「従業員エンゲージメントのコロナ禍以降の傾向」についての調査結果を公開
調査および結果の概要
調査の背景
新型コロナウイルス感染症の流行は、経済活動の制限など商品市場への影響にとどまらず、雇用・働き方の変化など労働市場にも影響を及ぼしました。そこで今回、コロナ禍以降において、従業員エンゲージメントにどのような変化が生まれているのか調査を行いました。
調査概要
・調査期間
2020年1月から2023年12月
・調査機関(調査主体)
株式会社リンクアンドモチベーション モチベーションエンジニアリング研究所
・調査対象
2020年1月~2023年12月にモチベーションクラウドで従業員エンゲージメントサーベイ*を実施した企業
・有効回答数(サンプル)
延べ2,810社
【調査① 2020年~2023年の期待度平均・満足度平均の経年変化】
2020年~2023年の4年間について、各年の期待度および満足度の64項目平均を算出。
2020年以降の変化について調査しました。
【調査② エンゲージメントスコア(ES)と満足度64項目の相関】
2020年~2023年の4年間におけるエンゲージメントスコアと満足度64項目の相関分析を実施。
2020年以降の従業員エンゲージメントに影響を及ぼしている要因を調査しました。
*従業員エンゲージメントサーベイ
人が組織に帰属する要因をエンゲージメントファクターとして16領域に分類し 、従業員が会社への期待度と満足度を回答。その結果から従業員エンゲージメントの偏差値であるエンゲージメントスコア(以下ES)を算出。
調査結果
【調査① 2020年~2023年の期待度平均・満足度平均の経年変化】
・ コロナ禍以降、期待度平均は低下傾向にある。
・ 満足度平均はほぼ横ばいの傾向にある。
・ 2020年と比較して期待度も満足度も低下した項目は、
「多様な人材」「魅力的な人材」「変化し続ける意識」であった。
・ 2020年と比較して期待度が上昇した項目で差分が大きなものは少なかったが、満足度については、
会社領域における「研修制度の充実度」 「顧客基盤の安定性」「財務状態の健全性」や
職場領域における「成功・失敗事例の共有」「ナレッジの汎用化・標準化」で上昇傾向にある。
【調査② ESと満足度64項目の相関】
・ 従業員エンゲージメント向上に相関のある項目は、「戦略目標の納得感」「顧客意見に基づく改善」
「継続的な改善活動」「メンバーの目標達成意欲」「適切な採用・配置」 となった。
・ 一方、「話題性や知名度」「財務状態の健全性」「業界内での影響力」といった会社基盤や、
「研修制度の充実度」「休日や就業時間」といった制度待遇に関する項目において、
従業員エンゲージメント向上への影響は相対的に低位にとどまる結果となった。
考察
・ コロナ禍以降、企業は経営の安定性向上や多様な働き方をはじめとした制度の整備を進めてきましたが、
今回の調査結果から、こうした取り組みに対する従業員の満足度は向上している一方で、
従業員エンゲージメント向上への寄与は小さいことがわかりました。
加えて、「変化し続ける意識」が期待度・満足度ともに低下したことから、
従業員の安定志向はさらに高まっていると想定されます。
・一方で、従業員エンゲージメント向上に相関のある項目結果からわかるように、
従業員エンゲージメント向上のためには、顧客ニーズに応じた戦略の立案と従業員の共感を育むことに加えて、
適切な採用と配置をはじめとした全社的な改善活動を促進することが不可欠です。
「環境や顧客ニーズの変化に適応できる運動神経の良い組織づくり」があらためて注目されているのではないでしょうか。
研究結果の詳細は下記ページよりご確認ください。
▼調査結果はこちら
https://www.lmi.ne.jp/about/me/finding/detail.php?id=38
▼過去のレポート一覧はこちら
https://www.lmi.ne.jp/about/me/finding/
発行責任者のコメント
今回の調査では、当社が蓄積している組織診断サーベイのデータから、リモートワークなど働き方の変化が生まれたコロナ禍以降に求められる組織マネジメントについて考察しました。
調査結果から、コロナ禍以降、リモートワークなどの働き方の変化が進んだことにより、”業務の仕組み化”や”会社に関する情報発信”が進む一方、人的資本開示/経営というテーマが注目される中、”従業員の人材への関心”は低下傾向にあることが示唆されました。また、時代に合わせて変化をしていこうという意識よりも安定を望む意識が高まっているようです。
一方で、コロナ禍において企業が進めてきた経営の安定性向上や制度の整備について、従業員エンゲージメント向上への寄与は小さい結果となっています。従業員エンゲージメント向上のためには、顧客ニーズに応じた戦略の立案と従業員の共感を育むことが重要で、適切な採用と配置を行い、全社的な改善活動を促進することが欠かせません。
サービスの進化やイノベーションのサイクルが早まっている今だからこそ、「環境や顧客ニーズの変化に適応できる運動神経の良い組織づくり」「基盤としての高い従業員エンゲージメント」が改めて注目されているのではないでしょうか。
大島 崇(おおしま たかし)
株式会社リンクアンドモチベーション モチベーションエンジニアリング研究所 所長
2000年 京都大学大学院エネルギー科学研究科卒業
2005年 住商情報システム株式会社を経て株式会社リンクアンドモチベーションに入社
2010年 モチベーションマネジメントカンパニー 執行役部長に就任
大手企業向けの組織変革や人材開発で多くのクライアントを担当
同時に商品統括ユニット、モチベーションエンジニアリング研究所を兼任し、新商品を開発
2015年 モチベーションエンジニアリング研究所 所長に就任
2022年 当社執行役員(モチベーションエンジニアリング研究所管轄)に就任
リンクアンドモチベーショングループの概要
・代表取締役会長:小笹 芳央
・資本金:13億8,061万円
・証券コード:2170(東証プライム)
・本社:東京都中央区銀座4-12-15 歌舞伎座タワー15階
・創業:2000年4月
・事業内容
組織開発Division(コンサル・クラウド事業、IR支援事業)
個人開発Division(キャリアスクール事業、学習塾事業)
マッチングDivision(ALT配置事業、人材紹介事業)
ベンチャー・インキュベーション
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