ペトロナスと出光興産が持続可能な航空燃料のサプライチェーン構築に関する共同検討を開始

Petroliam Nasional Berhad（President & Group Chief Executive Officer：YM Tan Sri Tengku Muhammad Taufik Tengku Kamadjaja Aziz、以下「ペトロナス」）と出光興産株式会社（本社：東京都千代田区、代表取締役社⾧：木藤 俊一、以下「出光興産」）は、低炭素エネルギーソリューション提供への重要な一歩として、持続可能な航空燃料（Sustainable Aviation Fuel、以下「SAF」）のサプライチェーン構築・強化に向けた共同検討に関するMOUを締結しました。

本MOUの下で、ペトロナスと出光興産は、SAFの安定的かつ効率的なサプライチェーンを構築するために、バイオ原料のより大規模な確保、生産コスト分析、安全・安定性などの実現可能性調査を行います。また、その一環としてポンガミア※1やジャトロファ※2など、非食用油原料の供給可能性調査を行います。

さらに、SAFの流通・販売網を確立し、航空業界がより安定的にSAFを確保できるよう取り組みます。

両社によるMOU締結セレモニー

■ペトロナス・Datuk Sazali Hamzahエグゼクティブバイスプレジデント兼ダウンストリーム最高経営責任者(CEO)によるコメント

出光興産とのパートナーシップは、世界中で絶えず変化するエネルギー需要を満たすという共通の志のもと、約50年間に及びます。今回の共同検討では、引き続き両社固有の強みを活用し、お客様の利益のためにインパクトのある結果を提供できると考えています。これは、当社が企業間取引のお客様に対して一貫して提供する価値基準です。

■出光興産・澤正彦取締役常務執行役員によるコメント

これまでも様々な困難を共に乗り越えてきた両社だからこそ、強固なパートナーシップに基づいたこの新たな取り組みにより、SAFの早期の社会実装とその展開によって航空業界のカーボンニュートラルの達成に貢献できると期待しています。当社はSAFの多様な原料探索やマーケティングに取り組んでおり、ペトロナスとの協業においてもそれを活かし、さらに発展させていきます。

ペトロナスは、クリーンエネルギーソリューション分野で取り組んでいる、マレーシアジョホール州ペンゲランのバイオリファイナリーとマラッカのco-processingを通じて、2026年までにSAFやその他のバイオ燃料の大規模生産能力を有する予定です。これにより、ペトロナスは航空業界だけでなく、輸送やF1とそのロジスティクスチームを含む市場を獲得することができます。

また、世界で拡大するSAF分野で市場成長の機会をとらえながら、より幅広い原料にアクセスするためにパートナーシップを活用することができる、強力なグローバルプレゼンスを有しています。

出光興産は、2030年までにエアラインによる燃料使用量の10%をSAFに置き換えるという日本政府および航空業界の目標実現に向け、年間50万KLのSAF生産体制の構築に取り組んでいます。エタノールを原料とするATJ※3プロセスや、廃食油を原料とするHEFA※4プロセスによるSAF製造検討に取り組んでおり、これらを通じて培ったSAF製造の専門知識・技術により、競争力のあるSAF供給に貢献します。2026年度から供給開始予定の千葉事業所でのATJ技術による実証に加え、2020年代後半の供給開始を目指し、HEFA技術も対象に2号機以降の展開を検討しています。

※1ポンガミア

　東南アジアやオセアニアに分布する非可食のマメ科植物。種子からの油収量効率の高い樹木であり、SAF原料としての活用が期待されている。

※2ジャトロファ

熱帯・亜熱帯に広く分布する落葉低木。種子が油分を多く含むことから、SAFやバイオディーゼルの現用としての活用が期待されている。

※3ATJ：Alcohol to Jet

エタノールからSAFを製造する技術・プロセスで、SAFの国際規格「ASTM D7566 Annex5」として認証されている。

※4HEFA: Hydroprocessed Esters and Fatty Acids

廃食用油などを水素化処理してSAFを製造する技術・プロセスで、SAFの国際規格「ASTM D7566 Annex2」として認証されている。

ペトロナスについて

　ペトロナスは、100カ国以上に拠点を置く、ダイナミックなグローバルエネルギーグループです。当グループは、責任ある持続可能な方法で、社会の発展を促進するエネルギーとソリューションを提供しています。

ペトロナスは、世界中でエネルギーの可能性を追求し、統合ビジネスモデルを通じて価値を最適化しています。グループポートフォリオには、よりクリーンな従来型および再生可能な資源と、幅広い高度な製品と課題適応型ソリューションが含まれます。

サステナビリティは当グループの活動の中核をなすものであり、当グループは人々の生活を高め、豊かにするため、エネルギーの利点を活用しています。人材は当グループの成長の強みであり、パートナーであり、エネルギーの持続可能性の未来に向けて前進するための革新へ、情熱をもって取り組んでいます。

 

出光興産について

　出光興産は、石油基地、製油所、サービスステーション等を運営し、石油製品や石油化学製品を生産および販売する日本の石油会社で、日本で2番目に大きな石油精製業者でもあります。

出光興産は、2050年までに自社操業による排出量のカーボンニュートラル化を実現することを目指しています。