【SBI FXトレード×中央大学】FXにおける女性投資家の収益性に注目—中央大学・吉見准教授が国際カンファレンスで発表
米国・サンフランシスコで開催された、経済学分野における国際的な学術カンファレンス(WEAI)でFX投資家の収益性に関する新たな研究成果が発表されました。

SBIホールディングス株式会社(本社:東京都港区、代表取締役会長兼社長:北尾 吉孝)の連結子会社で、個人投資家向けに外国為替取引サービスを提供するSBI FXトレード株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:藤田 行生、以下「当社」)と学校法人中央大学(所在地:東京都八王子市、学長:河合 久)は、昨年、両者間にて締結した「FX投資に関する研究契約」に基づき、外国為替証拠金取引(以下「FX」)における投資家の収益性に関する共同研究を進めています。
この度、同研究の成果として、FX投資は男性ユーザーが多い傾向にあるものの、「女性投資家の方が高い収益性を示す傾向がある」ことが明らかとなり、その結果について、中央大学経済学部の吉見太洋(ヨシミ タイヨウ)准教授が、2025年6月23日(現地時間)に米国・サンフランシスコで開催された学術カンファレンスである「Western Economic Association International (WEAI) 100th Annual Conference」にて発表を行いました。
■開催概要
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学会名:Western Economic Association International (WEAI) 100th Annual Conference
(公式サイトはこちら) -
発表日時:2025年6月23日(現地時間)
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会場:San Francisco Marriott Marquis(米国・サンフランシスコ)
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論題:A Study of FX Investor Profitability: Evidence from Account-Level Data
(SBI FXトレード株式会社との共同研究)


■登壇者

吉見太洋
早稲田大学政治経済学部卒業、一橋大学大学院商学研究科博士課程修了(商学博士)。南山大学経済学部専任講師・准教授を経て、2017年より中央大学経済学部准教授(現職)。専門分野は国際金融論。現在は、貿易建値通貨、為替レートパススルーといったトピックを中心に、国際経済にかかわる幅広い課題に取り組んでいる。
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■研究の背景
1998年の外国為替及び外国貿易法(外為法)改正により、個人による外国為替証拠金(FX)取引が日本国内で解禁されて以降、個人向けFX取引市場は着実に拡大してきました。少額から取引が可能であることも後押しとなり、FXは個人の資産運用手段として広く定着しています。
FX取引は、最大25倍(国内)の高いレバレッジを活用することで大きな利益を狙える一方、知識や戦略が不足している場合には損失を被るリスクも高くなります。
本共同研究では、2021年から2023年にかけての口座レベルの日次取引データを用いて、FXトレーダーの取引パフォーマンスに影響を与える要因を検証しました。特に、男性トレーダーと女性トレーダーの収益性の違いとその背景に注目しています。
これまで株式市場においては、男性の自信過剰バイアスが強いことにより、男性トレーダーの収益性が女性トレーダーを下回る傾向があることが研究によって明らかにされてきました(*1)。しかしながら、株式市場の研究に比べてFX市場の研究は国際的にも限られており、本研究はその空白を埋める重要な取り組みとして位置づけられます。
*1 Barber and Odean (2001)やHibbert et al. (2018)などを参照。口座レベルのデータを用いたFX市場に関する研究としては、Ben-David et al. (2018)や、Hayley and Marsh (2016)など、日本に関する研究としては、Hayo and Iwatsubo (2022)やIwatsubo and Rieger (2024)などを参照。
■研究の成果
本研究では、FXトレーダーの収益性を「日ごとの損益がプラスとなる確率」と「日ごとの収益率」の2つの指標で分析しました。その結果、女性トレーダーは男性よりも高い収益性を示すことが明らかになりました(*2)。この傾向は、高所得層を除くすべての資産・所得階層で確認されています。
収益性の差には、以下の3点が影響していると考えられます。
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注文戦略の違い:女性は収益性と相関の高い指値注文(安い時に買う・高い時に売る注文方法)の割合が高く、逆指値注文(安い時に売る・高い時に買う注文方法)の割合が低い傾向がありました。
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取引頻度と収益性:男性は女性と比べて取引日数が増えるほど収益性が低下しやすく、自信過剰バイアスの影響が大きいことが示唆されます(図1)。
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市場からの退出行動:収益性が高い投資家ほど市場に留まる傾向があり、特に女性でその傾向が強く見られました。
これらの要因が組み合わさることで、女性トレーダーの方が高い収益性を実現していると考えられます。

図1:両パネルとも横軸は累積取引日数。
パネルAの縦軸:累積取引日数が「日ごとの損益がプラスとなる確率」に与える影響。
パネルBの縦軸:累積取引日数が「日ごとの収益率」に与える影響。
経験が収益性に与える負の影響(自信過剰バイアス)は、男性の方が大きい傾向にある。
*2 この男女における収益性の際に関する結果は、Iwatsubo and Rieger (2024)と整合的なものです。
■今後の課題や展望
本研究では、取引戦略や行動バイアス、市場における自己選別といった要因がFXトレーダーの収益性に影響を与えていること、そしてそれらの要因に男女差があることを明らかにしました。これらの知見は、株式市場における先行研究とも整合的であり、株式市場で得られた教訓や制度設計がFX市場にも応用可能であることを示唆しています。
また、男女間の収益性や行動特性の違いに関する発見は、投資家教育や取引プラットフォームの設計において、性別特性を踏まえたアプローチが有効である可能性を示唆しています。
一方で、収益性の差の背景には、教育水準や金融知識、人生経験によって形成された価値観など、今回の分析では捉えきれない要因が存在する可能性もあり、今後はより詳細なデータの活用や実証実験による検証が求められます。
今後も多角的なアプローチを通じてFX市場に関する知見を深め、投資家や市場関係者、社会全体への情報発信に努めてまいります。
■参考文献
Barber, B. M., and Odean, T., 2001. Boys will be boys: Gender, overconfidence, and common stock investment. Quarterly Journal of Economics, 116 (1), 261–292.
Ben-David, I., Birru, J., and Prokopenya, V., 2018. Uninformative feedback and risk taking: Evidence from retail forex trading. Review of Finance, 22 (6), 2009–2036.
Hayley, S., and Marsh, I. W., 2016. What do retail FX traders learn?. Journal of International Money and Finance, 64: 16–38.
Hayo, B., and Iwatsubo, K., 2022. Who is successful in foreign exchange margin trading? New survey evidence from Japan. Sustainability, 14, 11662.
Hibbert, A. M., Lawrence, E. R., and Prakash, A. J., 2018. The effect of prior investment outcomes on future investment decisions: Is there a gender difference? Review of Finance, 22(3), 1195–1212.
Iwatsubo, K., and Rieger, M. O., 2024. The key to succeed in FX margin trading: The role of investment strategy and behavioural biases. Available at SSRN.
【中央大学について】
中央大学は、1885年の創立から「實地應用ノ素ヲ養フ(じっちおうようのそをやしなう)」という建学の精神のもと、いつの時代にも社会を支え、未来を拓くことを使命とし、実社会の課題に対応する教育・研究に取り組んでいます。
「Chuo Vision 2025」に基づき、中央大学は持続可能な社会を築き、国際的に貢献できる実践力を持つ次世代の人材育成を目指して、2026年度から2027年度にかけて新しい5つの学部を設置する計画を進めています。
2026年4月には現在の理工学部を再編し、基幹理工学部、社会理工学部、先進理工学部の3学部開設に向けた設置届出が今般正式に受理されました。また、2027年4月には、「スポーツ情報学部(仮称)」および「情報農学部(仮称)」の2学部を開設予定(設置構想中)です。
▶URL:https://www.chuo-u.ac.jp/
【SBI FXトレード株式会社について】
SBI FXトレードは、東証プライム市場上場のSBIホールディングス株式会社傘下、SBIグループの100%子会社です。外国為替証拠金取引(FX)に特化し、初めての方にもわかりやすく、上級者の方にも納得いただける高度なお取引など、FX専業だからできる、きめ細やかなサービスをお届けしております。
▶URL:https://www.sbifxt.co.jp/
SBI FXトレードは、SBIグループが掲げる「顧客中心主義」のもと、顧客満足度NO.1企業を目指し、これまで以上にお客さまが真に求めるサービスを追求してまいります。今後ともSBI FXトレードをよろしくお願い申し上げます。
【投資にかかる手数料等およびリスクについて】
全サービスを通して原則、口座開設・維持費および取引手数料は無料です。ただし、当社が提供するその他の付随サービスをご利用いただく場合は、この限りではありません。また、元本および利益が保証されるものではありません。決済方法は反対売買による差金決済での清算となります。お取引を始めるに際しては、「契約締結前交付書面」、「取引約款」等をよくお読みのうえ、取引内容や仕組み、リスク等を十分にご理解いただき、ご自身の判断にてお取引くださるようお願いいたします。
≪SBI FXTRADEおよび積立FX<つみたて外貨>(店頭外国為替証拠金取引)≫
店頭外国為替証拠金取引は、取引金額(約定代金)に対して少額の取引必要証拠金をもとに取引を行うため、取引必要証拠金に比べ多額の利益を得ることもありますが、その一方で短期間のうちに多額の損失を被る可能性があります。外貨での出金はできません。経済指標の結果によっては価格が急激に変動し、思わぬ損失が生ずるおそれがあります。また、その損失の額が預託した証拠金の額を上回ることもあります。取引価格、スワップポイント等は提供するサービスによって異なり、市場・金利情勢の変化等により変動しますので、将来にわたり保証されるものではありません。取引価格は、買値と売値に差があります。決済方法は反対売買による差金決済となります。SBI FXTRADEにおいては、個人のお客さまは取引価格に応じた取引金額の4%以上の証拠金が必要となり、証拠金額の最大25倍までのお取引となります。法人のお客さまは一般社団法人金融先物取引業協会が毎週発表する通貨ペアごとの為替リスク想定比率*を取引金額に乗じて得た証拠金が必要となります。積立FX<つみたて外貨>においては、取引価格に応じた取引金額の33.334%以上の証拠金が必要となり、証拠金額の最大3倍までのお取引となります。証拠金の詳細については、当社ホームページの取引ルールをご確認ください。
*為替リスク想定比率は、金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第31項第1号に規定される定量的計算モデルを用い算出します。
商号等:SBI FXトレード株式会社(金融商品取引業者)
登録番号:関東財務局長(金商)第2635号
加入協会:一般社団法人 金融先物取引業協会
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<本プレスリリースに関するお問い合わせ先>
SBI FXトレード株式会社
https://www.sbifxt.co.jp/inquiry/index.html
<研究に関すること>
吉見 太洋 (ヨシミ タイヨウ)
中央大学経済学部 准教授(国際経済学科)
E-mail: yoshimi[アット]tamacc.chuo-u.ac.jp
<広報に関すること>
中央大学 研究支援室
TEL 03-3817-7423または 1675 FAX 03-3817-1677
E-mail: kkouhou-grp[アット]g.chuo-u.ac.jp
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