHK・Eテレで月曜午後10時25分から放送中の「100分de名著 ヘミングウェイ スペシャル」(10月期)に指南役として出演し、『老人と海』『敗れざる者』『移動祝祭日』について解説しています。本書にはヘミングウェイの短篇「白い象のような山並み」を扱った章もあり、番組を見て著者に興味を持った方にもぜひ手に取っていただきたい一冊です。
第1講 暴力と不安の連鎖――ポー「黒猫」
第2講 屹立する剝き出しの身体――メルヴィル「書記バートルビー――ウォール街の物語」
第3講 英雄の物語ではない戦争――トウェイン「失敗に終わった行軍の個人史」
第4講 共同体から疎外された者の祈り――アンダソン「手」
第5講 セルフ・コントロールの幻想――フィッツジェラルド「バビロン再訪」
第6講 存在の基盤が崩れるとき――フォークナー「孫むすめ」
第7講 妊娠をめぐる「対決」――ヘミングウェイ「白い象のような山並み」
第8講 人生に立ち向かうためのユーモア――サリンジャー「エズメに――愛と悲惨をこめて」
第9講 美しい世界と、その崩壊――カポーティー「クリスマスの思い出」
第10講 救いなき人生と、噴出する愛――オコナー「善人はなかなかいない」
第11講 言葉をもたなかった者たちの文学――カーヴァー「足もとに流れる深い川」
第12講 ヴェトナム戦争というトラウマ――オブライエン「レイニー河で」
第13講 愛の可能性の断片――リー「優しさ」
1969年、福岡県生まれ。翻訳家・アメリカ文学研究者、早稲田大学文学学術院教授。東京大学大学院総合文化研究科表象文化論専攻修士課程修了。翻訳家を経て、同大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻(北米)博士課程修了。主著に『21世紀の世界文学30冊を読む』(新潮社)、『狂喜の読み屋』(共和国)、『「街小説」読みくらべ』(立東舎)、『世界文学の21世紀』(Pヴァイン)、訳書にチャールズ・ブコウスキー『勝手に生きろ!』(河出文庫)、ジュノ・ディアス『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』(新潮社)、共著に『ノーベル文学賞のすべて』(立東舎)、『引き裂かれた世界の文学案内――境界から響く声たち』(大修館書店)など。
発売日:2021年10月15日
定価:1,870円(本体1,700円+税10%)
判型:四六判・並製
ページ数:288ページ
ISBN:978-4-14-081871-8
URL:Amazon→https://www.amazon.co.jp/dp/4140818719/ref
楽天ブックス→https://books.rakuten.co.jp/rb/16836641/
honto→https://honto.jp/netstore/pd-book_31147522.html
先ごろ出版された『ノーベル文学賞のすべて』(※1)で編著をつとめた都甲幸治さん。自身も「今まで自分はマイノリティ文学に特化して読んできた」(※2)と書いているように、ジュノ・ディアス(※3)の翻訳などで知られるアメリカ文学研究者です。
本書では、そんな「世界文学の案内人」である都甲さんが、エドガー・アラン・ポーやマーク・トウェインなど、アメリカ文学の「王道」ともいえる作家の短篇小説を読み解いていきます。
※1 立東舎、2021年9月刊
※2 本書「おわりに」より
※3 ドミニカ共和国生まれでアメリカ合衆国に移民した小説家
- アメリカ文学をより深く理解する
各章は、解説する短篇小説のあらすじを紹介した後、作家の経歴と、その作品を理解するための背景知識などを解説し、また小説の具体的な記述に戻って細部を読み解いていく構成になっています。アメリカ文学を理解するための背景知識は、戦争の歴史や人種差別からアルコール依存症の問題まで多岐にわたります。
たとえばエドガー・アラン・ポーの「黒猫」を扱う第1講では、この作品における、酒に溺れて理性が崩壊していく主人公の造形と猫の黒さがもたらす効果について考察。その際、アメリカ合衆国におけるアルコール依存症の問題や、ノーベル賞作家トニ・モリスン(※4)が『白さと想像力』という著作で展開している「アメリカ文学では表面上まったく人種問題と関係なく見える作品でも色のイメージが人種のほのめかしになっている」という議論などを参照しながら、「復讐されることへの不安」という主題を見いだしていきます。
※4 アメリカの黒人女性として初めてノーベル文学賞を受賞した作家。『青い目がほしい』『ビラヴド』などの作品で知られる。『白さと想像力』は、文学における黒人表象についてのハーバード大学での講演をベースにしたアメリカ文学論。
取り上げる作品は、日本語訳が文庫などで手に入るものばかり。講義の配列は作家の生年順としているので、19世紀から現在にいたるアメリカ文学史のおおまかな見取り図を把握することもできる内容になっています。
著者の都甲幸治さんは現在、NHK・Eテレで月曜午後10時25分から放送中の「100分de名著 ヘミングウェイ スペシャル」(10月期)に指南役として出演し、『老人と海』『敗れざる者』『移動祝祭日』について解説しています。本書にはヘミングウェイの短篇「白い象のような山並み」を扱った章もあり、番組を見て著者に興味を持った方にもぜひ手に取っていただきたい一冊です。
- 目次
第1講 暴力と不安の連鎖――ポー「黒猫」
第2講 屹立する剝き出しの身体――メルヴィル「書記バートルビー――ウォール街の物語」
第3講 英雄の物語ではない戦争――トウェイン「失敗に終わった行軍の個人史」
第4講 共同体から疎外された者の祈り――アンダソン「手」
第5講 セルフ・コントロールの幻想――フィッツジェラルド「バビロン再訪」
第6講 存在の基盤が崩れるとき――フォークナー「孫むすめ」
第7講 妊娠をめぐる「対決」――ヘミングウェイ「白い象のような山並み」
第8講 人生に立ち向かうためのユーモア――サリンジャー「エズメに――愛と悲惨をこめて」
第9講 美しい世界と、その崩壊――カポーティー「クリスマスの思い出」
第10講 救いなき人生と、噴出する愛――オコナー「善人はなかなかいない」
第11講 言葉をもたなかった者たちの文学――カーヴァー「足もとに流れる深い川」
第12講 ヴェトナム戦争というトラウマ――オブライエン「レイニー河で」
第13講 愛の可能性の断片――リー「優しさ」
- 著者情報
都甲幸治(とこう・こうじ)
1969年、福岡県生まれ。翻訳家・アメリカ文学研究者、早稲田大学文学学術院教授。東京大学大学院総合文化研究科表象文化論専攻修士課程修了。翻訳家を経て、同大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻(北米)博士課程修了。主著に『21世紀の世界文学30冊を読む』(新潮社)、『狂喜の読み屋』(共和国)、『「街小説」読みくらべ』(立東舎)、『世界文学の21世紀』(Pヴァイン)、訳書にチャールズ・ブコウスキー『勝手に生きろ!』(河出文庫)、ジュノ・ディアス『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』(新潮社)、共著に『ノーベル文学賞のすべて』(立東舎)、『引き裂かれた世界の文学案内――境界から響く声たち』(大修館書店)など。
- 商品情報
発売日:2021年10月15日
定価:1,870円(本体1,700円+税10%)
判型:四六判・並製
ページ数:288ページ
ISBN:978-4-14-081871-8
URL:Amazon→https://www.amazon.co.jp/dp/4140818719/ref
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