HIF社と合成メタノール(e-メタノール)に関する共同検討を開始
合成メタノール(e-メタノール)は、大気中などから回収したCO2と再生可能エネルギー由来の水素を合成することで生成されます。需要が今後も拡大すると見込まれる船舶燃料として直接利用することができるほか、合成メタノールからは、合成ガソリン、合成SAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)、合成ディーゼルなどの合成燃料(e-fuel)や、合成化学品を選択的に製造することが可能です。化石燃料から製造されるメタノールと異なりCO2そのものを原料とするため、最終製品の利用までを含めた製品ライフサイクル全体において、低炭素化に大きく寄与します。
HIF USAは米国テキサス州マタゴルダにおいて、年産140 万トン規模の合成メタノール製造施設の起ち上げに取り組んでいます。当社は本年3月にHIF Globalと合成燃料分野における戦略的パートナーシップに関するMOUを締結(https://www.idemitsu.com/jp/news/2023/230405.html)し、同グループと合成燃料の早期社会実装に向けて各種検討を進めてきました。本合意はその進捗の一環であり、今回、同グループからの合成メタノールの調達および合成メタノールの事業開発に向けた検討に共同で取り組むことを合意しました。
メタノールは常温常圧下で液体であり、貯蔵・輸送・供給においては、タンクやパイプラインなど当社の既存設備の活用が可能です。当社は、環境負荷が少なく高い汎用性を持つ合成メタノールのサプライチェーン構築を目指し、安価な再生可能エネルギーを利用して合成メタノールの製造が行える海外からの調達や、船舶燃料用途としての需要開拓と補油(バンカリング)設備の整備、国内での合成燃料・合成化学品の生産についての検討を加速します。
当社は2022年11月に発表した「中期経営計画(2023~2025年度)」において、下記3つの事業領域の社会実装を通じ、事業ポートフォリオ転換を推進することを表明しました。
本取り組みは当社が掲げる2050年のカーボンニュートラル社会の実現に向けた3つの事業領域のうち「一歩先のエネルギー」「多様な省資源・資源循環ソリューション」の開発と社会実装に向けた取り組みと位置付けています。
■HIFについて
HIF Globalは、低コストの再生可能エネルギーをベースに、水素を既存のインフラで輸送・利用可能な液体合成燃料に変換するプロジェクトを推進する、世界有数の企業です。HIFという社名は「地球の脱炭素化を可能にするHighly Innovative Fuelsを提供する」という会社の理念を表しており、HIF Latam、HIF USA、HIF Asia Pacific、HIF EMEAなど、グローバルに事業を展開しています。2022年12月にチリのマガジャネスにあるHaru Oni実証プラントから初めての合成燃料の生産を成功させており、2024年には米テキサス州での商業規模のHIF Matagordaプラントの建設を開始する予定です。また、HIF Globalにとって豪州で初となるタスマニア州でのプラント建設を、2022年7月に発表しています。
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