【熊本地震からまもなく1ヵ月】八代市の避難所での常駐支援を継続。800件超の医療支援から見えた、真夏の避難生活「5つの健康リスク」9月1日「防災の日」を前に、現場の医療者が伝える備え

日本発祥の国際医療NGOである特定非営利活動法人ジャパンハート(東京都台東区、理事長:𠮷岡春菜)は、2026年7月28日に発生した令和8年熊本地震からまもなく1ヵ月、また9月1日「防災の日」を前に、県内でも大きな被害を受けた八代市で取り組んできた医療支援活動の実績と、現場で見えた避難生活における健康課題について取りまとめましたので、お知らせいたします。
ジャパンハートは発災当日より現地調査を開始、熊本県との災害時協定を受け、翌日に現場入りのうえ現在も八代市内の各避難所での支援活動を継続しています。
約1ヵ月にわたり避難所へ常駐し、800件を超える医療支援や日頃の避難者の方とのコミュニケーションで見えてきたのは、災害そのものだけではなく、長期化する避難生活が被災者の健康へ及ぼす影響でした。
被災地の今と真夏ならではの健康リスク
7月28日16時27分頃、熊本県熊本地方を震源とする最大震度7を観測した同震災。ジャパンハートが常駐支援を続ける八代市内の2ヵ所の避難所では、現在も計約160名の方(8月26日時点)が避難生活を続けており、ライフラインや地域の生活機能の復旧が進む一方で、避難生活の長期化による健康への影響が懸念されています。
特に今回は、真夏の厳しい暑さのなかでの避難生活となったことから、熱中症や脱水、感染症など、季節特有の健康リスクが高くなっています。

発災翌日から現地で常駐を続けるジャパンハートの支援活動
ジャパンハートは、発災当日に現地調査を開始し、熊本県との災害時協定を受けて翌日に現地入り、被害が深刻な八代市での支援活動を開始しました。避難所等への物資寄贈を実施するとともに、医師・看護師らによる医療支援チームが各避難所に常駐。避難者および車中泊者への巡回を毎日行いながら、特設した医療相談ブースでの診療や健康管理支援に取り組みました。
また、医療に留まらず、居住エリアの整備やトイレ・風呂・洗濯など避難者の生活に関わる避難所の運営サポートも行い、発災以降膨大な対応を抱える行政だけでは手が回りにくい部分を補完する役割も担っています。
現地のフェーズが変わりゆくなかで、現在も被災者の方々に安心を届けるため常駐を続けており、引き続き健康相談はじめ、健康管理の一環で生活環境改善サポート、避難所運営のサポートを継続しています。
【支援実績(8月25日時点)】

* 活動期間:2026年7月28日~継続
* 派遣スタッフ数:43名(医師・看護師・調整員)
* 医療相談数:169名・858件(避難所内 特設医療ブース訪問+巡回合算)
* その他活動:避難所常駐支援2ヵ所、別避難所および在宅避難者への出張診療+看護師巡回 12件(自治体要請)
* 物資支援:5ヵ所(水、食料、生活用品、衣類など)
現場の医療者が見た真夏の避難生活「5つの健康リスク」
医療チームの約1ヵ月にわたる支援活動を通じ、被災者の方のさまざまな健康課題に直面しました。そのなかでも真夏ならではの事例含め、特に懸念される5つのリスク・実際にあったケース・各対策は以下の通りです。
① 熱中症・脱水

<実際にあった事例>
・発災直後はトイレの衛生状態が悪く、トイレを控えるために水分を我慢してしまった方に脱水症状がみられた。
・避難所はエアコンが効いていても、地震被害を受けた自宅(電気未復旧や地震による損壊でエアコンが使用できない)の掃除などで日中戻ったことで、熱中症疑いがみられた。
・高齢の方は喉の渇きに自分で気づきづらいため、ジャパンハートの受診を通じてその後入院したケースもあった。
<主な対策>
こまめな水分(特に日中と寝る前、一度に大量ではなく少量をこまめに)・塩分補給、日中の暑さがピークの時間帯はなるべく外出を控える など
② 深部静脈血栓症 (エコノミークラス症候群)
<実際にあった事例>
他機関が行った検査で、血栓が確認された方がいたとの報告あり。避難生活が長期化する中、引き続き発症への注意が必要とされている。
<主な対策>長時間同じ姿勢を避ける、足首を動かす体操、適度な水分補給 など ※特に車中泊者はリスクが多いため心掛ける
③ 感染症・食中毒

<実際にあった事例>
・地震で外傷を負った方が、生活用水不足で患部を洗えないまま自己処置で済ませてしまい、発汗や不衛生な環境により悪化し化膿。
・炊き出しを避難所で長時間自己保管し、食中毒リスクの高い方々がいたためリスクをお伝えするケースがあった。
<主な対策>
手洗い・手指消毒、怪我はウェットティッシュで拭くのではなく清潔な流水や飲用可能な水で洗い流す、配給される保存食ではない食料はその時摂取できる分を取る、ノロウイルスなど便を介して広がる感染症も多いためトイレの衛生環境を整える など
④ 慢性疾患の悪化・服薬中断リスク
<実際にあった事例>
・炊き出しや配給の多い総菜パンは高塩分のものも多く、それらを食事とすることが多い生活の中で、高血圧者に限らず避難者の血圧数値があがる傾向がみられた。
・喘息をもつ方が、空調調節が難しく、粉塵が付着する外履き靴と生活スペースが近い避難所で過ごす中、発作が出て救急搬送される事態に。
<主な対策>
お薬手帳の携帯、防災セットに内服薬をセット、持病に合った非常食(高血圧の方は減塩など)を用意、(呼吸器疾患)定期的な換気・生活スペースの清掃・マスクの着用・床から高い位置で休めるよう携帯ベッドを準備 など
⑤ 心身の不調(不眠・ストレス)

<実際にあった事例>
発災直後は「命が助かって良かった」という声が多く相談やトラブルは比較的少なかったが、1週経過した頃より、先の見えない避難生活や生活再建への不安から、感情の大きな起伏や不眠相談が多数寄せられるようになった。
<主な対策>
一人で抱え込まない、散歩など気分転換になる時間を設ける、アイマスク・耳栓などのストレス軽減グッズを防災グッズに入れておく、他者と交流する機会をつくる など
今後の展望
ジャパンハートの災害医療支援チームでは、今後市内の避難所が集約されていく中でも、医療・福祉的介入が必要な方が仮設住宅への入居までに避難所で安心して生活することができるよう、その時々のフェーズや現場のニーズに合わせた活動内容の調整を行う予定です。
事業責任者のコメントは以下の通りです。
【ジャパンハート災害支援・対策セクション部長 髙橋茉莉子 コメント】

発災から1ヵ月が経過し、段階的にインフラが復旧してご自宅に戻ることの出来る方も増えてきた一方、八代市内では未だ約900世帯/約1,400名の方(8月26日時点)が避難所で生活を続けておられます。地域の医療機関も概ね復旧しており、急性期医療ニーズは比較的安定してきた一方、精神的な不安を抱える方や、生活環境の変化により家族の介護負担が増えている方など、より福祉的なニーズの高まりも感じています。
ジャパンハートは被災された方々に近い場所で活動し続ける団体として、その時々の状況の変化に柔軟に対応しつつも、災害関連死の防止を念頭に、一人でも多くの方がスムーズに次の生活に移行していけるよう、支援を行って参ります。
引き続き、ご支援とご声援のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
【ジャパンハート災害医療支援チーム 熊本県での過去の救援活動実績】
・平成28年(2016年)熊本地震 緊急救援
・令和2年7月豪雨 緊急救援
・2020年~新型コロナウイルス感染症 クラスター発生医療福祉機関への医療チーム派遣
-2020年7月山鹿市
-2021年1月水俣市、葦北郡、上益城郡
-2022年2月八代市
※ジャパンハートは、熊本県での災害発生時等の医療救護活動において、2021年に同県と「大規模災害時等における支援活動に関する協定」を締結しています。
このたびの現地での支援活動に伴い、ジャパンハートは寄付を受け付けています。
詳細: https://www.japanheart.org/topics/support/20260728_kumamoto_earthquake.html
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