行動制限緩和に68.5%の飲食店が「ほぼ賛成」。一方で接種証明にかかる課題も浮き彫りに

株式会社シンクロ・フード

飲食店に特化したリサーチサービス「飲食店リサーチ」(https://www.inshokuten.com/research/company/)を運営する株式会社シンクロ・フード(本社:東京都渋谷区、代表取締役:藤代真一、東証一部:3963)は、飲食店.COM会員を対象に、新型コロナワクチン接種の進捗に伴う行動制限緩和ついてアンケート調査を実施いたしました。
<本調査について>
■調査概要

調査対象:飲食店.COM会員(飲食店経営者・運営者)
回答数:486名
調査期間:2021年9月27日~2021年9月28日
調査方法:インターネット調査

■回答者について
本調査にご協力いただいた回答者のうち69.5%が1店舗のみを運営しております。また、回答者のうち東京にある飲食店の割合は53.1%(首都圏の飲食店の割合は70.1%)となっており、こうした背景が結果に影響していると推測されます。

<調査結果について>
行動制限緩和自体には「賛成」も、オペレーションの難しさや差別を懸念する声多数


9月9日、政府は国内での新型コロナワクチンの接種が進んできていることなどから、今年11月頃を目途に、日常生活における行動制限を段階的に緩和していく方針を発表しました。これに先駆け10月からは、各地で大規模な飲食チェーン店やイベント会場などを使った実証実験が実施されており、並行してワクチン接種の有無やPCR検査陰性を証明する「ワクチン・検査パッケージ」の導入も進められています。そこで今回は、こうした行動制限緩和の動きが示される中での飲食店の実情を調査するため、アンケートを実施いたしました。
※本アンケートは、9月末まで各地に出されていた緊急事態宣言ならびにまん延防止等重点措置(以下、まん延防止措置)の適用中に実施されたもの

初めに、2021年8月の経営状況について、コロナによる影響を受ける前の2019年同月と比較してもらったところ、「2019年8月より70%以上減った」との回答が38.7%と最も多く、続いて「50%減った(10.3%)」、「40%減った(9.1%)」となりました。この結果によると、56.8%の飲食店において「2019年同月より50%以上売上が減った」ことがわかります。ちなみに、7月の経営状況を尋ねた調査でも52.4%が半分以上の売上減を訴えており、状況の悪化はほぼ横ばいの状態です。


次に、現時点(9月27日~9月28日)で営業時間短縮要請(※1)が出されている地域にあるか聞いてみると、95.9%が「はい」と回答しました。


そのうえで、営業時間短縮要請(※1)に従っているか尋ねたところ、96.4%が「従っている」と回答。ほとんどの飲食店が午後8時までの短時間営業を順守しているようです。一方で、東京では時短要請に従わない店舗が引き続き増加していると報道されており、エリアによっては「従っていない」と回答した店舗の割合が増えることが推察されます。
(※1)この設問の「営業時間短縮要請」とは、9月30日まで各地に出されていた緊急事態宣言、またはまん延防止措置によるもの

 

 

さらに、営業時間短縮要請に伴う感染拡大防止協力金の申請をしたことがあるかという質問に対しては、89.5%が「申請したことがある」と回答しています。

 


現時点(9月27日~9月28日)での協力金の支給状況について伺うと、最多は「2021年7月までの要請期間分が振り込まれている」との回答で26.4%。以降は「6月分まで(24.8%)」、「8月分まで(14.5%)」、「5月分まで(13.8%)」という結果になりました。支給スピードについてはこの調査を開始した6月からほぼ変わらず、要請からおよそ3か月後に支給されるケースが多いようです。


次に、飲食店の時短営業や酒類提供停止など、様々な行動制限を緩和していく動きについてどのように感じているか尋ねたところ、40.5%が「賛成」と回答し最多に。次いで「どちらかといえば賛成(28%)」、「どちらともいえない(19.8%)」と続きました。この結果によれば、68.5%が「概ね賛成」の意向であることがわかります。


さらに、飲食店などの現場における「ワクチン・検査パッケージ」の活用についてその賛否を聞いたところ、最も多かった回答が「どちらかといえば賛成」で22.4%。続いて「賛成(21.4%)」、「どちらともいえない(17.3%)」、「反対(16.9%)」となり、43.8%が「概ね賛成」の意向を示しました。一方で、29.9%は「概ね反対」としています。


また、「ワクチン・検査パッケージ」活用の賛否に関する理由について、自由回答で聞いてみると、主に賛成派の「安心材料の一つとして評価できる」という意見や、反対派の「店側の負担や入店時のトラブルが不安」といった声を中心に、以下のような回答が寄せられました。

<回答抜粋>
■ワクチン・検査パッケージの活用に「概ね賛成」の理由
少しでも感染リスクを回避したいから
・飲食店側としてもワクチンを接種してない人が来た時のリスクがあるため(東京都/和食/1店舗)

・今後変異ウイルスの流行の可能性を考えると、店舗の営業・顧客の安全のために一定の来店条件を設けるのは大切だと思うから(埼玉県/バー/1店舗)

安心の担保として
・なんらかの形で証明し合うことは利用者にしてもお店にしても安心材料になる(熊本県/カフェ/1店舗)

・感染リスクを気にされているお客様、また従業員のことも考えると、そういった証明が多少の不安要素を取り除いてくれると思います(東京都/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)

根拠として明確、指標としてわかりやすい
・行動制限を緩めるための根拠になるため(神奈川県/専門料理/2店舗)

・わかりやすい判断材料だと思います。ワクチンさえ接種していれば、海外からのお客様でも、日本人でも同じ条件なので、わかりやすい(大阪府/イタリア料理/1店舗)

経済活動再開の必要性を感じるため
・いつかは通常の経済活動に戻さなければならない。それには少しずつ制限を緩和して行くしかない(東京都/バー/1店舗)

・経済活動を再開するための第一歩として賛成である(東京都/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)

■ワクチン・検査パッケージの活用に「概ね反対」の理由
確認にかかる負担が大きい
・お店がお客様の個人情報を全て聞き出し、個別対応すること自体に違和感を感じるし、お客様全てに対応するための時間と人員を確保するのは無理(東京都/フランス料理/2店舗)

・店側に確認を求めるのか?その手間や時間(コスト)の負担は計り知れない(東京都/アジア料理/1店舗)

お客様との信頼関係やトラブルへの懸念
・常連様などがワクチン接種をしていない場合、入店を拒否するのが困難(東京都/イタリア料理/1店舗)

・コロナは怖いものの、やはり客商売である以上、来られたお客さんは信用して店内に入れたいし、トラブルにもなりそう。また、複数で来て1人だけ証明がなかった場合にどう断っていいものか...(大阪府/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)

様々な理由で接種できない(しない)人に対する配慮
・人権を無視している。アレルギーでワクチンが打てない人、自らの意思でワクチンを接種しない人、色々な事情の人も沢山いると思うので(東京都/和食/1店舗)

・ワクチンは身体的に打てない人もいるので難しいと思う。PCR検査は金額が高く頻繁には受けられない。公費で無料になればいいですが(東京都/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)

差別につながるのではとの懸念
・ワクチン接種差別の助長になる(東京都/カフェ/1店舗)

・自分自身がワクチン接種に関して否定的な考え方だから。打ちたくても打てない人もいる中、差別につながりかねない(大阪府/カフェ/2店舗)

そもそもワクチンやPCR検査の有効性に懐疑的
・ワクチン接種やPCR検査には意味がないと思っているから(大阪府/カフェ/2店舗)

・PCR検査そのものがちゃんと機能をなしていないものと見なしているので、基本的に反対です(大阪府/寿司/1店舗)

「また営業規制されるのでは」、「お客が戻らないのでは」など、不安は尽きず

続いて、本アンケートに回答された方の店舗において、従業員(いない場合は回答者本人)は新型コロナワクチンを接種しているか、または今後接種する予定かどうかを尋ねました。すると、およそ半数以上が「全従業員が2回分を接種済み、または接種予定(51.1%)」と回答。次いで、「一部の従業員が2回分を接種済み、または接種予定(36.1%)」という結果になりました。


また、2021年内に一定の条件下で飲食店の時短営業や酒類提供の停止、人数制限などが緩和された場合、どのような形で営業を行う意向か尋ねたところ、86%が「制限緩和の方針に従い営業を行う」と回答しており、ほとんどの飲食店が段階的な緩和策に協力的な意向を示しています。
※10月現在、第三者認証取得済みの飲食店においては、夜9時までの営業と時間制限付きの酒類提供が許可されています


その中で「制限緩和に関係なく、時短営業などの自粛に努める」と回答した方に、自由回答で理由を尋ねたところ、以下のような回答が寄せられました。

<回答抜粋>
現時点で通常営業を行うことにリスクを感じるため
・コロナに安心してないから(神奈川県/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)

・ブレイクスルー感染で亡くなってる方もいるため。スタッフとお客様を守るため。席の間隔を空けることとパーテーション設置等の感染防止対策をメインに、時短も含めた自粛営業は続けようと思います(東京都/その他/1店舗)

感染の再拡大が不安だから
・夜まで営業してアルコールを提供すれば、また感染者数がすぐ増えてしまうと安易に予想が付くため(大阪府/カフェ/1店舗)

・今はまだ感染拡大の状況をつくりたくないので...。今後の状況判断で決めていきます(神奈川県/洋食/1店舗)

再び出るかもしれない営業規制に備えたい
・現状テイクアウトのみの営業をしている。再度時短要請が出る可能性が高いため、時短したりしなかったりするよりは、当面テイクアウトのみの営業を続けたほうが運営しやすいから(大阪府/カフェ/2店舗)

・現在休業中。再開には仕入れをはじめ様々な準備が必要だが、再度休業要請などが出された場合、ロスが大きいので。様子を見て再開のタイミングを決めます(神奈川県/バー/1店舗)

最後に、今後、行動制限が緩和されることについて不安に思っていることや期待していることを自由回答で伺ったところ、社会全体における経済状況改善への期待よりも、付近の感染状況の悪化や直近の経営にかかる諸問題など、目下の心配事や課題について言及する回答が目立ちました。

<回答抜粋>
感染再拡大により再度営業規制がかかること
・緩めたら緩めただけ感染者が増え始め、またしても規制に入るという現象を繰り返すのでは(埼玉県/バー/1店舗)

・今の段階で緩和することが今後どのようになるのか。一定の仮説もない上に、減ったから緩和しますという感じなので、また感染者が増えて自粛することになるのでは?という不安がなくならない(滋賀県/和食/2店舗)

一部の層における感染防止意識の低下
・お酒の提供を制限したリバウンドで人出が増えること。ワクチン接種をした安心感で行動が大胆になるのではないかと思う(千葉県/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)

・個人のコロナ対策が甘くなり、さらに感染者が増え続けること(東京都/フランス料理/3~5店舗)

外食需要の低下や消費行動の変容に伴う、資金繰りの厳しさ
・経済活動を元に戻していくことは大切なことだが、長期にわたり外食への抵抗感を持たれた方が、また以前のように日常的に外食をするようになるのか、とても不安に感じている(埼玉県/バー/1店舗)

・いまだ不安に思われているお客様は多く、すぐに以前と同じ客入りに戻るはずもないのに、「要請をなくしましたから協力金はありません」となれば、経営にかなり負担が強いられる(東京都/フランス料理/1店舗)

ワクチン接種有無の確認などオペレーションが複雑化すること
・ワクチンパスポートを入店客の規制に利用するときに、ワクチンを打たない人への配慮をしすぎてあやふやな規制になり、もめごとの種になるのが怖い。当店はパスポートを持っていない人はお断りとしたい。打っていない人と席を分けるなど無理(東京都/バー/1店舗)

・行動制限解除は賛成だが、ワクチン接種者と非接種者のような分け方はやめてほしい。チェックする側に立つ現場の難しさも考えてほしい(東京都/カフェ/1店舗)

人員などの確保が間に合うかどうか
・急な緩和に対して人員などの手配が間に合わなくなる(東京都/イタリア料理/1店舗)

・政府のギリギリの発表に、毎回準備や体制を調整するのが大変(大阪府/居酒屋・ダイニングバー/11~30店舗)

一方で、同様の不安は抱きつつも、ひたむきな姿勢や希望を滲ませる声も寄せられました。

・アフターコロナではなく、withコロナとして、やっていかなくては行けないと思うし、あまり国民や顧客を煽らないで欲しい(秋田県/居酒屋・ダイニングバー/6~10店舗)

・自由に食事を楽しめるようになり、世の中が明るくなることに期待します(千葉県/洋食/1店舗)


■調査結果の引用時のお願い
本調査結果の引用時には、以下のご対応をお願い申し上げます。
・クレジットに、「飲食店.COM(株式会社シンクロ・フード)調べ」と明記ください。
・WEB上で引用いただく際には、「飲食店リサーチ」(https://www.inshokuten.com/research/company/)へのリンク付与をお願いいたします。

<問い合わせ先>
■飲食店リサーチについて

・URL:https://www.inshokuten.com/research/company/

「飲食店リサーチ」は、飲食店に特化したリサーチサービスです。飲食店出店者・運営者に対してアンケートを実施し、マーケティングデータを取得することが可能です。飲食店向けの新しい商品・サービスの企画や食品・飲料の研究・開発等の際に、ニーズの把握・データの裏付けといった様々な形で、マーケティングデータを活用いただけます。

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<シンクロ・フードの直近の飲食店支援の取り組み>
シンクロ・フードでは新型コロナウイルスによる外食業界への影響を鑑み、飲食店の皆さまの店舗運営の一助となるべく新サービスの提供、キャンペーンの実施などを行っております。

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■株式会社シンクロ・フードについて
当社は“食の世界をつなぎ、食の未来をつくる”を経営理念としており、「飲食業界に関わる人々をつなぎ、幸せにしていきたい」という想いを社名に込め、当社を設立いたしました。インターネット、テクノロジーの力を最大限に活用し、飲食店の出店開業・運営に必要な「ヒト・モノ・サービス」をタイムリーに結びつけ、今後も食に関わる人々から必要とされるサービスを提供し続けることで、飲食業界の労働生産性を向上させ、業界全体のさらなる発展、成長に貢献したいと考えております。

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