ロシアと「直接輸出入」338社が判明 追加経済制裁の影響必至 国内サプライチェーン、二次取引含め最大1.5万社に影響の可能性
日本企業の「ロシア貿易」状況調査
帝国データバンクは、ロシアと貿易を行う国内輸出入企業と、影響が出る可能性のある企業サプライチェーンについて調査・分析を行った。
<調査結果(要旨)>
ロシアとのサプライチェーン、最大で日本企業1.5万社が関係
このうち、輸出に関連した企業が1万975社、輸入に関連した企業が4614社だった。輸出では10数万台を超えるロシア向け自動車生産を中心に当面需要が消失するほか、輸入面でも市場の需給逼迫から調達品目の価格が高騰し、エンドユーザーでは品薄などからコストアップなどの影響が想定される。
対ロシアの輸入企業、業種では木材や水産品などで多く目立つ
農林水産省によると、ロシアからの水産物輸入額は1000億円を超え、全体の約1割を占める。なかでもカニやサケ・マス、明太子などの原料になるタラの卵などが多く、特にタラの卵やウニは国内消費に占めるロシア産の割合が高いとされる。既にこうした品目では品薄などの影響が出始めており、エンドユーザーとなるスーパーや飲食店などに影響が波及する恐れがある。
ウクライナへ侵攻を続けるロシアに対する追加制裁では、半導体などハイテク製品、工作機械など軍事転用可能な品目については輸出を禁止する一方で、水産品などの輸入品については禁輸を見送るなど、対ロ貿易を巡る日本政府の対応は流動的となっている。ただ、木材などではロシアが輸出禁止を打ち出すなどで、輸入依存度が高い建築用合板では品薄が危惧されるなど、一部品目では供給網に支障が生じ始めているケースもある。
今後はロシアとの取引がリスクとして認識されつつあることから、直接的にロシアと取引を行う日本企業は取引の縮小や解消を余儀なくされるケースも出てくるとみられる。また、こうした企業と仕入れや納入などの関係を持つ二次取引先でも、代替調達先の確保といった対応を迫られる可能性が高い。
- ロシアとのサプライチェーン、最大で日本企業1.5万社が関係
- 対ロシアの輸入企業、業種では木材や水産品などで多く目立つ
ロシアとのサプライチェーン、最大で日本企業1.5万社が関係
在ロシアの企業と直接取引を行う日本企業を調査したところ、2022年3月現在で国内に338社あることが分かった。さらに、こうした直接輸入・輸出企業と取引関係にある企業は1万4949社判明した。この結果、ロシアと直接・間接的に取引関係を有するサプライチェーンでは、全国で最大1万5287社に上ることが分かった。
このうち、輸出に関連した企業が1万975社、輸入に関連した企業が4614社だった。輸出では10数万台を超えるロシア向け自動車生産を中心に当面需要が消失するほか、輸入面でも市場の需給逼迫から調達品目の価格が高騰し、エンドユーザーでは品薄などからコストアップなどの影響が想定される。
このうち、ロシアとの輸出入が主な取引となる一次輸出入企業や、これらとの取引が主な二次取引企業を合わせた、「サプライチェーン上『密接な関係』にある」企業は286社(1.9%)だった。「概ね関係がある」4367社(28.6%)を合わせ、1.5万社中約3割に当たる4653社がロシア貿易と「結びつき」があり、対ロ貿易制限等の影響をより強く受ける可能性がある。
対ロシアの輸入企業、業種では木材や水産品などで多く目立つ
ロシアと直接、または2次的に取引関係がある企業の業種をみると、輸入(仕入)で代表的な業種では「木材・竹材卸売」(138社)、「木造建築工事」(80社)など、木材関連が上位となった。ロシアからの輸入製材品はカナダに次いで2番目に多く、製紙や建築用木材としてロシア材を取り扱う企業がある。「生鮮魚介卸売」(121社)も多く、イクラをはじめとした原卵や、エビ・カニといった品目の輸入で多く目立った。
農林水産省によると、ロシアからの水産物輸入額は1000億円を超え、全体の約1割を占める。なかでもカニやサケ・マス、明太子などの原料になるタラの卵などが多く、特にタラの卵やウニは国内消費に占めるロシア産の割合が高いとされる。既にこうした品目では品薄などの影響が出始めており、エンドユーザーとなるスーパーや飲食店などに影響が波及する恐れがある。
ウクライナへ侵攻を続けるロシアに対する追加制裁では、半導体などハイテク製品、工作機械など軍事転用可能な品目については輸出を禁止する一方で、水産品などの輸入品については禁輸を見送るなど、対ロ貿易を巡る日本政府の対応は流動的となっている。ただ、木材などではロシアが輸出禁止を打ち出すなどで、輸入依存度が高い建築用合板では品薄が危惧されるなど、一部品目では供給網に支障が生じ始めているケースもある。
今後はロシアとの取引がリスクとして認識されつつあることから、直接的にロシアと取引を行う日本企業は取引の縮小や解消を余儀なくされるケースも出てくるとみられる。また、こうした企業と仕入れや納入などの関係を持つ二次取引先でも、代替調達先の確保といった対応を迫られる可能性が高い。
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