●監修・解説者インタビュー● YouTubeで活躍中の人気アートテラー・らちまゆみ氏が監修・解説『1日5分で名画をめぐる ごほうび美術の旅』2025年3月6日(木)発売
―本を開いたその場所が「画家がイーゼルを立てた場所」と重なる―本書籍の監修・解説のらちまゆみさんインタビュー
JTBグループで旅行・ライフスタイル情報を提供する株式会社JTBパブリッシング(東京都江東区、代表取締役 社長執行役員:盛崎宏行)は、『1日5分で名画をめぐる ごほうび美術の旅』を2025年3月6日(木)に発売いたします。発売にあたり、本書籍の監修・解説のらちまゆみさんにインタビューを行いました。
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仕事、家事、育児……毎日がんばっているあなたへ 世界の傑作が詰まった、ごほうび時間のための一冊
本書では、モネ≪睡蓮の池、緑のハーモニー≫、ゴッホ≪星月夜≫、ルノワール≪ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会≫、フェルメール≪真珠の耳飾りの少女≫、ボッティチェリ≪ヴィーナスの誕生≫など、日常のスキマ時間の「ごほうび」となるような作品を監修・解説のらちまゆみさんと編集部が一緒に考え、この一冊に凝縮しました。
●『1日5分で名画をめぐる ごほうび美術の旅』とは
編集部(以下―――)世界の美術58点を8テーマ「1章:風景・旅」「2章:食事・カフェ」「3章:おしゃれ」「4章:花・季節」「5章:恋愛」「6章:女神・聖女・聖母」「7章:ドラマ・物語」「8章:夢・憧れ」に分けて紹介しています。例えば、「1章:風景・旅」には、印象派の巨匠であるモネ≪睡蓮の池、緑のハーモニー≫や、ロココ期の画家ヴァトー≪シテール島への巡礼≫、そして、日本画家の東山魁夷≪緑響く≫などが登場します。テーマごとに読み進めたり、気に入った作品から眺めたり、1作品1作品が日々の「ごほうび美術」となるように工夫しています。
らちまゆみ氏(以下、らち)そうですね。私たちの身近なテーマやワクワクするテーマはとても良い鑑賞のきっかけになると思います。「まるで旅をするように絵画をめぐる本だ」と趣旨を伺ったときは、なんて素敵だろうかと思いました。特に1章の「風景・旅」は趣旨にピッタリですし、絵画の世界に没入しやすいテーマでしょう。
本来、絵画に描かれている外側にも風景が続いています。本を開いたその場所が「画家がイーゼルを立てた場所」と重なる感覚を、ぜひ楽しんでいただきたいです。
続く2章3章も、画家の目線をめぐる旅を楽しんでいただけたら嬉しいです。
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―――それぞれのテーマの先頭にくる作品にもこだわっていただいた印象でした。特に8章の「夢・憧れ」はピカソの『夢』ではじまり、モリゾの『ゆりかご』で終わるなど。
らち そうだったかもしれません。各テーマの先頭は歴史的にも重要で皆さんにもぜひ見てもらいたい作品にしていただきました。8章の先頭はピカソでしたね。キュビズムは形の解体を実験的に行った革命的な絵画表現です。反対に書籍の最後を締めくくるモリゾの≪ゆりかご≫には、「ごほうび美術の旅」を終えた読者が現実に帰る環境と近いように感じて、少々入れ替えていただきました。ちょうど私も下の子がまだ小さく、自分の状況とも重なりグッとくるものがあります。
―――作品横のらちさんの解説文で、ゴッホ≪星月夜≫の一文を引用すると、「この作品は実際に見た夜景をもとにしていますが、尖った屋根の教会や手前にそびえる糸杉そして渦巻く空模様など、大半は彼の想像で補完されたものです。」とあります。「実際には教会や糸杉はなかったのか」と驚かされました。
らち そうですよね。一見するとゴッホが見た窓の外に糸杉や教会もあるように存在していますが、ただの風景画に終わらないのがゴッホの面白いところ。弟に宛てた手紙と照らし合わせゴッホの胸の内を想像しながら書きました。作品を眺めるだけでは伝わりきらない、一歩踏み込んだ鑑賞につながると嬉しいです。
●読者の皆様がそれぞれの価値観で自分だけの「ごほうび美術」を見つけるには
―――らちさんは「はじめに」の文章で、小学生の頃のエピソードをお話くださっていますよね。モネの≪睡蓮≫はらちさんにとって特別な作品、まさに「ごほうび美術」と感じました。本書で紹介している作品のなかで、特にこのテーマ・この作品がおすすめというものはありますか。
らち 甲乙つけ難いですが、6章の「女神・聖母・聖女」には王道の絵画が揃っていて西洋絵画好きにはたまらない章だと思います。美しい女性像は何度見てもうっとりしますし。最初に構成案をいただいた時にも思いましたが、このテーマが6章に設けられているのが良いですよね。半分以上読み進めた後も「え、まだ面白いの?」って。
また、4章「花・季節」はこの本らしいまとまりだなと思います。日本美術、西洋もルネサンス期から近代美術と、時代や地域をあちこち横断しながらめぐる旅はワクワクしました。それぞれで花の描き方、花との向き合い方が違い、それぞれの良さを発見できる章だと思います。
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―――私は王道ですが3章「おしゃれ」のフェルメール≪真珠の耳飾りの少女≫がベストオブ「ごほうび美術」です。絵の中の少女と目が合うとなんだかそらせなくなって……。
らち 『真珠の耳飾りの少女』は私も思い入れの強い作品のひとつです。あの作品に魅了されて、何度も模写した思い出があります。西洋絵画には理想的な女性像を描く手法は時折見かけますが、フェルメールのこれは特別に感じます。なんででしょう、少女だからかな? 現代でいうとアイドルを見てる感覚に近いのかもしれませんね。
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●「ごほうび美術」を眺めるだけにとどまらない名画の深掘り
―――本書では、名画にまつわるエピソードや知っておきたい美術の知識を「もっと知りたい 名画の世界」として紹介しています。例えば、ひと言で「この作品、印象派っぽい」と済ませることもできるのですが、「印象派の特徴って?」と改めて聞かれると「うーん、どう説明すべきか」となる人も多いと思うのです。
らち 絵画を読み解き理解を深めるページを絵画ごとに設けています。「名画のクローズアップ」では、作品にグッと近づき何が描かれているかを分析。また「アートの豆知識」「名画の舞台裏」では、作品が作られた背景を整理し、画家が作品に込めた思いを感じるためのヒントがあります。ひとつの作品と丁寧に向き合い鑑賞を楽しんでください。
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●画家の人生やエピソードを知るとも、違った角度から作品を鑑賞できる!?
―――モネが86歳(1926年)まで生きていたとは驚きでした。日本との関りもうかがえる太鼓橋の作品も数多く残していますし、彼の人生をたどるとさらに身近に感じることができました。
らち 本書では画家の人生をおさらいできるページも設けました。生まれた環境、生きた時代、そして周囲の反応が影響し作品が作られています。本書ではわかりやすく表にまとめ、大きな流れを掴むことができます。
モネでいうと、初期はサロンでの入選など順調にキャリアを進めますが、34歳で前衛的な絵画表現(印象派)に挑戦。晩年は白内障に悩まされますが、私たちが現在「モネっぽい作品」で思いつくのは晩年の作品なのだと気付かされます。
―――早わかりヒストリーで画家の人生を眺めることができる「じっくり楽しむ 画家の世界」には、本書をより楽しみ、さらには今後の美術鑑賞にも生かせるポイントが潜んでいます。
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●いつか現地で“本物”を見たいと強く感じさせられる
―――この本で作品と対面すると、やはり“本物”を見てみたい……という気持ちになります。
らち そうですね。本物を観ると更なる発見がありますよね。わかりやすいのは大きさでしょう。私が高校時代初めてルーブル美術館に行ったときは、≪モナリザ≫のあまりの小ささと≪民衆を導く自由の女神≫の想像を超える大きさに驚きました。サイズ感だけでも印象は随分変わりますね。本物には圧力や繊細さを直感的に感じることができます。
日本では企画展も頻繁に行われ、名画が日本に来日することもありますが、そもそも名画がどこに所蔵されているのかは気になるところです。
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―――私はニューヨーク近代美術館(MoMA)にいったことを鮮明に覚えていて。特に、ルソーの≪夢≫を見たときは鳥肌が立ち、“本物”との対面には足がすくみました……。本誌で気になった作品を観に、ぜひ現地にも旅してほしいという思いがあり、「ごほうび美術の旅」とタイトルに入れています。
らち 本書で紹介した作品がどんな美術館に所蔵されているかも掲載されていますね。本書が本当の旅に繋がったら私もとても嬉しいです。
〈書誌概要〉
【書名】『1日5分で名画をめぐる ごほうび美術の旅』
【監修・解説】らちまゆみ
【発売日】2025年3月6日(木)
【仕様】A5判、320ページ
【定価】2090円(10%税込)
【発行】JTBパブリッシング
【発売】全国の書店・ネット書店
【Amazon概要ページ】https://www.amazon.co.jp/dp/4533165028
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