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国境なき医師団(MSF)日本
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南アフリカ:MSFのHIVプロジェクト 1年早く国際目標を達成

国境なき医師団

国境なき医師団(MSF)は6月12日、南アフリカ東南部クワズル・ナタール州エショウエで運営する地域密着型HIV・結核プロジェクトに関する調査結果を公表。同プロジェクトが国連合同エイズ計画(UNAIDS)の定めるHIVの流行を抑えるための目標値を、期限である2020年よりも1年早く達成したことを明らかにした。

HIV感染率の高い遠隔地でHIVテストを実施する保健スタッフ (2016年撮影)© Greg Lomas MSF HIV感染率の高い遠隔地でHIVテストを実施する保健スタッフ (2016年撮影)© Greg Lomas MSF

HIV対策の重要目標を前倒しで達成

UNAIDSの定める目標とは、2020年までに、(1)HIV感染者の90%以上が自身の状況を把握すること、(2)診断を受けた感染者の90%以上が抗レトロウイルス薬(ARV)による治療を受けること、(3)ARV治療を受けた感染者の90%以上でウイルス抑制すること―――を目指すもので、「90-90-90目標」として、HIV対策に取り組む各国の成果を表す重要な指標にもなっている。

今回の調査で、MSFのプロジェクトでは、感染者の90%が自身の状況を把握し、うち94%がARV治療を受け、さらにそのうちの95%がウイルス量を抑え込む90-94-95という成果を挙げた。この結果は、普段は保健医療が届かないHIV感染者にも、地域密着型の活動であれば医療が確実に届き、直接的な支援を拡大できるというMSFの考えを裏付けるもので、HIV対策に先手を打つための鍵となる。

「90-90-90」は達成可能

MSFの調査は、今週の南アフリカAIDS会議(SA AIDS)で報告される2件の調査を含むHIV感染者に関する他の調査ともおおよそ同一の見解を共有し、特定の地域で新規の感染例が減少したことを示唆する有望なデータとともに、南アフリカでの90-90-90達成は可能だということを強く根拠づけるものとなった。一方で南アフリカ全体の推計値では、85-71-86だった(人間科学調査委員会、2018年)。

MSFの医療チームリーダー、リースベト・オーラー医師は、「4人に1人がHIVを抱えている国内でも、HIV感染率の特に高い地域で90-90-90が達成可能なことを証明できました。この結果は、地元の人たちが全面的にプロジェクトに参加してくれたことを示すものでもあります。地元の市民団体、患者会、保健医療従事者、伝統的治療師、伝統的指導者、そして住民全員が、このプロジェクトの成功のために計画と支援に最初から携わってくださいました」と話す。

「重要なことは、HIV陽性だった人のうち94%の治療開始を実現できたことであり、男性などHIV検査を受ける傾向が少なく、ケアにも結び付きにくい人びとが含まれていたことです」

MSFプロジェクト副コーディネーター、ムサ・ンドゥロヴは、「エショウエがどうやって90-94-95を達成したのか。それは、団結の力によるものと言っていいでしょう。地域の伝統的な指導者の方々に全面的な協力をいただき、保健や教育の担当局とも各所で緊密に連携しました」と説明する。

「このプロジェクトの開始当初、地元の皆さんはHIVについて話すなんて考えられないほどでした。今はMSFの車を引き止めて、HIV検査について質問までくださいます。MSFが地元の人たちのために成し遂げたのではなく、地元の人たちとともに成し遂げたのです」
 

抗レトロウイルス薬(ARV)を提供するスタッフと患者(2016年撮影)© Greg Lomas MSF抗レトロウイルス薬(ARV)を提供するスタッフと患者(2016年撮影)© Greg Lomas MSF

2013年調査よりも改善傾向

今回の調査はMSFの疫学研究機関「エピセンター」により、15~59歳の対象住民3286人に行われた。2013年に重点活動を推し進めるために調査した場所と同じ地域での追跡調査とした。

2018年調査では、90-90-90目標の(1)HIV感染の状況を把握する人の割合が前回と比べて14%ポイント増、(2)治療を開始した人の割合が24%ポイント増と、2013年から大幅に増えた。

男性の間では、(1)HIV感染の状況を把握する人の割合が68%から83%へ、(2)治療する人の割合が68%から87%へと急上昇した。そして、HIVを抱える人のうち、ウイルス抑制されていた人の割合も全体で56%から84%まで増加し、HIVを他の人に広げる可能性のある人の減少と、新規感染リスクの減少とが示唆されている。HIV感染発生率に関する速報値でも、2013年の1.2%から、2018年の0.2%と、改善傾向が見られた。

しかしながら特定の年齢層には相当の課題が残っており、この調査結果だけで今後を楽観することはできない。

「15~29歳の女性のHIV感染発生率は2.9%から1.2%まで下降しているものの、それでも依然として高い数値で、思春期の少女と若年女性を脅かす持続的なリスクを示しています」と、MSF医療コーディネーター、ラウラ・トリビーニョ医師は指摘する。

「男性への援助もやはり難しく、どのようなケアでも、総じて治療の成果が芳しくありません。HIV感染を診断された15~29歳の若年男性の半数以上が、今も治療を受けていません。このようにHIVに対して最も弱い立場にある集団を援助する上で、今回の調査結果が、彼らに治療を届けるための一致団結に繋がるようにと願っています」

2013年にUNAIDSが設定した目標90-90-90に先立ち、2011年に始まった本プロジェクトは、新規HIV感染とHIV関連疾患・死亡例を示す曲線を下降させることが目標だった。HIV感染予防、HIV検査の拡大、住民の速やかなケアの勧奨、治療の順守・継続とウイルス抑制の支援のために、地元住民およびクワズル・ナタール州保健局と協力のもと、さまざまな活動が立ち上げられた。現在、このプロジェクトは地域にある10診療所と2病院を対象とし、2012年から2018年にかけて非専門スタッフらが合計12万件の大規模な戸別検査を行うなど、地域密着型のHIV予防・検査に注力。2015~2018年には、毎年135万個のコンドームを配布している。

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業種
医療・福祉
本社所在地
東京都新宿区馬場下町1-1  FORECAST早稲田FIRST 3階
電話番号
03-5286-6123
代表者名
村田慎二郎
上場
未上場
資本金
-
設立
1992年12月
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