肌の黄みに角層蛍光性AGEsが関連することを確認 植物エキス混合物により角層蛍光性AGEs形成を抑制
今回の研究成果は、第49回日本香粧品学会(2024年6月28~29日・東京都)にて発表予定です。
背景
花王は、肌のエイジングに関わる糖化*1について早くから研究を進めてきました。これまでに、肌の最外層である角層にAGEsの一種であるCML(カルボキシメチルリジン)が存在することをいち早く突き止め、CMLが増加した角層では、角層肥厚や角層水分量低下が顕著になることなどを明らかにしています*2。一方で、肌の印象に影響 する肌の黄みは糖化が一因だとされていますが、CMLと肌の黄みとの関係性は見られません。
そこで花王は、肌の黄みには別の種類のAGEsが関与しているのではないかと考えました。AGEsには蛍光特性を持つものと持たないものがあります。CMLは蛍光特性を持たないため、蛍光特性を持つAGEs(蛍光性AGEs)に焦点を当て検討を進めました。
*1 タンパク質に糖が結合すること。それによって生成されるものの総称が、AGEs(終末糖化産物)
*2 カネボウ化粧品ニュースリリース 2009年6月 表皮に存在するAGEを発見―AGE構造体の一種、カルボキシメチルリジン の存在を表皮で確認
角層蛍光性AGEsと肌の黄みの相関を解析
皮膚における蛍光性AGEs量を把握するには、これまで肌の上から光を当て、角層から真皮までの蛍光総量を測定する方法が一般的でした。しかしこの方法では、測定範囲に真皮や血管なども含まれます。花王は、最外層にある角層が肌の黄みに関与している可能性があると考え、粘着テープを肌に当てて角層を採取し、蛍光性AGEsを抽出、分析する新たな技術を構築しました。
この方法を用いて、2023年3月、日本人女性35名を対象に、左右の頬から角層中の蛍光性AGEs量を測定し、肌物性との相関を解析しました。その結果、角層蛍光性AGEs量と肌の黄みの間に有意な正の相関があることを確認しました(図1)。これにより、蛍光性AGEsが特に肌の黄みに強く関与するAGEsであることが示されました。
蛍光性AGEsの形成を抑制する成分の探索
花王は、蛍光性AGEsの形成を抑制する成分を探索することを目的に、糖化させたタンパク質にさまざまな成分を添加し、前後の蛍光強度を測定することで、蛍光性AGEs形成抑制率を算出しました。その結果、スマートガーデンローマカミツレエキス*3、ゲンノショウコエキス、チョウジエキスの3種の植物エキス混合物を添加した場合、未添加時と比較して、蛍光性AGEs形成率が63%抑制されたことを確認しました(図2)。
*3 花王ニュースリリース 2024年3月14日 回収したCO2を活用した植物工場「SMART GARDEN」を構築
植物エキス混合物配合製剤連用による、角層蛍光性AGEsの形成抑制、および肌の黄み低減
上記結果を踏まえ、2023年3月、日本人女性33名を対象にこれらの植物エキス混合物を配合した製剤、および配合していない製剤をそれぞれ朝晩2回片顔に塗布し、2週間後の角層蛍光性AGEs量、および肌の黄みの変化を確認しました。その結果、植物エキス混合物配合製剤を2週間連用した側では、角層蛍光性AGEsの形成が抑制され(図3)、有意に肌の黄みも低減したことを確認しました(図4)。
まとめ
今回花王は肌の最外層である角層に存在する蛍光性AGEsを測定する技術を構築し、肌の黄みとの関連性を明らかにしました。また、蛍光性AGEs形成抑制剤として見いだされた植物エキス混合物配合製剤の2週間の連用により、角層蛍光性AGEs量が減少し、肌の黄みが変化することを確認しました。
今回の結果により、ターンオーバーによって1カ月程度で入れ替わる角層の蛍光性AGEsの抑制は、肌の印象を変化させるアプローチとして有効な可能性があると考えます。花王は、より早く変化を実感できる技術の開発に、引き続き取り組んでいきます。
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