【プレスリリース】2月6日は『国際女性性器切除(FGM/C)根絶の日』 切除される女の子 今後35年間で1.8倍増か

ユニセフ事務局長ら4機関・団体代表が訴え

女性性器切除を受けた少女にカウンセリングを行うソーシャルワーカー。ユニセフは現地NGOと協力して、根絶に向けた取り組みを行っている。(マリ)© UNICEF_NYHQ2009-1916_Pirozzi女性性器切除を受けた少女にカウンセリングを行うソーシャルワーカー。ユニセフは現地NGOと協力して、根絶に向けた取り組みを行っている。(マリ)© UNICEF_NYHQ2009-1916_Pirozzi

 


※本信は、ユニセフ本部からの情報を日本ユニセフ協会 広報室が翻訳・編集したものです
※原文は http://j.mp/1Fd2YEx でご覧いただけます。


【2015年2月6日 ジュネーブ発】

2月6日の国際女性性器切除根絶の日(ゼロ・トレランス・デー)に際し、ユニセフ(国連
児童基金)のアンソニー・レーク事務局長は、国連人口基金(UNFPA)、国際助産師連盟(ICM)、
世界産婦人科連合会(FIGO)の代表とともに共同声明を発表。女性性器切除(=female
genital mutilation/cutting 以下FGM/C)の根絶のために具体的な対策をとるよう、
世界中の医療従事者に向けて訴えました。

またユニセフのデータ分析部門は、FGM/Cに関する最新の傾向と今後の予測データを
まとめたレポート「女性性器切除:未来に何が待ち受けているのか?(原題:Female
Genital Mutilation/ Cutting: What might the future hold?)」を発行。現在、FGM/Cが
行われている29カ国に住む女性の3分の2、男性の3分の2近くが、この慣行を止めるべき
だとの考えを持っていることや、女の子がFGM/Cを受ける危険性は、約30年前と比べて
3分の1ほど減少したことを発表しました。一方で、FGM/Cの根絶への対策や人口
増加が現在のままであれば、FGM/Cを受ける15歳~19歳の女の子は、2013年の年間360万人
から2050年には年間660万人(1.8倍の増加)となる恐れがあることを指摘しました。

FGM/Cとは、女の子や女性の性器の一部を切除する慣習で、女の子と女性の人権を侵害する
行為であるとともに、毎年およそ300万人の女の子の心身に害を及ぼしています。現在、
FGM/Cが広く行われているアフリカや中東地域では、29カ国で1億3,000万人以上の女の子
と女性が何らかの形でFGM/Cを受けており、FGM/Cは彼女たちの将来に甚大な影響を与えて
います。

村で行われた、女性性器切除を終わらせるための会議に参加した女の子。(スーダン)© UNICEF_NYHQ2009-1490_Holt村で行われた、女性性器切除を終わらせるための会議に参加した女の子。(スーダン)© UNICEF_NYHQ2009-1490_Holt

 

世界中で、コミュニティと政府によるFGM/C根絶のコミットメントが広がっていますが、
未だ十分ではありません。本日2月6日の国際女性性器切除(FGM/C)根絶の日(ゼロ・
トレランス・デー)を迎え、私たちは、助産婦から看護婦、産科医、婦人科医までの
すべての医療従事者に、この危険で有害な慣習を廃止するための動員を求めます。

FGM/Cの根絶を支える上で重要なのは、世界中の医療従事者による取り組みです。医療
従事者は、従事するコミュニティ内の状況に精通しているともに、この慣習を長続き
させてしまっている社会的模範を熟知しています。FGM/Cの支持者が急激に減少している
という現在の傾向を、さらに促進することができます。コミュニティの人々も、顔見知り
である医療従事者を信頼しています。

医療従事者はまた、FGM/Cによって引き起こされる身体への害も熟知しています。尿や
月経への影響だけでなく、出血や感染、死を伴う合併症に苦しむ女の子や女性を知って
います。そして、身体だけに限らず、心的外傷が将来にわたって続く姿を目にしています。

FGM/Cを医療化する、という憂慮すべき事態が広がる傾向にあります。これに対し、声を
あげられる立場にいるのが、他ならぬ医療従事者なのです。約5人にひとりの女の子が研修
を受けた保健員によってFGM/Cを受けおり、国によっては、その人数は最大4人に3人に
達する可能性もあります。

FGM/Cを法律で禁止している多くの国では、医療提供者によるFGM/Cの実施は法律違反
です。しかし、すべての国において、合法か違法かに関わらず、FGM/Cは女の子と女性
の基本的な権利を侵害しているのです。FGM/Cを実施する医療提供者は、この悪習を
暗黙的に承認しているのであり、それは、『害を与えてはならない』という、医学の
最も基本的な指針に反するものです。

特に最前線で活動する医療従事者は、FGM/Cの慣習に加担しなければならないような
重圧を受けることが、よくあります。しかし、この重圧に屈しないための支援を受ける
ことによって、彼らは根絶への一歩を進めることができるのです。

従って何よりもまず、すべての医療従事者に向けて、FGM/Cの実施を放棄し、彼らがもつ
影響力を活用し、従事するコミュニティ内に留まらず、同僚たちと共にあらゆる地域に
おいてFGM/Cの根絶を促進するよう、要請します。

私たちはまた、医療従事者が単独でこれらを実施することは困難であることも理解して
います。FGM/C根絶に向けた共同プログラムの下、私たちは医療従事者を対象に、FGM/C
根絶を促進するために必要なスキルと情報を提供します。加えて、根絶へと取り組む
過程にて生じるであろう複雑な問題への対処方法なども提供します。

村の女性性器切除根絶を祝うイベントに参加した女の子たち。(セネガル)© UNICEF_NYHQ2009-1095_Furrer村の女性性器切除根絶を祝うイベントに参加した女の子たち。(セネガル)© UNICEF_NYHQ2009-1095_Furrer

 

社会模範は、特に住民同士の絆が深いコミュニティでは、人々の生活に大きな影響を
与えます。しかし一方で、医療従事者や指導者、専門家、そしてとりわけ女の子たち
皆が力を合わせれば、社会模範に変化をもたらすことができます。

本日は、国際女性性器切除(FGM/C)根絶の日。何百万もの女の子の健康と権利、幸福を
左右するFGM/Cの根絶へ向け、行動を起こしてください。


■参考情報
※FGM/Cが行われている29カ国:出典:世界子供白書2015要約版(日本語)
URL:http://www.unicef.or.jp/library/sowc/

ベナン、ブルキナファソ、カメルーン、中央アフリカ共和国、チャド、コートジボワール、
ジブチ、エジプト、エリトリア、エチオピア、ガンビア、ガーナ、ギニア、ギニアビサウ、
イラク、ケニア、リベリア、マリ、モーリタニア、ニジェール、ナイジェリア、セネガル、
シエラレオネ、ソマリア、スーダン、トーゴ、ウガンダ、タンザニア、イエメン

※FGM/C減少に関する約30年前との比較:
出典:ユニセフ データ分析部門発表レポート「女性性器切除:未来に何が待ち受けて
いるのか?(原題:Female Genital Mutilation/ Cutting: What might the future hold?)」
原文(英語版)はこちらでご覧いただけます。http://j.mp/16KZC0o

女の子がFGM/Cを受ける危険性は、約30年前と比べて3分の1ほど減少しました。
・中央アフリカ共和国、イラク、リベリア、ナイジェリア:半数程度に減少
・ケニア、タンザニア:3分の1に減少
・ベナンやカメルーン、ガーナ、トーゴ:減少
・ジブチ、エジプト、ギニア、ソマリア:変化はみられず (※女性の90%がFGM/Cを
  受けている国々)
・チャド、ガンビア、ギニアビサウ:変化はみられず




■ 本件に関するお問い合わせ
(公財)日本ユニセフ協会  広報室 
TEL:03-5789-2016  FAX : 03-5789-2036  Eメール: jcuinfo@unicef.or.jp
または
Christopher Tidey, ユニセフ本部広報官(在ジュネーブ)            
Tel: + 41 22 909 5715, Mobile: +41 79 204 2345; ctidey@unicef.org

 

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本社所在地
東京都港区高輪4-6-12 ユニセフハウス
電話番号
03-5789-2016
代表者名
赤松良子
上場
未上場
資本金
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設立
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