オラクル、Java 25をリリース

新リリースでは、Java言語の改善、AI機能の拡充、開発者の生産性向上を実現する18件のJDK Enhancement Proposalを提供

日本オラクル株式会社

テキサス州オースティン - 2025年9月17日

(本資料は米国2025年 9月 16日にオラクル・コーポレーションより発表されたプレスリリースの抄訳です)

オラクルは本日、世界ナンバーワンのプログラミング言語および開発プラットフォームの最新バージョンである、Java 25の提供を開始したことを発表しました。Java 25 (Oracle JDK 25) は、開発者の生産性を高め、プラットフォームのパフォーマンス、安定性、セキュリティを強化する数千もの改善を提供し、組織のビジネス成長を支援します。さらに、オラクルは「Java 25」に対し、少なくとも今後8年間の長期サポートを提供します。Java 25技術の詳細は、9月16日(火)午前8時(中部標準時)に配信されるJava 25 ライブストリームでご確認いただけます。

IDCのソフトウェア開発担当リサーチ・バイスプレジデントであるArnal Dayaratna氏は、次のように述べています。「Javaは30周年を迎え、次の新たな時代へと歩みを進めています。AI機能を搭載・統合したアプリケーションも含め、あらゆるアプリケーションがハードウェア・プラットフォームを問わず高い効率性とスケーラビリティを実現できるよう、新たな機能の提供を続けています。オラクルのJava技術に対するリーダーシップは、特にAIやセキュリティ分野においてJavaプログラミング言語およびプラットフォームの進化を牽引し続けており、また半年ごとのリリースサイクルによってさらなるイノベーションの加速が図られています。その結果、Javaは次世代のAI搭載アプリケーション開発に対応する最新の機能を継続的に提供できる体制が整っています。」

Oracle Java Platform担当シニア・バイスプレジデントでOpenJDK運営委員会の議長であるジョージ・サーブ(Georges Saab)は次のように述べています。「Javaは今年、30周年という大きな節目を迎えましたが、プラットフォームと言語は進化を続けており、開発者が革新的なAI機能やセキュリティ機能を組み込んだアプリケーションを迅速かつ容易に構築できるように支援しています。Java 25には、AIソリューションを強化したり、Java言語をこれまで以上にわかりやすくするための機能や工夫が盛り込まれており、新しい開発者やIT部門にとっても学びやすいリリースとなっています。これらは、オラクルがJavaへの継続的な投資を続けていることの証でもあります。」

オラクルはJava 25に対し、少なくとも今後8年間の長期サポートを提供する予定です。これにより、組織はアプリケーションを最小限のメンテナンスで長期間運用し、自社のタイミングで移行できる柔軟性を得られます。「Oracle JDK 25」は、「Oracle No-Fee Terms and Conditions(NFTC)」に基づき、2028年9月まで四半期ごとにセキュリティやパフォーマンスのアップデートが提供されます。2028年9月以降は、「Java SE OTN License(OTN)」に基づき、少なくとも2033年9月までアップデートが継続して提供される予定です。

主なJDK Enhancement Proposal(JEP)

 

Oracle JDK 25の言語機能

  • JEP 507: プリミティブ型のパターン、instanceof、switch(第3プレビュー):  Javaをより一貫性のある表現力豊かなものにすることで、Javaプログラミングの生産性を向上させます。たとえば、パターン・マッチングやinstanceof、switchを使用する際に発生していたプリミティブ型に関する制約を取り除くことで、パターン・マッチングを強化できます。また、すべてのパターン・コンテキストでプリミティブ型のパターンが使用可能になり、すべてのプリミティブ型でinstanceofとswitchが使用可能になります。プリミティブ型のサポートは、AI推論が組み込まれたアプリケーションを構築する開発者にとって、大きなメリットとなります。

  • JEP 511: モジュール・インポート宣言: インポートを行うコードをモジュール自体に配置する必要がないため、モジュールがエクスポートしたすべてのパッケージを簡単にインポートできるようになり、開発者の生産性が向上します。これにより、すべての開発者にとってモジュール・ライブラリの再利用が簡素化され、初心者でもパッケージ階層内の位置を学習することなく、サードパーティ・ライブラリや基本的なJavaクラスを使用できるようになります。さらに、モジュールによってエクスポートされたAPIのさまざまな部分を使う場合でも、何度も型のインポート宣言を書く必要がなくなるため、AI推論や人気ライブラリを組み合わせたシンプルなアプリケーションを簡単に作成できます。

  • JEP 512: コンパクトなソースファイルとインスタンスのmainメソッド: Java言語の初心者やシステム管理者、IT管理者が、Javaプログラミングをスムーズに始め、身近に感じられるよう支援します。プログラムの学習者は、大規模なプログラム向けの言語機能を理解しなくても、最初のプログラムを簡潔に書き、スキルの向上に合わせて徐々にコードを拡張していけます。また、Javaに詳しくないシステム管理者やIT管理者も、スクリプトやコマンドライン・ユーティリティのような小規模なプログラムを、面倒な定型文なしに簡単に記述できるようになります。

  •  JEP 513: 柔軟なコンストラクタ本体: 開発者は、コンストラクタを明示的に呼び出す前に入力値の検証や安全な計算処理を行うことができ、コードの安全性と信頼性を高めることができます。これにより、より自然な形でコンストラクタを記述できるようになり、親クラスのコンストラクタから呼び出されたメソッドなど、他のクラスコードからフィールドが見える前に初期化処理を行えるようになります。また、サブクラスのコンストラクタがスーパークラスのインスタンス化に干渉するのを防ぐセーフガードも維持されるため、クラス全体の信頼性も向上します。

Oracle JDK 25のライブラリ

  •  JEP 505: 構造化された並行性(第5プレビュー): 並行プログラミングを簡素化し、マルチスレッドコードの保守性、信頼性、可観測性を向上させます。異なるスレッドで実行される関連タスクのグループを1つの作業単位として扱うことで、スレッド・リークや取消遅延など、取消や停止に起因する一般的なリスクを軽減します。特に、並列で複数のタスクを実行することが多いAI開発において大きな利点があります。

  • JEP 506: スコープ値: スレッド内およびスレッド間で不変データの共有を可能にすることで、開発者はプロジェクトの使いやすさ、理解しやすさ、パフォーマンス、堅牢性を向上させることができます。特に、AIプラットフォームやWebフレーム、マイクロサービスを利用したアプリケーションに効果的です。また、スコープ値はスレッドローカル変数よりも扱いやすく、空間および時間のコストも低く抑えられます。特にバーチャルスレッドや構造化された並行性と組み合わせて使用する際に、その利点が際立ちます。

  • JEP 502: 安定値(プレビュー): 不変データを保持する「安定値」というオブジェクト用のAPIを導入し、開発者の柔軟性を高める機能です。安定値はJava仮想マシンによって定数として扱われるため、フィールドをfinalで宣言した場合と同様のパフォーマンス最適化が適用されます。一方で、好きなタイミングで初期化できるという柔軟性もあります。

  •  JEP 508: Vector API(第10インキュベーター): ベクトル計算を表現できるAPIを提供することで、開発者の生産性向上を支援します。このAPIは、サポートされているCPUアーキテクチャ上で、実行時に最適なベクトル命令へと確実にコンパイルされます。その結果、開発者はAI推論や計算処理などでよく使われるスカラー計算よりも高いパフォーマンスを実現できます。

Oracle JDK 25のセキュリティ・ライブラリ

  • JEP 470: 暗号化オブジェクトのPEMエンコーディング(プレビュー): 暗号化キーや証明書、証明書失効リスト(CRL)といった暗号化オブジェクトを、広く利用されているプライバシー強化型メール転送形式(PEM形式)にエンコードおよびデコードできる新しいAPIを提供することで、開発者の生産性向上を支援します。このAPIにより、JavaアプリケーションをYubikeyなどのセキュリティ認証システムやデバイスと簡単に連携できるようになります。

  • JEP 510: キー導出関数API: 秘密キーや追加データから新たなキーを生成する暗号アルゴリズムであるキー導出関数APIを導入することで、新たな量子コンピューティング環境への対応を支援します。この機能は、ハイブリッド公開キー暗号化に対応するための重要な基盤となるとともに、量子コンピュータに耐えうる暗号化方式への移行も可能にします。

Oracle JDK 25のパフォーマンスに関する更新

  • JEP 519: コンパクトなオブジェクト・ヘッダー: 64ビットアーキテクチャにおいて、オブジェクト・ヘッダーのサイズを64ビットに縮小することで、開発者の生産性向上を支援します。これにより、デプロイ密度が向上しデータローカリティも高まるほか、実際のワークロードでもオブジェクトサイズやメモリ使用量を削減できます。

  • JEP 514: 事前実行によるコマンドラインの利便性: 事前キャッシュを簡単に作成できるようにすることで、表現力を損なわずに開発者の生産性を高めます。この機能によって、一般的なユースケースで必要となるコマンドがシンプルになり、Javaアプリケーションの起動を高速化できます。

  • JEP 515: 事前メソッド・プロファイリング: アプリケーションのパフォーマンスを向上させることで、開発者の生産性の向上に貢献します。本番ではなくトレーニング時に初期のメソッド実行プロファイル収集を行い、そのプロファイル情報を事前キャッシュとして活用することで、ウォームアップ時間を短縮します。これにより、アプリケーションの起動時にJITコンパイラがすぐにネイティブコードを生成でき、プロファイルが蓄積されるまで待つ必要がなくなります。さらに、アプリケーションやライブラリ、フレームワークのコードを変更したり、アプリケーションの実行に対する制約を気にしたりする必要がなくなります。

Oracle JDK 25のモニタリング機能に関する更新

  • JEP 509: JFR CPU時間プロファイリング(試験段階): JDK Flight Recorder(JFR)を拡張し、Linux環境でより正確なCPU使用時間のプロファイリング情報を取得できるようにすることで、開発者の生産性とプログラムの効率向上を支援します。これにより、最適化が必要なプログラム要素の特定が容易になります。

  • JEP 518: JFR協調サンプリング: JFRがJavaスレッドスタックを非同期にサンプリングする際の安定性を高めることで、コードの信頼性を向上させます。具体的には、イベントサンプリングの際にセーフポイントバイアスを最小限に抑えつつ、セーフポイント外でスタックトレースを生成する際の危険なヒューリスティック手法を避けることができます。さらに、ハードウェア・イベントやシグナル・ハンドラ内でサンプルリクエストを作成でき、サンプラー用スレッドの負荷も軽減されます。

  • JEP 520: JFRメソッドのタイミング測定&トレース機能: JFRに、バイトコード・インストゥルメンテーションを利用したメソッド単位のタイミング計測やトレース機能を追加することで、開発者がアプリケーションのパフォーマンス低下を特定したり、コードの最適化やバグの根本原因の追究を迅速に行えるようにし、生産性を高めます。

今回のJava 25のリリースは、オラクルと世界中のJava開発者コミュニティが、OpenJDKとJava Community Process(JCP)を通じて継続的な協業を行った結果です。Java 25で提供される機能の詳細については、Java 25に関する技術ブログ記事をご覧ください。また、世界中のJavaコミュニティによる最新のイノベーションは、2026年3月17日~19日にカリフォルニア州レッドウッドショアーズで開催される「JavaOne 2026」で紹介される予定です。JavaOne 2026の詳細はこちらをご覧ください。また、こちらからご登録いただくと、最新情報を受け取ることができます。

IDCのモダンソフトウェア開発および開発者トレンド担当リサーチディレクターであるAdam Resnick氏は、次のように述べています。「30年前の誕生以来、Javaは大規模エンタープライズ・アプリケーションを構築するための信頼性とセキュリティに優れた言語であり続けています。今年のJavaOneカンファレンスで強調されたように、Javaは初心者開発者やプログラミング学習者の間でもその普及が進んでいます。複雑な部分を簡素化し、即時のフィードバックを提供する新機能により、初心者レベルのプログラム開発が容易になっています。Javaの継続的な進化は、エンタープライズグレードのソリューションに必要な堅牢性を維持しながら、経験の浅い開発者にも広く利用できるようにするという、思慮深いバランスを反映しています。」

クラウド・イノベーションによりJavaのグローバル・コミュニティをサポート

「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」は「Oracle JDK 25」をサポートする初のハイパースケールクラウドであり、JavaをOCI上で利用することで、イノベーション促進、パフォーマンス向上、効率化、コスト削減といったメリットを実現できます。OCI上では、「Oracle Java SE」や「Java SE Subscription Enterprise Performance Pack」などの高度な機能を追加料金なしで利用できるため、開発者は、より速く、より優れた、圧倒的なコスト・パフォーマンスで動作するアプリケーションをJava 25で構築し、デプロイできます。

Oracle Java SE Universal Subscription」は、クラス最高のサポートをお客様に提供します。「Java SE Subscription Enterprise Performance Pack」や、Javaポートフォリオ全体を対象としたトリアージサポート、「Java Management Service」の利用機能、お客様のビジネスペースに合わせた柔軟なアップグレードなどが含まれており、これにより、IT部門は、複雑性を管理しながらコストを削減し、セキュリティ・リスクを軽減できます。 

さらに、OCIや「Oracle Java Universal SE Subscription」を通じたメリットに加え、Java 25ではアプリケーションのパフォーマンス向上に加えて、ポスト量子暗号(PQC)対応など幅広いAI機能やセキュリティ機能も提供され、「Java SE Platform」および「JDK」のパフォーマンス、安定性、セキュリティ強化に貢献します。

グローバルJavaコミュニティを代表するリーダーたちのコメント

Gradle, Inc.のアドボカシー部門責任者であるTrisha Gee氏は次のように述べています。「Javaが半年ごとのリリースサイクルになったとき、正直なところ、ひとつひとつのリリースに面白い新機能を詰め込めるだろうか、それどころか内容がほとんどない“空振り”のリリースも出てくるんじゃないかと思っていました。でも、それは全くの思い違いでした。実際、毎回のJavaリリースには魅力的で実用的な機能が詰まっていて、どうやって大きな新機能を独立した小さな単位に分けて、着実に世に送り出していくかという点でも、とても良い学びになりました。たとえば、各種パターン・マッチング機能は単独でリリースできる独立性を持ちながら、最終的に素晴らしい新機能の集合体となり、Java開発者に新たな問題解決のアプローチをもたらしています。Javaはこれからも力強く発展を続けるでしょう。」

エッフェル・グスターヴ大学准教授のRémi Forax氏は次のように述べています。「JEP 512で導入された『コンパクトなソースファイルとインスタンスのmainメソッド』は、従来のpublic static void main(String[] args) といったお決まりの記述が不要になるため、初心者がJavaを始めやすくなりました。学生たちはシンプルなプログラムからスタートし、理解が深まるごとに少しずつより高度な概念に挑戦できるので、基礎から本格的なオブジェクト指向プログラミングまで自然な流れで学んでいけます。」

サンノゼ州立大学名誉教授のCay Horstmann氏は次のように述べています。「Java 25で私が特に気に入っているのは、『コンパクトなソースファイルとインスタンスのmainメソッド』、そして『モジュール・インポート宣言』です。これらの機能により、初心者でも手軽にJavaを始めることができます。こうした機能は経験豊富なプログラマーにも恩恵があり、日常的な小さなタスクにもJavaを活用できるようになります。脆弱なシェルスクリプトやPythonスクリプトを、ツールの充実した、強力かつ強い型付けのJavaに書き換えるのは非常に楽しい作業です。」

オラクルについて

オラクルは、広範かつ統合されたアプリケーション群に加え、セキュリティを備えた自律型のインフラストラクチャをOracle Cloudとして提供しています。オラクル(NYSE: ORCL)について詳しくは、www.oracle.comをご覧ください。

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商標

Oracle、Java、MySQL及びNetSuiteは、Oracle Corporation、その子会社及び関連会社の米国及びその他の国における登録商標です。NetSuiteは、クラウド・コンピューティングの新時代を切り開いた最初のクラウド・カンパニーです。


会社概要

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業種
情報通信
本社所在地
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電話番号
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代表者名
三澤 智光
上場
東証スタンダード
資本金
250億3300万円
設立
1985年10月