フローレンス、子の不登校などに伴う「休暇・休職制度」を新設
こどもが学校に行かない選択をしても、親がキャリアを諦めない社会へ。社員有志のプロジェクト発案で実現
認定NPO法人フローレンス(東京都千代田区、代表理事:赤坂緑)は、2026年4月1日付の人事制度改定において、こどもの不登校などでサポートが必要な際に利用できる「休暇・休職制度」を新設・拡充しました。
文部科学省の最新調査では、全国の小・中学生における不登校児童生徒数は過去最多の35万人を超え、12年連続で増加しています(※1)。こどもが不登校になった際、働く親が働きながらのケアに困難を極め、最終的に「仕事を辞めざるを得ない(不登校離職)」という深刻な事態が社会問題となっています。 フローレンスは、「こどもが不登校になっても親が仕事を辞めずに働き続けられる社会」を実現するための第一歩として、まずは自らがその働き方を体現し、社会の「新しいあたりまえ」をつくれるよう取り組んでいきます。
※1 文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(2025年10月発表)

社会的背景:35万人超の不登校時代、見落とされがちな「親の就業継続」の課題
不登校はどの家庭にも起こり得る身近な社会課題です。現在、小学校では約44人に1人、中学校では約15人に1人いる計算になります(※2)。 不登校になった直後、こどもには「自宅でゆっくりと傷を回復する時間」が必要なことも多く、同時に親はスクールカウンセラーや医療機関との面談、新たな学びの場(フリースクール等)の探索など、多大な労力を要します。しかし、これら専門機関の多くは平日に稼働しており、親は「仕事」と「こどものケア」の二者択一を迫られます。
「こどもの不登校で親の約4人に1人が離職・休職を経験」とのデータもあり(※3)、「不登校離職」は、家庭の経済的困窮や社会的孤立といった二次被害を招くリスクを孕んでいます。
※2 文部科学省「事業主・労働者の皆さまへ~不登校の現状と対策について~」
※3 NPO法人キーデザイン 2024年2月調査
新制度の概要:子の不登校などさまざまな状況を支える独自の休暇・休業制度に
今回の制度改定では、病気・怪我にとどまらない、子の不登校をはじめとする、さまざまなこどもの状態を支えるために、以下の2点を拡大・新設しました。不登校と同様に保護者に通院等の負荷がかかる傷病や障害、発達支援まで対象を広げたことも特徴です。
「子の看護等休暇」の取得事由を独自に拡大
子の看護等休暇の要件に「不登校や障害、または発達支援のサポートが必要な場合」を追加し、法律で定められた看護(病気・怪我等)の範囲から拡大しました。
「子のサポート休職」制度を新設
子の不登校や傷病、障害、発達支援のサポートのために長期の休みが必要な場合、最大1年間取得できる休職制度を新設しました。中学校卒業までの子を養育するスタッフが対象で、状況が落ち着いたときはスムーズに職場に復帰できる体制を整えます。
※国の「介護休業」制度は原則として「常時介護を必要とする状態」が対象です。そのため、「子の不登校の対応」や「発達支援の付き添い」などは法律上の介護休業の対象にならない場合があります。また、介護休業の取得可能日数は、対象家族1人につき「通算93日まで」と法定上限が定められています。 そのためフローレンスでは、既存の介護休業制度を柔軟に運用しつつ、それとは別に最大1年間取得できる独自の休職制度を新設しました。
制度の特徴:社内有志の「不登校イシュープロジェクト」による提案で実現
本制度は、社内の当事者スタッフや課題意識を持つ有志による「不登校イシュープロジェクト」の提案によって実現しました。
フローレンスにはプロジェクトメンバーが中心となった、不登校の子を持つ親同士が交流会やチャットなどを通じてつながる「親の会」コミュニティもあります。一般的に、周囲に打ち明けづらく家庭内に抱え込みがちな不登校の悩みを、安心・安全な当事者コミュニティで共有し、情報交換やピアサポートを行える環境が組織文化として根付いています。
活動の中で浮き彫りになった「平日の日中に発生する多大なサポート工数」や「キャリア継続への不安」という切実な声が制度化につながりました。
プロジェクトリーダー/陣内一喜のコメント
不登校になった瞬間、家庭の自己責任として孤立してしまう現状には大きな課題があると感じています。親子が過度な負担(時間、費用、精神的負荷など)なく、こども一人一人に合った多様な選択肢に出会える社会を築いていきたいです。
元当事者の社員の声
不登校のこどもを2人育てました。フローレンスでなければ仕事と子育ての両立は難しかったですが、それでも休暇の取得や時間のやりくりは知恵を絞りました。保護者をサポートすることで、こどもが不登校という選択をすることに罪悪感で苦しむことも減らせると思います。このような制度として反映してくれたプロジェクトや人事の皆さんに心から感謝しています。
代表理事 赤坂緑コメント

学校以外の選択肢が極端に少ない日本社会において、不登校はこどもにとって必要な一つの「選択肢」です。しかし今の社会構造では、その選択をした瞬間に親がキャリアを断念せざるを得ない状況があります。
フローレンスはこれまで、訪問型病児保育や障害児保育を通じて、親子のピンチを支えるセーフティネットを築いてきました。今回の人事制度改定は、NPO自らが働き方を変えることで、社会の空気を変えていく一歩であると考えています。一法人での実践に留めず、全国で「こどもが不登校になっても、親が働き続けられる」ことがあたりまえとなるよう、政策提言や文化創造にも繋げてまいります。
認定NPO法人フローレンスについて
こどもたちのために、日本を変える。フローレンスは未来を担うこどもたちを社会で育むために、事業開発、政策提言、文化創造の3つの軸で、社会課題解決と価値創造をおこなう国内最大規模のNPO法人です。

日本初の訪問型・共済型病児保育事業団体として2004年に設立し、ひとり親支援とこどもの貧困防止、こどもの虐待や親子の孤立防止、障害児家庭支援など、日本のこども・子育ての領域で総合的な活動をおこなっています。
2015年度に「小規模認可保育所」として国策化された「おうち保育園」をはじめとする保育事業、障害児家庭に保育や支援を届ける「フローレンスの障害児保育・支援」、こどもの虐待問題解決のため「フローレンスのにんしん相談・赤ちゃん縁組」、こどもの貧困を解決する「こども宅食」などの取り組みを全国に広め、たくさんの仲間とともに、社会に「新しいあたりまえ」をつくることを目指しています。
▶フローレンスコーポレートサイトURL: https://florence.or.jp/
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