訪日外国人旅行者の鉄道利用動向を分析、えちぜん鉄道の利用実績が約2倍に

ローカル鉄道や沿線地域の観光を楽しむインバウンド客

株式会社ナビタイムジャパン

 株式会社ナビタイムジャパン(代表取締役社長:大西 啓介、本社:東京都港区)のNAVITIMEデータ分析チームは、訪日外国人観光客向けのナビゲーションアプリ 『Japan Travel by NAVITIME』の利用状況から、2024年度の訪日外国人旅行者による鉄道利用動向の分析結果を発表いたします。

 日本政府観光局(JNTO)によると、2025年1月から3月の訪日外国人旅行者数は累計で過去最速で1,000万人を突破しました。インバウンド観光が拡大するなか、これまであまり知られていなかった地域にも滞在が見られるようになってきています。

 NAVITIMEデータ分析チームでは、ナビタイムジャパンが提供する訪日外国人観光客向けナビゲーションアプリの利用状況をもとに、訪日外国人旅行者の移動実態を可視化することで、インバウンド観光の動向をお知らせし、地域の魅力発信や観光の分散化によるオーバーツーリズムの緩和にも貢献できればと考えています。

 また、2024 年9 月より「鉄道利用動態分析」の提供を開始しており、これを活用して、訪日外国人旅行者による鉄道利用の動向に注目し、2023 年度と2024 年度の比較で調査・分析しました。

<分析内容>
・2023年4月~2024年3月と2024年4月~2025年3月を比較し、訪日外国人旅行者の利用者数が増加した鉄道を分析 
 -訪日外国人旅行者の鉄道利用者数 増加率TOP5

※本分析には、ナビタイムジャパンが提供する訪日外国人観光客向けナビゲーションアプリ(『Japan Travel by NAVITIME』)から同意を得て取得したインバウンドGPSデータと属性アンケートを用いています。
※「インバウンドGPS」データをもとに、鉄道利用区間から駅や路線を推定し、乗降駅や路線別の利用実績(実人数)を分析。
※「滞在」の定義は、30分以上同一1kmメッシュ内で測位が確認された状態です。

■分析結果
訪日外国人旅行者の鉄道利用者数 増加率TOP5

 トップのえちぜん鉄道は、2023年度利用者数の2.21倍の増加、続くIRいしかわ鉄道は2.05倍の増加となりました。いずれも北陸地域で運行する鉄道であり、2024年3月の北陸新幹線延伸が主な要因と考えられます。3位の秋田内陸縦貫鉄道は2.04倍、4位の仙台空港鉄道は2.00倍となり、冬の東北への旅行需要の高まりによる利用者数の増加がうかがえます。5位の北大阪急行電鉄は1.81倍で、2024年3月の延伸開業が影響したとみられます。

1位:えちぜん鉄道(2.21倍)

えちぜん鉄道の利用者について、当日の滞在エリアを確認すると、福井県立恐竜博物館や大師山清大寺(越前大仏)、東尋坊、大本山永平寺での滞在が確認できます。えちぜん鉄道の沿線に位置しており、鉄道を利用して観光を楽しむ様子がうかがえます。
また、2024年3月の北陸新幹線の延伸により福井へのアクセスが向上したことや、延伸開業にあわせて運行開始された「恐竜列車」や「えちぜん鉄道カイリュートレイン(※1)」などの観光施策も、増加の一因と考えられます。えちぜん鉄道によると、「主要観光施設に行くために使っていただくことが多い」とのことです。

※1 2025年4月24日時点で運行休止中

2位:IRいしかわ鉄道(2.05倍)

IRいしかわ鉄道の利用者について、当日の滞在エリアを確認すると、加賀温泉駅を最寄りとする加賀温泉や、山代温泉、山中温泉での滞在が多く見られました。白川郷や高山での滞在も確認され、地域別では、欧州からの来訪が特に多い傾向にあります。
また、北陸新幹線延伸に伴い、金沢駅~大聖寺駅間がIRいしかわ鉄道線に編入されたことも、利用者増加の一因と考えられます。

3位:秋田内陸縦貫鉄道(2.04倍)
秋田内陸縦貫鉄道の利用者について、当日の滞在エリアを確認すると、日本三大樹氷の一つ「森吉山の樹氷」で知られる森吉山阿仁スキー場や、田沢湖、乳頭温泉郷での滞在が確認されました。秋田内陸縦貫鉄道によると、「県全体でインバウンド向けのプロモーションは20年以上行ってきた。コロナ禍前頃から個人旅行客の誘致に力を入れてきた。阿仁スキー場は今年特に欧米系の方に人気だったように思う」とありました。

秋田内陸縦貫鉄道の月別利用者数の推移を確認すると、樹氷シーズンにあたる冬期に利用者が増加し、2月にピークを迎えていることがわかります。

4位:仙台空港鉄道(2.00倍)
仙台空港鉄道の利用者について、当日の滞在エリアを確認すると、仙台や松島、山形、蔵王、銀山温泉など、他の公共交通や交通手段を利用して東北地方の観光地を訪れていることがうかがえます。仙台空港が東北観光の拠点として、仙台を中心に周遊観光に利用されていることが示唆されます。国別に見ると、台湾と香港からの利用が多く、直行便の就航も要因の一つと考えられます。仙台空港の発表によると、国際線の旅客数は2023年度から38.8%増加(※2)しており、インバウンド需要によるものと見られています。

※2 仙台国際空港「仙台空港 2024年度旅客数・貨物取扱量実績(速報値)」

5位:北大阪急行電鉄(1.81倍)
北大阪急行電鉄の利用増加については、2024年3月に千里中央駅~箕面萱野駅間が延伸されたことが要因と推察されます。延伸により観光地へのアクセスが向上し、利用者の増加につながったと考えられます。
当日の滞在エリアを確認すると、道頓堀や勝尾寺での滞在が多く見られました。勝尾寺は「勝ち運の寺」「勝ちダルマの寺」として知られ、桜や紅葉の名所としても人気があります。

北大阪急行電鉄の月別利用者数の推移を確認すると、11月と3月にピークを迎えており、紅葉や桜のシーズンに多くの来訪があったことがうかがえます。

 ナビタイムジャパンのNAVITIMEデータ分析チームでは、訪日外国人観光客の動態を明らかにする行動データ分析を通じて、日本全国の各地域で様々な風習や伝統を持つ日本の魅力の発掘に貢献できればと考えています。

■訪日外国人滞在数増加率ランキング
 訪日外国人観光客向けナビゲーションサービス『Japan Travel by NAVITIME』2023年4月~2024年3月と2024年4月~2025年3月を比較

■お問い合わせ先

■NAVITIMEデータ分析チームについて
ナビタイムジャパンのNAVITIMEデータ分析チームでは、道路交通や公共交通、国内観光や訪日外国人について、移動に関する各種ビッグデータを活用した分析を行っています。
(HP:https://data.navitime.co.jp/

■お問い合わせ先
ナビタイムジャパン 移動データ事業 
▶お問い合わせフォーム

■関連プレスリリース
(2024/10/4)訪日外国人旅行者が訪れる夏の人気上昇エリアを分析
(2024/9/18)ナビタイムジャパン、訪日外国人観光客の「鉄道利用動態分析」を開始
(2024/6/25)訪日外国人旅行者が訪れる春の人気上昇エリアを分析

■「インバウンドGPS」データについて
「インバウンドGPS」データとは、ナビタイムジャパンが提供する訪日外国人観光客向けナビゲーションアプリ『Japan Travel by NAVITIME』にてユーザーの同意を得て取得された、訪日外国人観光客の移動に関するデータです。

■画像提供(敬称略)
・恐竜列車:えちぜん鉄道株式会社
・越前大仏:福井県観光連盟
・秋田内陸線:秋田内陸縦貫鉄道株式会社
・2024年3月23日延伸開業ヘッドマークをつけた9001編成:北大阪急行電鉄株式会社
・勝ちダルマ:勝尾寺

「NAVITIME」「インバウンドGPS」は、株式会社ナビタイムジャパンの商標または登録商標です。
その他、記載されている会社名や商品名等は、各社の商標又は登録商標です。

このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります

メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。

すべての画像


会社概要

株式会社ナビタイムジャパン

26フォロワー

RSS
URL
https://corporate.navitime.co.jp
業種
情報通信
本社所在地
東京都港区南青山3-8-38
電話番号
-
代表者名
大西啓介
上場
未上場
資本金
-
設立
2000年03月