自らもひきこもりを経験した現代美術家・渡辺篤が、ひきこもり生活を送る人々が撮影した部屋の写真集を2月に出版。記念展も横浜で同時開催!
アーツコミッション・ヨコハマ(公益財団法人横浜市芸術文化振興財団)は、「クリエイティブ・インクルージョン活動助成」を通じて、アーティスト、クリエーターによる創造性を活かした社会包摂を試みるプロジェクトを支援している。
http://acy.yafjp.org/grants
平成30年度の当助成採択案件の一つ、現代美術家・渡辺篤の「アイムヒアプロジェクト」は、ひきこもりの方々に協力を呼びかけ彼らが自ら撮影した部屋の写真を集め、その写真集を出版するというプロジェクト。約160枚の写真が集まり、2019年2月16日に写真集が出版される。これまでも渡辺は自身のひきこもり経験をテーマにしたアート作品を発表してきた。記念展覧会では掲載写真を中心とする大型のインスタレーションや映像などを多数展示する。
http://acy.yafjp.org/grants
平成30年度の当助成採択案件の一つ、現代美術家・渡辺篤の「アイムヒアプロジェクト」は、ひきこもりの方々に協力を呼びかけ彼らが自ら撮影した部屋の写真を集め、その写真集を出版するというプロジェクト。約160枚の写真が集まり、2019年2月16日に写真集が出版される。これまでも渡辺は自身のひきこもり経験をテーマにしたアート作品を発表してきた。記念展覧会では掲載写真を中心とする大型のインスタレーションや映像などを多数展示する。
- 「アイムヒア プロジェクト」とは…
ひきこもりにまつわる問題に対し、新たな当事者発信の形を模索し、当事者の尊重と社会への周知や問いを提示する企画。
今回、ひきこもり当事者が自ら撮影した部屋写真をインターネットで募集し、約160枚が集まった。
これらをデザイナーや写真家らとの編集作業を経て写真集を出版する。
渡辺自身も過去に、足掛け3年間の深刻なひきこもりを経験しているが、それを終える日に自身の姿や部屋を写真撮影した。
”ひきこもった多くの時間は決して無駄な時間などではなく、 きっとこの「写真作品」を撮影するために必要な制作期間だったのだ” と、認識を切り替えて、美術家として社会復帰した。
このプロジェクトは、人生における困窮や自閉してしまった時間もまた、クリエイティブな価値になり得る事を示している。
プロジェクト名の”アイムヒア”は、”僕は/わたしはここにいる”という意味。
- 「アイムヒア プロジェクト」写真集出版 / 記念展 "まなざしについて"
展覧会名:「アイムヒア プロジェクト」写真集出版記念展 "まなざしについて"
会場:高架下スタジオSite-Aギャラリー
住所:231-0054 横浜市中区黄金町1-6番地先
会期:2019年2月16日(土)- 24日(日) ※会期中無休
時間:11:00-19:00
入場料:無料 ※一部有料イベント有り
主催:アイムヒア プロジェクト (代表:渡辺篤)
助成:アーツコミッション・ヨコハマ
協力:黄金町エリアマネジメントセンター、R16スタジオ
お問合せ:TEL 045-261-5467(黄金町エリアマネジメントセンター)
WEBサイト:https://www.iamhere-project.org(「アイムヒア プロジェクト」ウェブサイト)
<写真集>
タイトル:「 I'm here project 」
サイズ:B6
価格:1,000円(予定)
ページ数:48p(予定)
解説:天野太郎(横浜市民ギャラリーあざみ野 主席学芸員/札幌国際芸術祭2020統括ディレクター)
編集:アイムヒア プロジェクト
デザイン:川村格夫
フォトリタッチ・フォトディレクション:井上圭佑
発行者:アイムヒア プロジェクト(代表 渡辺篤)
英文校正:Sam Stocker
英文校正アシスタント:新江千代
助成:アーツコミッション・ヨコハマ
<会期中のイベント>
◎オープニングパーティ/パフォーマンス
日時:2月16日(土)17:00- 21:00
入場無料
※パフォーマンス参加ご希望の方は「カナヅチ」をご持参下さい。
◎ゲストトーク①「まなざしの暴力性について〜ひきこもり問題の現場から〜」
日時:2月17日(日)、18:00-(90分程度を予定)
ゲスト:池上正樹氏(ジャーナリスト)、当事者・経験者 × 渡辺篤(アイムヒア プロジェクト代表)
入場料:1,000円
先着20名
■池上正樹氏プロフィール……通信社などの勤務を経てジャーナリスト。日本文藝家協会会員。9月14日に新刊『ルポ ひきこもり未満』(集英社新書)。他に『ひきこもる女性たち』『大人のひきこもり』『ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護』『ふたたび、ここから~東日本大震災・石巻の人たちの50日間』『痴漢「冤罪裁判」』『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(共著)『石巻市立大川小学校「事故検証委員会」を検証する』(共著)など著書多数。ダイヤモンド・オンラインで『「引きこもり」するオトナたち』を連載中。対話の場「IORI」設立メンバー。KHJ全国ひきこもり家族会連合会事業委員、東京都町田市「ひきこもり」部会委員なども務める。
◎ゲストトーク②「社会包摂と表現について〜新人Hソケリッサ!の場合〜」
日時:2月23日(土)、18:00-(90分程度を予定)
ゲスト:アオキ裕キ氏(ダンサー・振付家) × 渡辺篤(アイムヒア プロジェクト代表)
入場料:1,000円
先着20名
■アオキ裕キ氏プロフィール……ダンサー・振付家。兵庫県出身。 87年より東京にて平田あけみ氏よりジャズダンスを教わる。 テーマパークダンサー、タレントのバックダンサー業などを経て、02年オフィスルゥに所属。メディアの振り付け業と共に、コンテンポラリーダンスを始める。香瑠鼓、上島雪夫、石川ふくろう、加藤みやこ作品などダンサーとして参加。 舞踏を笠井叡より学び、更なる踊りの可能性、今あるべき真価を追求。05年、任意団体アオキカクを主宰。生きることに向き合う身体から生まれる踊りを探求し、05年ビッグイシューの協力とともに路上生活経験者を集め、ダンスグループ「新人Hソケリッサ!」を開始。身体の歴史から生まれる形に価値を置き、「誰でも踊りはできる」を提言。言葉による振り付け等を行い、個人しか生み出せない体の記憶を形成した踊りにより、自己肯定を生み出すなど、社会的弱者への社会復帰プログラム、又ダンス教育としてのアプローチとしても定評を得ている。
◎主催者による「ギャラリートーク」
日時|2月18日(月), 19日(火), 20日(水), 21日(木), 22日(金)、いずれも18:00-(30分程度を予定)
解説者:渡辺篤(アイムヒア プロジェクト代表)
参加費|一般: 500円、ひきこもり当事者: 無料
…各作品の成り立ちや背景について、プロジェクト代表・渡辺篤が解説します。質疑応答も。ひきこもり当事者歓迎。
※情報公開後、内容が変更されている場合がございます。詳細はウェブサイトをご確認ください。
<以下 補足情報>
アイムヒア プロジェクト代表
渡辺 篤 | Atsushi Watanabe
【プロフィール】
現代美術家。1978年 神奈川県生まれ。
東京藝術大学在学中から、自身の経験を根幹とする、新興宗教・経済格差・ホームレス・アニマルライツ・精神疾患・セクシャルマイノリティなどの、社会からタブーや穢れとして扱われうる様々な問題や、それにまつわる状況を批評的に取り扱ってきた。
近年は、不可視の社会問題でもあり、また自身も元当事者である「ひきこもり」の経験を基点に、心の傷を持った者たちと協働するインターネットを介したプロジェクトを多数実施。
そこでは、当事者性と他者性、共感の可能性と不可能性、社会包摂の在り方についてなど、社会/文化/心理/福祉のテーマにも及ぶ取り組みを行う。社会問題に対してアートが物理的・精神的に介入し、解決に向けた直接的な作用を及ぼす可能性を追求している。
作品発表以外では、当事者経験や表現者としての視点を活かし、「ハートネットTV」(NHK Eテレ、2018年)などのテレビ出演や、雑誌・新聞・webにインタビューや執筆多数。
アートのみならず、医療や福祉のジャンルでの学会やシンポジウム登壇も行う。
【略歴】
2013 ひきこもり生活を終え、美術家に復帰。以後精力的に活動を続ける
2010 さまざまな居場所の喪失を理由に、ひきこもり始める
2009 東京藝術大学大学院 美術研究科 絵画専攻(油画)修了
2007 東京藝術大学 美術学部 絵画科油画専攻 卒業
▶︎渡辺 篤 ウェブサイト|https://www.atsushi-watanabe.jp/
【活動歴】
〈個 展〉
2017 「わたしの傷/あなたの傷」六本木ヒルズ A/Dギャラリー、東京
2014 「止まった部屋 動き出した家」NANJO HOUSE、東京
2014 「ヨセナベ展」Art Lab AKIBA、東京
〈グループ展〉
2017 「藝「大」コレクション パンドラの箱が開いた!」東京藝術大学美術館、東京
2016 「黄金町バザール 2016 −アジア的生活」黄金町、神奈川
2009 「ASIA PANIC」光州ビエンナーレホール、韓国
2008 「チバトリ」千葉市美術館、千葉
〈その他〉
2018 「アーツコミッション・ヨコハマによるクリエイティブ・インクルージョン活動助成」に採択。
2016/2017 「アーツコミッション・ヨコハマによる若手芸術家育成助成」に採択。
2016 「ARTISTS’ GUILD」加入。
◇ ◇
【「アイムヒア プロジェクト」の目指すもの】
現代美術家・渡辺篤が中心となりプロジェクトを始動。
2018年8月から約3ヶ月間ひきこもりの当事者に向けインターネットで部屋の写真を募集。
約150枚ほどが集まった(2014年開催の同様企画の際のものを含む)。
このプロジェクトでは、当事者の在り方を「写真という媒介」を用い、ありのままに肯定をする
(運営は、当事者を写真家として見立て、それぞれに撮影費を支払ってもいる)。
そこでは文章力も人脈も必要無く、カメラの持つ、”そのままを写す”という機能を使い、当事者にしか撮れない表現を作る。
シャッターを押して、メールで送るだけ。おそらくそこには少しの勇気と自己表現の意欲がある。
きっと、ある人は怒りがあり、ある人は客観視のきっかけを求め、またある人は不動の日常に何らかの変化を期待して。
・当事者が、自身の生活に風穴を開け再度社会と接続する事、自身の今を客観視する事。
・社会が、不可視の社会問題に気付き、そこにある当事者性に意識を傾ける事。そして、排他性・搾取性・暴力性に自覚する事。考える事。
・アートが、社会と向き合い、社会包摂としての現実的な作用を作り出す事。アートにしかできない社会変革を作る事。
プロジェクトでは様々なクリエイターや福祉関係者・支援者、財団のご協力やご支援の下、こうした課題にアプローチしている。
▶︎「アイムヒア プロジェクト」ウェブサイト|https://www.iamhere-project.org
【直近のメディア掲載 】
▶︎ NHK NEWS WEB「WEB特集 ひきこもりの部屋から」|https://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2018_1101_2.html
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