ワイヤレス・デバイス用RFフロントエンドIC向けに新たな技術プラットフォームを発表

~4G等の高速ワイヤレス接続に対応したマルチバンド無線装置を大幅に小型化する最適化されたRF SOI(Silicon-On-Insulator)プロセス~

STマイクロエレクトロニクス

多種多様な電子機器に半導体を提供する世界的半導体メーカーの
STマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM、以下ST)は、モバイル機器用RF
フロントエンドICの性能向上・小型化に向け最適化された先端プロセス技術を
発表しました。今回の技術は、より高速な無線ブロードバンド接続に対する
ニーズが急速に高まる中、スマートフォンやタブレット等の機器内部の複雑化する
回路に対応することを目的としています。

ワイヤレス機器のRFフロントエンド回路は、通常、個別のアンプ、スイッチ、
チューナで構成されます。4Gモバイル通信、Wi-Fi(IEEE 802.11ac)等の新たな
高速通信規格では、複数の周波数帯を利用してデータのスループットを向上させ
るため、最新機器はさらなるフロントエンド回路を必要とします。現在の3G対応
携帯電話では、最大5種類の周波数帯が利用されますが、次世代4G LTE向けの
3GPP(1) 規格では最大40種類の周波数帯に対応します。従来のように別個にコン
ポーネントを用いた場合、回路全体が著しく大型化しますが、STの新たな製造
プロセスH9SOI_FEMを用いることで、完全に集積されたフロントエンド・
モジュールを実現することができます。

このプロセスは、STが2008年に発表したSOIプロセスであるH9SOIを進化させたも
のです。同プロセスは、4億個以上の携帯電話・Wi-Fiアプリケーション向けRF
スイッチの生産に利用されてきました。STは、その経験を生かし、フロント
エンド・モジュールを集積化するために同プロセスを最適化した結果、アンテナ・
スイッチおよびアンテナ・チューニング・デバイスで業界最高クラスの性能
(オン抵抗(Ron)Xオフ容量(Coff):207fs(2))を実現するH9SOI_FEMの発表に
至りました。またSTは、適切な製造能力を確保しているため、最も需要の多い顧
客にも対応することができます。

市場では、マルチバンド対応の高速ワイヤレス機能を搭載したスマートフォンが、
特に集積化モジュールとしてのRFフロントエンド・コンポーネントへの高まる
需要を牽引しています。Prismark社の分析によると、1台のスマートフォンに
搭載されるRF部品点数は、エントリレベルの第2・3世代携帯電話の約3倍に達し
ています。同時に、スマートフォンの出荷数は現在年間10億台を超え、約30%の
成長率を示しています。さらに、顧客各社は、サプライヤに対し、より小型かつ
薄型で高い電力効率を実現したコンポーネントの提供を求めています。STは、
ディスクリート部品だけでなく、このクラス最高の新しいH9SOI_FEMプロセスを
用いたパワー・アンプ /スイッチおよびパワー・アンプ / スイッチ / チューナ
から構成される集積化モジュールに機会を見いだしています。

STのミックスド・プロセス事業部ジェネラル・マネージャであるFlavio Benetti
は、次の様にコメントしています。「H9SOI_FEMプロセスにより、お客様は、
現在のフロントエンド・ソリューションと比較してサイズが半分以下の最先端
フロントエンド・モジュールを開発することができます。さらに、当社はプロ
セス・フローの簡略化にも成功し、この市場のエンド・ユーザにとって極めて
重要な、リードタイムの大幅な短縮と供給の柔軟性を実現しました。」

現在、H9SOI_FEMを利用した製品の新しい設計を開始することが可能で、量産は
2013年末までに開始する予定です。

技術情報
デュアル・ゲートMOSFET(1.2V / 2.5V)を構築するH9SOI_FEMプロセスのプロ
セス・ノードは0.13ミクロンです。同プロセスでは、従来のSOIプロセス(RF
スイッチのようなディスクリート・デバイス用プロセスなど)とは異なり、GO1
MOS、GO2 MOS、最適化されたNLDMOSといった複数のテクノロジーに対応してい
ます。そのため、RFフロントエンドICに搭載される主要機能の完全なモノリ
シック集積が可能です。これらの主要機能には、RFスイッチ、低ノイズ・アンプ、
マルチモード・マルチバンド対応携帯通信パワー・アンプ、ダイプレクサ、RF
カップリング、アンテナ・チューニング、RF電力マネージメントが含まれます。

GO1 MOSは、非常に高い性能を持つ低ノイズ・アンプに適しています。超低
ノイズ指数1.4dB(5GHz時)が維持されると共に、限界周波数(Ft)60GHzが実現
されるため、安全マージンを備えた5GHz設計が可能になります。

GO2 CMOSに加え、GO2 NMOSは、RFスイッチで広く利用されています。この技術が、
アンテナ・スイッチおよびアンテナ・チューニング・デバイスとして業界最高
クラスの性能(オン抵抗(Ron)Xオフ容量(Coff):207fs)を実現します。

GO2高電圧MOSは、パワー・アンプおよび電力マネージメント機能の集積を可能に
します。最適化されたNLDMOSにより、パワー・アンプにおいて、限界周波数(Ft)
36GHzと電力効率60%(飽和状態、低周波数帯GSM)を実現することができます。
電力マネージメントについては、ブレークダウン電圧12VのPLDMOSテクノロジー
により、デバイスをバッテリに直接接続することが可能です。

また、内蔵受動部品の性能も最適化されています。これは、3層または4層のアル
ミニウム層、また必要に応じて厚い銅層を設けることで実現されます。

H9SOI_FEMは、低コストかつ広範な集積化が極めて重要なローエンド機器ならび
にスマートフォン等のハイエンド機器を対象とする製品に適しています。一般的
にハイエンド機器では、多数の周波数帯の併用が必要になります。これには、2G、
3G、4G規格だけでなく、Bluetooth、Wi-Fi、GPS、非接触決済用NFC
(Near-Field Communication)等の様々な無線接続規格があります。

(1) 3rd Generation Partnership Project
(2) 1 femtosecond = 0.000001 nanosecond


STマイクロエレクトロニクスについて
STは、「センス & パワー、オートモーティブ製品」と「エンベデッド・プロセ
ッシング ソリューション」の多種多様なアプリケーションに半導体を提供する
世界的な総合半導体メーカーです。エネルギー管理・省電力からデータ・セキュ
リティ、医療・ヘルスケアからスマート・コンスーマ機器まで、そして、家庭、
自動車、オフィスおよび仕事や遊びの中など、人々の暮らしのあらゆるシーンに
おいてSTの技術が活躍しています。STは、よりスマートな生活に向けた技術革新
を通し、「life.augmented」の実現に取り組んでいます。2012年の売上は84.9億
ドルでした。さらに詳しい情報はSTのウェブサイト
http://www.st-japan.co.jp )をご覧ください。

◆ お客様お問い合わせ先
〒108-6017 東京都港区港南2-15-1
品川インターシティA棟
STマイクロエレクトロニクス(株)
デジタル製品グループ
TEL: 03-5783-8250 FAX: 03-5783-8216

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会社概要

STマイクロエレクトロニクス

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URL
http://www.st.com/jp
業種
製造業
本社所在地
東京都港区港南2-15-1 品川インターシティA棟
電話番号
03-5783-8220
代表者名
マルコ・カッシス
上場
未上場
資本金
-
設立
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