長期化する生産停止、取引8500社・51万人に影響も ― 日野自動車エンジン不正問題
「日野自動車」グループ サプライヤー状況調査
帝国データバンクは、日野自動車グループと取引するサプライヤーの動向について調査を行った。
<調査結果(要旨)>
- 「 日野自動車」グループ、取引サプライヤーは全国に8542社 関連従業員は51万人
- 1次・2次ともに自動車部品関連産業が上位を占める
「 日野自動車」グループ、取引サプライヤーは全国に8542社 関連従業員は51万人
日野自動車やそのグループ会社と部品・サービスなどを直接供給する1次サプライヤー企業を調査したところ、2022年4月時点で国内に858社あることが分かった。関連する従業員は約6万7000人に上った。さらに、1次サプライヤーに部品などを供給する2次サプライヤーは7684社判明し、関連従業員は44万3000人だった。この結果、日野自動車グループと直接・間接的に取引関係を有するサプライチェーンは、全国8542社・従業員約51万人に上ることが分かった。地域別にみると、社数・従業員数ともに最も多いのは「関東」で、合計4131社・26万人となった。
関東では、同社のマザープラントとなる日野工場(東京・日野市)のほか、エンジン部品などを製造する新田工場(群馬・太田市)、中大型トラックの生産拠点である古河工場(茨城・古河市)など生産拠点が集積しており、サプライヤー企業が集中した。また、同社がトヨタ向けにディーゼルエンジンなどを供給していることも背景に、愛知県など「中部」(1806社・10.5万人)、大阪府など「近畿」(1076社・6.2万人)でもサプライヤーが多かった。
1次・2次ともに自動車部品関連産業が上位を占める
産業別にみると、1次サプライヤーで最も多いのは「自動車部品製造」の50社。以下、「自動車車体製造」(42社)、「自動車部品卸売」(40社)、「金型製造」(26社)など、自動車部品関連産業で企業数が多かった。いずれも、トラックなど大型車両向けの部品を取り扱う企業が多くを占めた。
一方、2次サプライヤーでは「鉄鋼卸売」で287社だった。1次サプライヤー向けに、部品用鋼材を取り扱うケースが多くみられた。以下、「金型製造」(238社)、「金属プレス製品製造」(232社)などが続き、1次サプライヤー同様、自動車部品に関連する業種が目立った。
各種トラック・バスなど商用車大手の日野自動車で発覚した、ディーゼルエンジンの性能試験を巡る不正で、国土交通省はエンジン4機種の型式指定を取り消した。この結果、同社は「プロフィア」をはじめ、国内販売の約3割を占める中核事業の大型トラック生産の停止を余儀なくされた。経済産業省は日野自動車の一部生産停止で影響を受ける中小企業・小規模事業者向けに対策を行うと発表したほか、日本政策金融公庫をはじめ公的金融機関でも資金繰り相談を受け付ける特別相談窓口を設置するなど、生産停止の影響を受ける事業者へのフォローに万全を期す方針だ。ただ、事態の長期化に加え、問題収束後も生産回復が遅れる場合、日野自動車との取引依存度が高い中小サプライヤーなどでは経営面で死活問題になりかねず、中長期的な影響に注視が求められる。
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