マンダムと医薬基盤・健康・栄養研究所、日本で初めて細胞の感覚センサーであるTRPM4が表皮角化細胞の免疫反応を制御していることを確認 ~温泉成分などで知られるアルムKにTRPM4活性化作用を確認~
株式会社マンダムと国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所の共同リリース
株式会社マンダム(本社:大阪市、社長執行役員:西村元延、以下「マンダム」)は肌を健康に美しく保つ技術の開発を目的として、また、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所(大阪府茨木市、理事長:米田悦啓、以下「医薬健栄研」)は効果性が高く痛みの少ないワクチン技術へ応用することを目的として、皮膚の免疫機構の解明と制御技術の開発について共同で取り組みを行っています。
今回、マンダムと医薬健栄研モックアップワクチンプロジェクトの石井健招へいプロジェクトリーダー(東京大学医科学研究所 教授)は、細胞の感覚センサーTRP(トリップ)チャネル(※1)の一種であるTRPM4が表皮角化細胞の免疫反応を制御していることを日本で初めて確認しました。さらに、温泉成分などで知られるアルムKがTRPM4を活性化することで表皮角化細胞からの炎症シグナルが抑制されることも確認しました。これらの結果から、アルムKはTRPM4を活性化することにより、皮膚の免疫反応を調節し、肌を健康に整えると考えられます。
なお、本研究成果については2019年3月28日~31日に開催された「第9回アジア・オセアニア生理学会連合大会&第96回日本生理学会合同大会」において発表しました。また、2019年9月30日~10月2日にイタリア・ミラノで開催される「第30回 国際化粧品技術者会(IFSCC Conference)」においても発表を予定しています。
※1 TRP=Transient Receptor Potential。様々な感覚受容に関与する陽イオンチャネルファミリーで、化学物質や温度などを感知して電気信号に変換するセンサー
1. 皮膚の免疫反応におけるTRPチャネルの役割
肌トラブルの多くには、皮膚の炎症が関与しています。生体には本来、外敵の侵入から身を守る免疫システムが備わっていますが、適切に制御されないと、過剰な炎症や疾患につながります。皮膚においては、乾燥、ハリの低下、毛穴の目立ちなどの多くの肌トラブルに炎症が関わっていると言われています。
このような肌トラブルを防ぐには、皮膚の免疫反応を、特に初期の段階で適切に制御することが重要であると考えました。皮膚においては、表皮角化細胞が産生する炎症シグナル(サイトカイン)がきっかけとなり、その後の免疫反応が進行することが知られています。そこで、表皮角化細胞の免疫反応を制御する技術の開発が必要であると考えました。
マンダムではこれまでに、皮膚の神経に存在する細胞の感覚センサーであるTRPチャネルの研究を化粧品の快適な使い心地に応用してきました。今回、表皮角化細胞のTRPチャネルが皮膚の免疫反応に関与すると考え、表皮角化細胞におけるTRPチャネルの発現を調べました。
2.表皮角化細胞に発現しているTRPM4が免疫反応を調節することを確認
表皮角化細胞の感覚センサーTRPチャネルについて、遺伝子及びタンパク質の発現を確認したところ、TRPM4が検出されました。さらに、これまでに皮膚においてほとんど機能が明らかになっていなかったTRPM4が免疫反応に関与するのかを調べました。人工的に炎症を誘導することにより表皮角化細胞から炎症性サイトカインが分泌される条件下で、TRPM4の既知の活性化剤(BTP2)を添加すると炎症が抑制されることを見出しました (図1)。つまり、TRPM4は表皮角化細胞の免疫反応を調節していることが明らかになりました。
3.アルムKがTRPM4を活性化する
これまでのTRPチャネル研究の知見から、TRPM4の既知の活性化剤と類似の構造を有するもの、香料成分、ミネラル成分などに注目して、TRPM4の活性化作用を有する成分を探索したところ、温泉成分などで知られるアルムKにTRPM4の活性化作用があることを見出しました(図2)。
4.アルムKが表皮角化細胞からのサイトカイン産生を抑制することを確認
表皮角化細胞に、人工的に炎症を誘導し、アルムKを添加したところ、炎症が抑制されることを見出しました (図3)。このことから、アルムKが表皮角化細胞の免疫反応を調節することが確認できました。
医薬健栄研では皮膚の免疫機構やTRPチャネルと炎症の関係を解明し、効果性が高く痛みの少ないワクチン技術へ応用していきます。
マンダムでは肌の免疫反応を適切に制御する技術を開発し、美しく健康な肌を保つ化粧品の開発に応用していきます。
なお、本研究成果については2019年3月28日~31日に開催された「第9回アジア・オセアニア生理学会連合大会&第96回日本生理学会合同大会」において発表しました。また、2019年9月30日~10月2日にイタリア・ミラノで開催される「第30回 国際化粧品技術者会(IFSCC Conference)」においても発表を予定しています。
※1 TRP=Transient Receptor Potential。様々な感覚受容に関与する陽イオンチャネルファミリーで、化学物質や温度などを感知して電気信号に変換するセンサー
1. 皮膚の免疫反応におけるTRPチャネルの役割
肌トラブルの多くには、皮膚の炎症が関与しています。生体には本来、外敵の侵入から身を守る免疫システムが備わっていますが、適切に制御されないと、過剰な炎症や疾患につながります。皮膚においては、乾燥、ハリの低下、毛穴の目立ちなどの多くの肌トラブルに炎症が関わっていると言われています。
このような肌トラブルを防ぐには、皮膚の免疫反応を、特に初期の段階で適切に制御することが重要であると考えました。皮膚においては、表皮角化細胞が産生する炎症シグナル(サイトカイン)がきっかけとなり、その後の免疫反応が進行することが知られています。そこで、表皮角化細胞の免疫反応を制御する技術の開発が必要であると考えました。
マンダムではこれまでに、皮膚の神経に存在する細胞の感覚センサーであるTRPチャネルの研究を化粧品の快適な使い心地に応用してきました。今回、表皮角化細胞のTRPチャネルが皮膚の免疫反応に関与すると考え、表皮角化細胞におけるTRPチャネルの発現を調べました。
2.表皮角化細胞に発現しているTRPM4が免疫反応を調節することを確認
表皮角化細胞の感覚センサーTRPチャネルについて、遺伝子及びタンパク質の発現を確認したところ、TRPM4が検出されました。さらに、これまでに皮膚においてほとんど機能が明らかになっていなかったTRPM4が免疫反応に関与するのかを調べました。人工的に炎症を誘導することにより表皮角化細胞から炎症性サイトカインが分泌される条件下で、TRPM4の既知の活性化剤(BTP2)を添加すると炎症が抑制されることを見出しました (図1)。つまり、TRPM4は表皮角化細胞の免疫反応を調節していることが明らかになりました。
3.アルムKがTRPM4を活性化する
これまでのTRPチャネル研究の知見から、TRPM4の既知の活性化剤と類似の構造を有するもの、香料成分、ミネラル成分などに注目して、TRPM4の活性化作用を有する成分を探索したところ、温泉成分などで知られるアルムKにTRPM4の活性化作用があることを見出しました(図2)。
4.アルムKが表皮角化細胞からのサイトカイン産生を抑制することを確認
表皮角化細胞に、人工的に炎症を誘導し、アルムKを添加したところ、炎症が抑制されることを見出しました (図3)。このことから、アルムKが表皮角化細胞の免疫反応を調節することが確認できました。
医薬健栄研では皮膚の免疫機構やTRPチャネルと炎症の関係を解明し、効果性が高く痛みの少ないワクチン技術へ応用していきます。
マンダムでは肌の免疫反応を適切に制御する技術を開発し、美しく健康な肌を保つ化粧品の開発に応用していきます。
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