広島商船高専 酒池耕平准教授と、共同研究者である広島大学大学院 東清一郎教授の研究論文が AIP Publishing Showcase に選出されました!
~フレキシブルエレクトロニクスが描く未来の可能性を紡ぐ、次世代技術のブレイクスルーに挑む~
広島商船高等専門学校(広島県豊田郡大崎上島町 校長:逸見真)の電子制御工学科 酒池耕平准教授と、共同研究者である広島大学大学院先進理工系科学研究科の東清一郎教授の研究論文(以下、本論文)が米国物理学協会(AIP: American Institute of Physics)「AIP Advances」に掲載され、「AIP Publishing Showcase」に選出されました。
◆ 研究成果
革新的低温プロセス技術でエレクトロニクス産業に革命を
本論文における研究(以下、本研究)で開発した技術は、フレキシブルデバイスの実用化を阻んでいた技術的課題の1つを克服する可能性を持つ重要な一歩になると考えています。本研究では、約1000℃で形成する熱酸化二酸化珪素(SiO₂)薄膜のリーク電流密度-電界強度(J-E)特性に匹敵するSiO₂ 薄膜を、わずか52℃という超低温で形成する技術の開発に成功しました。この成果は、フレキシブルディスプレイやウェアラブルセンサーといったフレキシブルデバイスや、次世代エレクトロニクスの進化に貢献できる大きな可能性を秘めています。
主な応用先として期待される分野
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高性能フレキシブルTFT(薄膜トランジスタ)のゲート絶縁膜
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フレキシブルICおよびLSIの絶縁層
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透明エレクトロニクスの基盤
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高機能ガスバリア層
プラスチックフィルムは軽量かつ低コストで、環境負荷が小さいことから、今回の技術との組み合わせにより、持続可能なエレクトロニクス製品の開発にも貢献が期待されます。また、真空装置を必要とせず大気圧下で SiO₂ 薄膜が形成できるため、製造の簡素化、低コスト化、スケーラビリティの向上が期待できます。
更なる技術革新に向けて
本研究では、大気圧プラズマを応用した独自のアプローチによりパーヒドロポリシラザン(perhydropolysilazane : PHPS)を52℃という低温で高品質 SiO₂ 薄膜へシリカ転化させることに成功しました。また、リアルタイム FT-IR 測定技術を駆使してメカニズムを解明し、さらなる低温化や高速化への道筋を明らかにしています。
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◆ 開発者からのコメント
私たちが開発した技術は、次世代フレキシブルエレクトロニクスへの貢献にとどまらず、分野横断的な技術融合による革新的な製品の創出にも寄与する可能性をも秘めています。この度の AIP Publishing Showcase への選出を機に、この技術が世界中のさまざまな分野の方々に広く認知され、フレキシブルエレクトロニクスに関連する技術の進歩や、ひいては世界の発展に貢献できることを心から願っています。
◆ 広島商船高等専門学校について
広島商船高等専門学校は、明治31年5月10日に豊田郡東野村外12か町村組合立芸陽海員学校として創立されました。その後、時代の流れに伴う変革を遂げ、平成16年、独立行政法人国立高等専門学校機構広島商船高等専門学校に移行し、平成17年に5年生本科教育に加えてプラス2年の専攻科として、海事システム工学専攻と産業システム工学専攻の2専攻を有する高等教育機関として発展してきました。
◆ 学校概要
学校名:独立行政法人国立高等専門学校機構 広島商船高等専門学校
所在地:広島県豊田郡大崎上島町東野4272-1
校長:逸見 真
設立:1898年(明治31年)
URL:https://www.hiroshima-cmt.ac.jp/
事業内容:高等専門学校・高等教育機関
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