「業界初のJASO DH-2規格性能を有する金属非含有のディーゼルエンジン油の開発」が第73回自動車技術会賞「技術開発賞」を受賞
自動車技術会賞は、1951年に自動車工学および自動車技術の向上発展の奨励を目的に創設されており、自動車技術における多大な貢献・功績を認められた技術者や研究者を表彰するものです。現在、対象別に6種の賞が設けられており、当社社員は、過去3年間に自動車技術発展に役立つ新製品・新技術を開発した個人・共同開発者に贈られる賞である「技術開発賞」を受賞しました。
1. 受賞テーマ
業界初のJASO DH-2規格性能を有する金属非含有のディーゼルエンジン油の開発
2. 受賞者(4名)
清水 保典(しみず やすのり)
甲嶋 宏明(こうしま ひろあき)
葛西 杜継(かさい もりつぐ)
藤浪 行敏(ふじなみ ゆきとし)
3. 受賞理由
環境負荷低減を目的に、ディーゼル車には、排ガス中の粒子状物質(すすや、エンジン油添加剤由来の粒子)を捕集するフィルター(DPF)※2が搭載されている。捕捉されたすすは燃焼させて除去することが可能だが、金属系添加剤由来の粒子は残留し、フィルターの目詰まりを引き起こす。そこで、従来のディーゼルエンジン油で必須成分とされてきた金属系洗浄剤や金属系耐摩耗剤を使用せずに、独自開発の添加剤などを駆使して、金属非含有のエンジン油を設計した。本油が、排ガス後処理装置を搭載するトラック・バス用エンジン油規格であるJASO DH-2規格に規定されたエンジン試験と実験室的性能試験に合格することを確認し、上市した。本技術は、環境負荷低減や車輌の保守管理における運転手の業務効率化などの労働環境改善に貢献できる点が高く評価される。
本技術を用い、昨年9月に業界で初めて発売した無リン無灰のディーゼルエンジンオイル「idemitsu AshFree」は、ディーゼルトラックやバスに搭載されるDPFの目詰まりの要因となる灰を出さないことで、DPFの寿命延長に寄与します。これにより、メンテナンス業務(交換・洗浄)を軽減し、メンテナンス費の削減や整備士の労務時間削減を実現します。加えて、DPFの手動再生※3を抑制することができるため、運転手の待機時間(労務時間)削減などによる物流業界の「2024年問題」解決への貢献や燃料使用量削減によるCO2排出量低減を実現します。「idemitsu AshFree」は発売以降、400件以上(2023年3月末時点)のお客様にご使用頂き、「手動再生の回数が大幅に削減でき、ストレスが無くなった」※4と好評です。
1911 年の創業以来、当社は超緻密な設計にこだわり続け、潤滑油の技術力を磨いてきました。今後もこの技術力を通じ、労務環境の改善やCO2排出量の削減など、社会課題の解決に貢献していきます。
※1当社調べ(調査年月:2022年6月、調査対象:日本国内における商用ディーゼルエンジン・オイルに関するプレスリリース、文献、学会発表)
※2DPFはディーゼルエンジンの排気ガスに含まれるPM(Particulate Matter: 粒子状物質)を捕集し、クリーンな排気ガスに変える装置です。PMは燃料、オイル由来のすすやオイル中の金属添加剤に由来する灰分から発生します。
※3 DPFは定期的な点検・清掃が必要で、PMが溜まると自動的にPMを燃焼させる「再生」処理をすることで、フィルターの性能を保持します。走行条件によっては自動再生では再生が完了しない場合があり、手動での再生を実施する必要が生じます。手動再生は30 分程度車両を停止させて行う必要があります。
※4車両、走行条件により異なります。
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