人間関係に疲れたら、動物園へ出かけよう。黒鳥英俊著、『恋するサル 類人猿の社会で愛情について考えた』、好評発売中!
「男女の愛」「血を超えた親子の愛」「種を超えた愛」。
支配しない。理解する。
伝説の飼育員が見た、「男女の愛」「血を超えた親子の愛」「種を超えた愛」。
人間関係に疲れたら、動物園へ出かけよう。
育児放棄された赤ちゃんチンパンジーを、まったく血のつながりがないメスがわが子のように育てる。強い握力を持つゴリラが、小さなダンゴムシをそっとやさしくペットのように扱う。ときには、飼育員に恋もする。飼育員が困っていると率先して助けてくれるオランウータンもいる。上野動物園や、多摩動物園で、長きにわたり大型類人猿(ゴリラ、オランウータン、チンパンジー)を担当してきた伝説の飼育員が目撃した、心あたたまる愛の実話。
飼育員といえば、動物の世話を「してあげる」人たちと思われているが、そうではない。動物に「仕えている」というスタンスで仕事をするのが、彼らと仲良くするコツだ。高度な知能を持つ大型類人猿に対して、私たちは、それでもやはりヒトのほうが賢いと思っている。しかし、彼らのいちばん身近で過ごす飼育員だった私は、彼らのほうがずっと賢いと思うことがよくあった。たとえば、言葉を持たないゴリラを納得させようとすると、その場しのぎのごまかしや嘘、先送りは通用しない。納得するまで、相手としっかり向き合わなければならない。言葉があるせいで誤解し合ったり、揉めたりしてしまう私たちのコミュニケーションに比べると、ゴリラとのコミュニケーションはシンプルだが、心を通わせるという意味においては、ずっと本質的かもしれない。大型類人猿と私たちとでは流れる時間が少し違う。それでも、焦らず、支配しようとせず、理解しようとする。種を超えた生き物どうしが仲良くする秘訣であり、これは違う人間どうしが仲良くする場合のヒントとなるかもしれない。
●2020年12月1日発売
【著者】黒鳥英俊(くろとり・ひでとし)
1952年生まれ、北海道函館市出身。1975年茨城大学農学部畜産学科卒業。京都大学大学院理学研究科後期博士課程単位取得退学。1978年より、東京都恩賜上野動物園や多摩動物公園に勤務し、ゴリラ、オランウータン、チンパンジーなど、主に大型類人猿の飼育を担当。1985年には、動物園チームでチンパンジーの人工授精に成功している。飼育以外では、1996年に東京都の「ズーストック計画」によって上野動物園にオープンした「ゴリラ・トラの住む森」の建設計画に携わる。2007年からは、NPOボルネオ保全トラストジャパンの理事として、国内外でボルネオに生息するゾウやオランウータンなどの野生動物の保全活動を行う。2010 年からは上野動物園で学芸員として教育普及や広報の仕事を担当し、同年より、京都大学野生動物研究センターで動物園のオランウータンの研究を継続する。2015年、37年間勤めていた動物園を退職。同年より日本オランウータン・リサーチセンター代表を務め、多方面にわたって類人猿の保護、啓蒙活動を行うほか、専門学校や大学などの教育機関で講師として教壇に立つ。
著書に『オランウータンのジプシー』(ポプラ社)、『モモタロウが生まれた』(フレーベル館)、翻訳書に「どうぶつの赤ちゃんとおかあさん」シリーズ『オランウータン』『ゴリラ』(共にスージー・エスターハス著、さえら書房)、監修に『東西ベルリン動物園大戦争』(赤坂桃子訳、CCCメディアハウス)などがある。
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