【岡山県】橋面の下から発見された煉瓦舗装!~翁橋(おきなばし)(津山市)~
岡山県津山市の翁橋で煉瓦舗装が発見されました。
翁橋は、津山市城西地区を南北に流れる藺田川(いだがわ)に架かる1級市道中央線(出雲往来)の橋として、西今町から宮脇町にかけて大正15(1926)年に建設された、橋長10m、幅員9.8mの市道橋です。
平成28年実施の橋梁点検後、令和元年度に実施した現地調査の際、橋面の状態を確認するための試掘調査で発見されたものです。
平成28年実施の橋梁点検後、令和元年度に実施した現地調査の際、橋面の状態を確認するための試掘調査で発見されたものです。
■煉瓦舗装で使用する舗道煉瓦とは
煉瓦について様々な視点からの収集・展示を行っている舞鶴市の「赤レンガ博物館」に問い合わせたところ、見つかった煉瓦は「舗道煉瓦」ではないかとのこと。
舗道煉瓦の研究者である熊倉一見氏の論文によると、「舗道煉瓦は大正10(1921)年頃から昭和10(1935)年頃まで車道用の不燃道路資材として製造されました。その後、コンクリート、アスファルトに取って代わられたため、わずか13、4年という短期間で製造終了となり、道路舗装の事例はほとんど残されていない。」との記述があります。
■舗道煉瓦の形状
発見された舗道煉瓦は、大きさ210×90×80㎜、重量3,400g、底面に当たると思われる箇所にはワッフル状の細かな格子模様の凹凸があり、「赤レンガ博物館」によると通常の煉瓦より硬いということです。
■現存する舗道煉瓦
煉瓦舗装が施工された当時、舗道煉瓦を製造していたのは大阪窯業㈱や品川白煉瓦㈱などで、「赤レンガ博物館」では、大阪窯業製の舗道煉瓦2種を所蔵しているものの、ほかでは実物を確認できるものは多く残っていないものと思われます。
※サイズは一般的なレンガと同程度(210×100×60㎜)。
■舗道煉瓦による舗装実態
土木遺産を研究している元岡山大学教授 馬場俊介氏によると「車道に煉瓦舗装をしている例は見たことがない。大正15年に建設されたRC橋は全国で11か所残されており、岡山県では高梁市の宮下橋とこの翁橋だけである。全国的に見てもRC橋の舗装に煉瓦が使用された事例は聞いたことがない。」「通常の煉瓦はその性質から欠け易く、車道の舗装材には向かない。煉瓦を建築材として多用していたイギリスでも車道はコンクリート系の舗装である。」とのこと。
■今後について
煉瓦舗装が施工された当時は、城西地区が非常に発展した時期であり、当時の最先端の資材を用いて意匠にもこだわった舗装を採用した可能性もあります。
現時点では製造元の特定や煉瓦舗装に至った経緯のほか、試掘調査箇所以外の舗道煉瓦の保存状況など、まだ多くの謎が残っている状況です。
翁橋は、建設から94年が経過しているものの、現在でも城西地区における市民の往来には必要不可欠な橋の一つとなっています。
今後は、翁橋が近代化遺産に登録されていることや、城西地区が重要伝統的建造物群保存地区に選定される見通しであることから、歴史的価値を損なわないよう慎重に補修・修繕方法を検討し、これからも多くの人々の往来でにぎわう橋として保存・活用していく予定です。
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