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国立大学法人千葉大学
会社概要

感じられる時間の長さは、体験した出来事の数ではなく 出来事を体験するための認知的負荷で決まっていた

国立大学法人千葉大学

 国立大学法人千葉大学人文科学研究院の一川 誠 教授は、三好 正剛 氏(大学院人文社会科学研究科博士前期課程 2018年修了)とともに、次々と提示される画像の中からターゲットとなる画像をすべて検出できた場合と見落としがあった場合などを比較し、感じられる時間の長さと実際の時間の長さとの関係を調べました。その結果、感じられる時間は提示したターゲットの数ではなく、検出の成否によって変動することが実証されました。 
 このことから、感じられる時間は、体験された出来事の数ではなく、出来事を「体験した」と認識するために必要な認知的負荷(※)が大きいほど長くなることが示され、このような認知的要因が感じられる時間の長さに及ぼす影響は、従来考えられていたよりも強いことが分かりました。
 本研究成果は2020年12月26日 (日本時間)にi-Perception、Vol.11、No.6でオンライン公開されました。
※ 課題遂行のために費やされる認知的努力(速く動く対象を目で追う際に集中するなど)のこと。
  • 研究の背景:体験される出来事の数と感じられる時間の長さとの関係
​ 人間が感じる時間の長さについての研究(主観的時間研究)では、従来より、体験される出来事の数が多いほどその間に感じられる時間は長くなるものと考えられてきました。しかしながら、感じられる時間の長さを決定するのは、出来事の数そのものなのか、それらの出来事を「体験した」という認識を成立させる際に生じた認知的負荷なのか、明らかになっていませんでした。そこで、本研究では、2つのターゲットが連続して提示された場合に、2番目のターゲットを見落としてしまう「注意の瞬き」現象を利用して、知覚される刺激数とターゲット検出のための認知的負荷が、感じられる時間の長さに及ぼす影響を検討しました。
  • 研究の手法:数字ターゲット検出と時間の長さの測定
 本研究では、2種類の刺激系列(ターゲットとなる数字が0〜2つ含まれるアルファベット系列(17〜20フレーム:系列A)と数字を含まないアルファベット系列(16〜21フレーム:系列B))を実験参加者に提示し、その中から数字(ターゲット)を検出するのと並行して、感じられた時間の長さを評価してもらう実験を行いました。各試行において参加者は、確認できた数字ターゲットを答えた後、系列AとBどちらの方が時間を長く感じたのか(図2)と、どちらの方により多くのフレームが見えたか(図3)を判断しました。

 

図1:実験の流れ。実験参加者は、アルファベットもしくは数字が画面に約0.1秒ずつ連続で表示されるフレーム(視覚刺激)を見て、見つけた数字(ターゲット)を答える。図1:実験の流れ。実験参加者は、アルファベットもしくは数字が画面に約0.1秒ずつ連続で表示されるフレーム(視覚刺激)を見て、見つけた数字(ターゲット)を答える。

  • 研究結果

 感じられた時間の長さについては、系列Aで刺激系列の中のターゲットが全て確認できた場合には、ターゲット数によらず、同程度の割合で系列Bよりも系列Aの方が時間が長かったと感じられており、時間が過大評価されたことがわかりました。ターゲットを提示しなかった場合や「注意の瞬き」によって2番目のターゲットを見落とした場合、そうした過大評価は認められませんでした(図2)。

 それに対し、知覚されるフレーム数については、ターゲット検出の成否の影響も受けましたが、実際に提示されたフレーム数にも対応して変動することが認められました(図3)。これらのことから、知覚されたフレーム数と感じられる時間の長さは対応していないことがわかりました。

 

左)図2:感じられる時間の長さについての実験結果 縦軸は、系列Aが系列Bよりも時間が長く感じられた試行の割合の被験者間平均。右)図3:知覚されたフレーム数についての実験結果 縦軸は、系列Aが系列Bよりもフレーム数が多いと感じられた試行の割合の被験者間平均。左)図2:感じられる時間の長さについての実験結果 縦軸は、系列Aが系列Bよりも時間が長く感じられた試行の割合の被験者間平均。右)図3:知覚されたフレーム数についての実験結果 縦軸は、系列Aが系列Bよりもフレーム数が多いと感じられた試行の割合の被験者間平均。

 以上の結果から、刺激系列の観察中に感じられる時間の長さは、体験された出来事の数自体で決まるのではなく、ターゲット検出に必要な認知的負荷に対応して長くなるものと考えられます。
  • 研究者のコメントと今後の展望
 今回の研究結果は、感じられる時間の長さを決定する上で、認知的要因が、従来考えられていたよりも大きな役割を果たしていることを示しています。今後、認知的要因を操作することによって、楽しい時間を伸ばしたり、退屈な時間を短くしたりする方法を特定できるかもしれません。
  • 論文情報
・論文タイトル: Perceived Duration Depends Upon Target Detection in Rapid Serial Visual Presentation Sequence
・雑誌名:i-Perception、Vol.11、No.6
・DOI:10.1177/2041669520981996

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URL
https://www.chiba-u.ac.jp/
業種
教育・学習支援業
本社所在地
千葉県千葉市稲毛区弥生町1-33  
電話番号
043-251-1111
代表者名
横手 幸太郎
上場
未上場
資本金
-
設立
2004年04月
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