【奈良市移住者インタビュー】千年の歴史を抱く奈良で、とびきりの一日が芽吹く。ハーブとともに暮らす大西真実江さん

奈良市移住ポータルサイト「ならりずむ。」にて公開

奈良市役所

ヨモギを蒸留する様子

佐保路

1000年以上昔の奈良時代。貴族の邸宅地として栄え、今も聖武天皇陵や不退寺、法華寺、海龍王寺などの寺院や多くの万葉歌碑がある佐保路(さほじ)。

平城京から東大寺の転害門(佐保路門)を経て、西方面に伸びるこの道沿いには、居心地のよいカフェや全国の美味しい食材が集うグローサリー、週末だけ営業する洋菓子店などが点在しています。住宅の選択肢も豊富で、奈良暮らしをはじめやすいエリアです。

2023年11月、一人の女性がこのまちに根をおろしました。

大西さんのこと

庭でハーブを摘む大西さん

佐保路の一角にあるアトリエ。ここに根を張り、すこやかに育つ植物たちとともに暮らすのがハーブ教室「ハーバルサンクチュアリ After Rain」の大西真実江さんです。

「月桃、バタフライピー、ヨモギ、ラベンダー、タイム、ジャーマンカモミール、ローゼル、ビルベリー、マルベリー…。ハーブや実をつける植物を中心に育てています」

「実は、自生する雑草のなかにも、活用できる植物があります。たとえば、このツユクサ。熱や炎症を抑えたり、むくみ改善の効果があるといわれています」

庭のツユクサ

大西さんは、暮らしの至るところにハーブを取り入れています。玄関扉にはレモングラスとティーツリーのオーナメントが飾られており、出入りの度に目を喜ばせてくれます。

アトリエに入ると、庭で採れたヨモギの葉を蒸留。化粧水をつくります。

ヨモギを蒸留する様子

聞けば、歯磨き粉もハーブやスパイスを使ってつくれるそうです。

化粧水も歯磨き粉も買うのが当たり前。そもそもつくるという選択肢があるなんて。暮らしまわりを自分の手でつくる大西さんとの出会いは、ぐぐぐっと暮らしの視野を広げてくれます。

「体のちょっとした不調も、ハーブで対応できるんです」

たとえば、疲れ目。パソコンでの作業が続いたときは、ビルベリーとアイブライトのブレンドティーを淹れるといいそうです。

それから腹痛。ひとまとめに腹痛といっても、プレゼン前で緊張しているときと、会食続きで胃腸が疲れているときでは、対応が変わります。

ここで大西さんが、ハーブティーを淹れてくれます。

「ハーブをいとぐちとして、健康に関する話題も聞きやすくなります。それにハーブは相性もあります。心を落ち着けたいときにセントジョーンズワートが合う人も、カモミールが合う人もいます」

自分に合うハーブを見つけることは、自分を知ることなのかもしれません。

そんな大西さんの仕事は広告業。東京に本社を構える企業に勤めています。リモートワークをしており、週に一度は大阪のオフィスへ出社。通勤もしやすいそうです。

ここで大西さんに、これまでの歩みをうかがいます。

「子どもの頃からものをつくるのがすきで、なにかつくる仕事がしたかったんです」

出身は香川県。大学卒業後は県内で就職しました。デザインに向き合いたくて、26歳で上京。グラフィックデザインの会社に移ります。

のちにWebディレクターへ転向する大西さん。オフィスでは、多くの時間をパソコンの前で過ごす日々。電車に揺られて帰宅すると、鉢植えの植物が迎えてくれました。マンションでの生活は引っ越しもしやすく、快適でした。

「植物を育てることも、子どもの頃から楽しくて。だんだんとベランダに緑が増えていくうち『庭に植えたい』という思いが募り、鎌倉へ引っ越しました」

ちょうどその頃、健康維持のために、朝昼晩と山のような医薬品を服用する祖父母に違和感を覚えます。

「全てを医薬品に頼りきるのではなく、ハーブに置き換えられるものもあると思ったんです」

ハーブ棚

次第に大西さんは、ハーブ教室を志すようになります。

「はじめるのであれば、早く準備を進めたいと思いました。というのも、庭づくりは一生の仕事だからです。こうして、ハーブ教室を開催できるアトリエを探しはじめます」

庭をつくるのなら、家を購入したほうがよい。どうせ住むのなら、好きなまちがいい。そこで候補に上がったのが、奈良でした。

飛鳥時代に強く惹かれた大西さんは、2015年から足繁く奈良へ通っていました。

「薬師寺の鬼追い式、東大寺のお松明など、奈良には千年以上続く行事があります。『夜中に行われるお祭りもあるんだ』『行ってみたいな』と思いつつ、毎週通うわけにも行かず、あきらめていました。もしも奈良に住めたら、すきま時間にお寺へ行けるかもしれない。そんな期待もありました」

家探しにかけたのは約一年。物件を探しつつ、仕事についても考え、家族への理解も得ていく。期待と不安の間を行き来しながら、めまぐるしく人生が変化していく時期だったと振り返ります。

物件探しは、憧れの飛鳥地方からはじまりました。奈良の知人から宿泊先のオーナーまで、いろいろな人をたずねてまわりましたが、なかなかいい物件が見つかりません。視野を広げようと奈良市内で家を探しはじめると、ある物件を紹介されました。さっそく内見に訪れた大西さん。

自転車でも十分に生活できるエリアで、広々とした庭のある物件でした。

玄関を開けるとステンドグラスが現れます。家の中には、空間と調和したアンティーク家具たちが佇んでいました。

「家の歴史と自分の好きなものがピタリと重なった気がして、即決しました」

こうして、奈良にアトリエをかまえた大西さん。やがて、猫が住みつくようになりました。名前は真魚(まお)。弘法大師の幼名にちなんでいます。

「東大寺の修二会の日に、ひょいと入ってきたんです。出発の時間になっても、出ていこうとしません。仕方ないので、少し窓の隙間を開けて外出しました。帰宅すると、ベッドで気持ちよさそうに寝ていました。翌日、近所の方がこの猫をお世話されていたことがわかり、その方から『よければそのまま飼いませんか』といわれて今に至ります。真魚はもともと『ぽんた』という名前だったんです」

大西さんは、内見時に飾られていた猫の油絵を思い出しました。この家を建てた方が描いたものでした。

「家を受け継いだことで、人間関係も引き継いだ感じがします」

「その方と親しかった方たちが、よくしてくださるんです。わらび採りへ連れて行ってもらったり、自家製の野菜をいただいたり、『焼き芋焼いたよ』と持ってきてくださる方がいたり。その方の人徳に、暮らしを支えてもらっています」

受け継ぐものは受け継ぎつつ、変えるところは変えています。

もともとの庭は、サツキやマキやマツが植わる和風庭園でした。大西さんは造園師と相談しながら庭に手を加え、ハーブ教室に欠かせない植物を植えていきます。ゆくゆくは、万葉集に登場する植物も植えたいところ。

「おばあちゃんになっても、ずっとハーブを続けていきたい」

目を輝かせて、言葉にする大西さんを見ていると、土地に根を張ることで、人は上へ上へと芽を伸ばしていけるのだと感じます。

薬師寺のこと

移住する前から、大西さんが「報告の場」として訪れてきたのが、お寺でした。

「『ハーブ教室を開けるような家を探しています。理想としてはこれくらいの広さの庭があって・・・』とか、『次の春から教室をスタートさせようと思って準備をしています。みんなが元気になるような場にしたいです』など、手を合わせて心の中でご報告をすると、自分が必要以上に求めていたことや、その奥にあるほんとうの望みがわかります。そういう気づきを受け取れる場なんです」

そこで、訪ねたのが薬師寺です。

迎えてくれたのは、僧侶の後藤信行(しんぎょう)さんです。

後藤さんは「お寺は何をするところでしょう?」と問いかけます。

「薬師寺はお葬式をしません、お墓を持ちません、檀家さんがいません。今を生きる人が幸せになるために、心を学ぶ学校なんです」

戦後間もない頃、薬師寺は大きく荒れており、金堂復興には10億円が必要でした。そこで1967年に管主となった高田 好胤(たかだ こういん)さんは、大企業からの寄付を辞退。100万人の写経を呼びかけました。

「求められていたのは、“建物の復興”にとどまらない“心の復興”でした。『不可能だ』という声もあるなかで根気強く活動を続けていき、これまでに800万人を超える人が写経を行いました」

ときにユーモアを交えつつ、わかりやすく話してくれる後藤さん。今に至る経緯をうかがうと、以前は東京で会社員をしていたそうです。薬師寺で働く高校時代の同級生から誘われて出家しました。

「迷いに迷いましたが、人に求められることが幸せだと思ったんです」

それから18年間に、いろいろな人たちと出会い、話をしてきました。

「63歳になるわたしにとって、この仕事が、最後の職業だと思うんです」

そう話すと、後藤さんは空を見上げました。目線の先には、730年に建立された国宝・東塔がありました。2021年には、12年間に及ぶ全面解体修理を終えました。

奈良には、長い時間が流れています。

薬師寺からの帰り道のことでした。

「奈良に住んでみて、どうですか?」とたずねると、顔を綻ばせる大西さん。

「満喫しています。東大寺の大仏さまのほこりを払う行事を拝見してから仕事に臨む日があったり、仕事終わりに平城宮跡でツバメのねぐら入りを見る日もあったり。佐保路には、いいお店もありますし。古いものと新しいものが混ざりあって、楽しみがいっぱいです」

ぜひ、大西さんのハーブ教室「ハーバルサンクチュアリ After Rain」を訪れていただけたら。千年の歴史を抱く奈良。このまちで、あなたもとびきりの一日を芽吹かせてみませんか。

移住相談窓口のご案内
奈良市での暮らしに興味のある人は、こちらまでお気軽に問い合わせください。

奈良市役所 総合政策部
秘書広報課 移住定住促進係 奈良市移住歓迎担当
TEL:0742-34-4710​

E-mail: teiju●city.nara.lg.jp(●を@に変更しメールを送信ください)

奈良市お試し移住支援制度

概 要:お試し移住目的で、対象宿泊施設を利用いただいた場合、宿泊経費の一部を給付します

給付額:1人1泊あたり2,000円分(最大2万円)

対象者:奈良市に移住を検討されている方

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業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
奈良県奈良市二条大路南一丁目1番1号
電話番号
0742-34-4710
代表者名
仲川げん
上場
未上場
資本金
-
設立
1898年02月