2024年、防災準備における心配事のトップは「非常用トイレなど断水時の備え」。避難所の施設について、78.9%が「トイレ」の整備を求める。
「防災に関する調査」
<調査背景>
今回は、いつ起こるか分からない自然災害への防災について、その意識レベルや行動レベル、避難所における不安な点などを調査。現在の生活者の実態を分析しました。
【調査概要】
調査の方法:株式会社ネオマーケティングが運営するアンケートシステムを利用したWEBアンケート方式で実施
調査の対象:全国の20歳以上69歳以下の男女
有効回答数:1,000名
調査実施日:2024年1月31日(水)~2024年2月1日(木)
「防災に関する調査」主な質問と回答
防災準備における心配事は:47.4%が「非常用トイレなど断水時の備え」と回答。
断水時における心配が、「飲用水」「非常食」を抜いてトップに。
心配事として「食糧備蓄が足りるか」が77.2%でトップだった、昨年の類似調査(2023年7月13日〜14日実施)と比較すると、意識の変化がうかがえる。昨今のニュースを見て、「断水」や「トイレの衛生」の問題などを、改めて、より切実なものとして受け止める人が増えたのかもしれない。
住まいの近くの避難所について、どの程度知っているか:63.8%が避難所について「知っている」。
「実際に行ったことがある」という最も万全な状態の割合23.4%と、「行ったことはないが、場所は知っている」と、いつでも避難所に向かうことができる状態の割合40.4%を合わせると、合計63.8%が避難所について「知っている」ということに。
「地域の避難場所(指定緊急避難場所)を知っているか」の設問で「知っている」と回答した割合が54.9%と約半数だった昨年の類似調査(2023年7月13日〜14日実施)と比較すると、やはり今年は防災への意識が強まっているようにうかがえる。
まず、防災対策を行っているかお聞きしました。
※ここでいう「防災対策」とは、防災用品の準備や、家具の転倒防止対策、ハザードマップの確認などを指します。
◆防災対策を行っているか(n=1,000)
全体の結果を見ると、「対策している」が46.0%で「対策していない」が54.0%となり、やや後者が優勢となりました。
「対策している」と回答した割合を性年代別で比較すると、男性だと50代で39.7%、女性だと40代で37.5%と、防災意識が全体より6〜8ポイント前後低い層もありました。
しかし、どの層においても30%を下回ることがなく、一定の防災意識は持っていることがうかがえました。
また、世帯によってもその防災意識は大きく異なりました。
中でも、「夫婦と子供の世帯」や「夫婦と子供と親の世帯」など、“子供がいる”世帯は、それぞれ51.2%・58.8%が「対策している」と回答。全体よりも防災意識が高い傾向が見られました。
前掲した設問【防災対策を行っているか】にて「対策している」と回答した人に対し、直近で防災対策した時期をお聞きしました。(※今回の調査時期は2024年2月1日)
◆直近で防災対策した時期(n=460)
すると防災対策を行っている人の半数以上が、一昨年より前に着手していることがわかりました。
一方で、防災対策を行っている人の5人に1人は「今年」と回答。
生活者の防災意識も強まっている様子がうかがえます。
前掲した設問【防災対策を行っているか】にて「対策している」と回答した人に対し、行なっている対策をお聞きしました。
◆行っている対策(n=460)
「防災用品の用意をした」が87.0%でトップに。
「防災対策」と聞いてまず思い浮かぶのが、災害がおこった後に必要な、食料品や簡易トイレなどの細々としたグッズ、という人は多いのではないでしょうか。
そんな中で最も対策率が低かったのが、震災などの被害を最小限に抑えるための「家具の転倒防止など、家の中の防災対策をおこなった」という行動でしたが、それでも69.8%が対策済みでした。
前掲した設問【防災対策を行っているか】にて「対策している」と回答した人に対し、防災用品の準備は十分にできていると思うか、お聞きしました。
◆防災用品の準備が十分にできていると思うか(n=460)
現時点で防災対策を行っている人でも、62.4%が準備不足を感じていることがわかりました。
缶詰や水といった食料・飲料を一通り購入したけれど定期的に賞味期限のチェックをしていない場合、防災グッズを購入して満足してしまっている・実際に使えるかどうか確認したことが無い場合も多いのかもしれません。
【2023年類似調査】
しかし、昨年おこなった類似調査(2023年7月13日〜14日実施)と比較すると、今年は(準備が)「できていない」の割合がやや減少していることがわかります。
昨年から今年にかけて、より一層本格的な準備を行う人が増えたようです。
前掲した設問【防災用品の準備が十分にできていると思うか】にて「できていない」と回答した人に対し、防災準備のどの点が心配かお聞きしました。(心配度が特に高いものを3つまで選択)
◆防災準備における心配事(n=287)
TOP3が全て40%台で並びました。
そんな中、「飲用水」「非常食」を抜き、「非常用トイレなど断水時の備え」が47.4%でトップに。
【2023年類似調査】
心配事として「食糧備蓄が足りるか」が77.2%でトップだった、昨年の類似調査(2023年7月13日〜14日実施)と比較すると、意識の変化がうかがえます。
昨今のニュースから「断水」や「トイレの衛生」の問題などを、改めて、より切実なものとして受け止める人が増えたのかもしれません。
前掲した設問【防災対策を行っているか】にて「対策している」と回答した人に対し、防災用品の中に、自分のために特別に加えているものがあるか、自由記述にてお聞きしました。
◆防災用品の中に、特別に加えているもの(自由記述)
生理用品や薬といった、健康・衛生面で必須のものから、軍手やラップなど、避難所での快適な生活を見据えたグッズが挙がりました。
また中には、お菓子やぬいぐるみなど、精神面での安定を図るグッズを挙げる声も見られました。
【自由回答の一部抜粋】※一部文章を編集しております。
ラップ(22歳、女性)
発電機(66歳、男性)
生理用品(39歳、女性)
がれき対策の軍手(38歳、女性)
懐中電灯(54歳、男性)
不安解消のためのぬいぐるみ(43歳、女性)
笛。動けないときに吹くサインのため(63歳、女性)
スリッパ。快適に避難所で過ごしたいから(43歳、男性)
自分用の薬。自分のタオル。気に入った手触りのものが快適だから(50歳、女性)
使わなくなったオムツや尿パット。トイレが使えなくなって困りそうだから(38歳、女性)
キャリーケースにキャンプ用品一式。数泊できるのと、大体のことに対応できるから(33歳、男性)
使い捨てカイロ。お腹が弱く、よく使い捨てカイロで温めているため(34歳、女性)
眼鏡。寝ている時に災害があった場合、探しているより防災グッズの中に入れておいた方が早い(62歳、女性)
食事系だけでなくお菓子も用意している。避難の期間が長くなればなるほど精神的に追い詰められると思うので、精神安定剤として用意している(33歳、女性)
のど飴(51歳、女性)
また、今年(2024年)に入ってから、防災対策のために購入したものはあるか、自由記述にて具体的にお聞きしました。
◆今年(2024年)に入ってから防災対策のため購入したもの(自由記述)
防災用品を見直す中で、食料品を買い足す人や電池を交換した人の声がありました。
また、今年初めて簡易トイレや携帯トイレを購入したという人の声も目立ちました。
【自由回答の一部抜粋】※一部文章を編集しております。
防寒用のアルミのシート(49歳、男性)
ポータブル電源とカップラーメンや飲み物などを少し買い足しました(52歳、女性)
交換用の乾電池(64歳、女性)
水とカップラーメンの買い替え(36歳、男性)
お湯でできるごはん(29歳、男性)
救急セット(60歳、女性)
非常用トイレ(39歳、女性)
ポータブルトイレ(39歳、女性)
寝袋(51歳、女性)
非常用トイレ、レインコート、抗菌シート、サバイバルナイフ(40歳、男性)
携帯トイレ(68歳、女性)
簡易トイレ(47歳、男性)
非常食の追加、アルミポンチョ(28歳、女性)
また、住まいの近くの避難所について、どの程度知っているかお聞きしました。
◆住まいの近くの避難所について、どの程度知っているか(n=1,000)
「実際に行ったことがある」という、最も万全な状態の割合が23.4%でした。
しかし「行ったことはないが、場所は知っている」と、いつでも避難所に向かうことができる状態の人も含めると、合計63.8%が避難所について「知っている」ということに。
【2023年類似調査】
昨年おこなった類似調査(2023年7月13日〜14日実施)では、「地域の避難場所(指定緊急避難場所)を知っているか」の設問で「知っている」と回答した割合は54.9%と約半数でした。
昨年と比較すると、やはり今年は防災への意識が強まっているようにうかがえます。
また、避難所の施設で整えて欲しいと思うものをお聞きしました。
◆避難所の施設で整えて欲しいと思うもの(n=1,000)
前掲した設問【防災準備における心配事】では、「非常用トイレなど断水時の備え」が47.4%でトップになっていましたが、やはり本設問でも「トイレ」は78.9%でトップとなり、心配の強さがうかがえました。
水が流せないことによる衛生面での問題や、トイレの数不足、また、特に女性や子どもの場合は防犯面も気になるところ。避難所のトイレをできるだけ避けたい、もしくは使いたくても満足に使えない状態だと、我慢して水分摂取を控えてしまい、病を引き起こす可能性も少なくありません。
避難所のトイレの整備はもちろん、個人で用意できる簡易トイレや携帯トイレの機能充実・ラインナップの充実が、今後はより強く求められるでしょう。
最後に、災害時に信用できると感じたメディアをお聞きしました。
◆災害時に信用できると感じたメディア(n=1,000)
「テレビ」が59.7%でトップになりました。
日頃はインターネット上でニュースをキャッチしている人でも、災害時はまずテレビのニュース速報からリアルタイムで状況を確認したい、という人が多いのかもしれません。
【2023年類似調査】
昨年おこなった類似調査(2023年7月13日〜14日実施)では、「災害時に情報源としているメディア」という設問を設けていました。
同じ設問ではないため単純比較はできないものの、昨年の設問ではテレビに次いで「ニュースサイト」が39.3%、「ラジオ」は28.8%となっていましたが、今年の調査では「ラジオ」の割合が45.6%に。
信頼度合いで比較すると、やはりラジオに軍配が上がるようです。
特に、通信ができなくとも乾電池のみで情報を確認できる携帯ラジオは、大規模な災害時に役立つアイテム。情報が無いと不安感も増していくため、精神的な安定のためにも持っておくのが賢明でしょう。
■この調査のその他の質問
・属性情報(婚姻状況、同居中の家族)
など
■この調査で使用した調査サービスはコチラ
ネットリサーチ:https://neo-m.jp/research-service/netresearch/
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<例>「生活者起点のリサーチ&マーケティング支援を行なうネオマーケティングが実施した調査結果によると……」
■「ネオマーケティング」
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