博報堂「生活者の脱炭素意識&アクション調査」【②アクション篇】
日本の生活者の脱炭素行動を促進するには?2021年9月調査結果~
生活者の脱炭素意識&アクション調査『②アクション篇』結果 ■脱炭素、生活者の6割が「暮らしの中での工夫知りたい」。 |
株式会社博報堂(東京都港区、代表取締役社長:水島正幸)の「ミライの事業室」と「博報堂SDGsプロジェクト」は今年9月、全国の生活者を対象に「生活者の脱炭素意識&アクション調査」を実施しました。
2030年度の温室効果ガス46%削減に向けては、66%の排出量削減が必要とされる家庭部門、すなわち生活者の暮らしにおける削減が鍵を握ると言われています。前回のレポート(10/18発表『意識篇』https://www.hakuhodo.co.jp/news/newsrelease/93767/)では、生活者は脱炭素への関心や意欲はあるものの、何をすればいいか分からない、情報がないと感じていることが分かりました。本レポート『アクション篇』では、生活者の脱炭素行動を促進するために効果的な情報やアプローチを探りました。(調査実施日:2021年9月18-19日 調査対象:全国15~79歳男女 計1,400名)
<調査結果のポイント>
【まずは身近なことから、生活の中でできる工夫を知りたい】
・脱炭素につながる暮らしの工夫や商品・サービスの情報を「知りたい」人は56.3%。
・脱炭素に取り組んでみたい分野は「食品・飲料」42.0%、「電気・ガス・水道などのインフラ」40.1%、「日用品・トイレタリー・衛生用品」29.4%と、まずは身の回りのことから。
【お得さだけでなく、「自分の貢献を実感したい」「楽しみながら学びたい」】
・「どんな情報があれば脱炭素の行動が増えそうか」を聞いたところ、「お得に利用できること」「生活の中での工夫」に続いて、「商品使用によるCO2 削減量」「使い方によるCO2削減量」が上がった。自分の行動を変えた時の貢献量を把握したいという意識がうかがえる。
・便利だと思う情報提供の形として、「生活の工夫が集まった情報サイト」「動画などで楽しみながら学べるサイト」が4割。シニア層は「情報サイト」、Z世代は「楽しみながら学べるサイト」が全体より高い。
【“節約”から“リペア”まで。「いろんな選択肢で、生活を楽しみながら」脱炭素貢献へ】
・「どんなメリットがあれば行動が増えそうか」では、ポイント付与や割引が上位にあがるも、Z世代や40歳以下の女性では「格好よい・カワイイなど商品としての魅力があること」が全体より高く、行動喚起につながる要素となりそう。
・「自分でもできそうなこと」は、「ゴミのリサイクル」や「電気や水の節約」などが上位にあがった。「脱炭素商品の購入」よりも「買うのではなく、リペアや再利用する」が高くなっている。
・暮らしの工夫に関する情報テーマ例を呈示して魅力度を聞いたところ、「地産地消商品」「出荷できない魚の食べ方」など食関連が上位に。「捨てるや売るより直すサービスの紹介」の関心も高かった。
<調査結果を踏まえて>
脱炭素社会の実現に向けて、生活者は「暮らしの中でどんな工夫ができるか」、まずは身の回りの情報を求めていることが分かりました。ただし、その情報の内容や伝え方には、提供側の工夫の余地がありそうです。 脱炭素の行動につながる情報の上位項目に「削減量の表示」が上がり、自分が取り組むことでの具体的な貢献を実感したいという意識が伺えました。 また、これまでの環境問題では、節約やリサイクルなど生活者の倫理観に期待するものが多く、本調査でもその傾向は見られましたが、Z世代(15歳~24歳)などを中心に「楽しみながら学びたい」「格好よい・カワイイ商品」など、前向きに楽しみながら脱炭素に関わろうとする意識があることも確認できました。中古品の購入やレンタルといった脱炭素行動の選択肢を「生活を楽しむアイディア」として提示することも有効なようです。 ともすると勉強的・倫理的になりがちな領域であるだけに、生活者がライフスタイルの中でいかに“楽しみながら”脱炭素に取り組めるか、そうした観点での情報提供や提案が重要と言えそうです。(分析担当) |
<調査概要>
調査手法:インターネット調査
調査対象者:15-79歳の男女1,400名、
※分析時は、人口の性年代構成比に基づきウェイトバック集計を実施。本資料掲載の数値はウェイトバック後のものを使用。
対象地域:全国
調査時期:2021年9月18日-19日
調査委託先:(株)H.M.マーケティングリサーチ
<実施主体>
本調査は、博報堂の新規事業開発組織「ミライの事業室」と、企業のSDGsへの取り組みを支援する全社プロジェクト「博報堂SDGsプロジェクト」が共同で実施しました。
■ミライの事業室
2019 年に発足した博報堂の新規事業開発組織。「チーム企業型事業創造」を方針に、博報堂が自ら事業オーナーとなり、多様なパートナーと連携して生活者にとって価値ある新規事業の創造に取り組んでいます。博報堂の強みであるクリエイティビティとつながりを力に、ミライの新しい社会と産業をデザインしていきます。
http://mirai-biz.jp/
■博報堂SDGsプロジェクト
SDGsの視点からクライアント企業のビジネスイノベーションを支援する全社的プロジェクト。マーケティング・ブランディング、PR、ビジネス開発、研究開発、クリエイティブなど、SDGsに関する経験と専門性を持つ社員で編成。次世代の経営のテーマとなる、企業の経済インパクトと社会的インパクトの統合に資するソリューション開発や経営支援、事業開発支援、マーケティング支援などを行います。
https://www.hakuhodo.co.jp/news/info/82711/
<調査結果の詳細>
■脱炭素の工夫への関心度
脱炭素につながる暮らしの工夫や商品・サービスの情報を「知りたい」と回答した人は56.3%(ぜひ知りたい+知りたい計)と、6割近くにのぼりました。
■取り組んでみたい分野
脱炭素に取り組んでみたい分野は、「食品・飲料」(42.0%)、「電気・ガス・水道などのインフラ設備」(40.1%)、「日用品・トイレタリー・衛生用品」(29.4%)など、身の回りの領域が上位となっています。
■脱炭素につながる行動が増える「情報」
どんな情報があれば、脱炭素の行動が増えそうかを尋ねたところ、「関連商品・サービスを購入・利用するたびにポイントが貯まりオトクに利用できること」(36.6%)、「生活の中での排出量削減の工夫」(29.1%)に続いて、「その商品を使うと、平均よりもどの程度CO2排出量を削減できるかの表示」(25.7%)、「使い方や行動を変えると、どの程度CO2排出量を削減できるかの表示」(25.5%)があがっており、自分の行動の変化によって、どのくらいの貢献が出来るのかを具体的に把握したいという意識が見られます。
■便利だと思う情報提供の形
脱炭素をテーマとしたWEBサイトのタイプを複数呈示し、脱炭素に関する情報がどういう形で提供されると便利かを尋ねたところ、「脱炭素に関する情報や生活の工夫が集まった情報サイト」(43.0%)が最も高く、「動画やコンテンツなどで楽しみながら脱炭素が学べるサイト」(39.8%)が続きました。
性年代での傾向の差もあり、シニア層は「工夫が集まった情報サイト」、Z世代(15歳~24歳)は「楽しみながら学べるサイト」が高くなっています。
■脱炭素につながる行動が増える「メリット」
どのような良いこと(メリット)があれば、脱炭素につながる行動が増えそうかについては、「ポイントが貯まるなどの利用メリットがあること」「割引」「価格の安さ」などの金銭的メリットが上位にあがりました。
一方、Z世代や女性20~40代では「格好よい・カワイイなど、商品としての魅力があること」が全体よりも10ポイント以上高く、行動喚起につながる要素となりそうです。
■サービス利用意向
どのようなサービスを利用したいかについては、「脱炭素に貢献する買物や行動でポイントがもらえる」(65.9%)が最上位ですが、「普段の買い物や移動内容などから自分の生活のCO2排出量がわかる」や「もらったポイントで購入した商品のCO2排出量を実質ゼロにする」など、排出量の見える化に関する項目が続きました。
■自分でもできそうなこと
脱炭素社会の実現に向けて、自分でもできそうだと感じることは、「ゴミのリサイクル、分別を徹底する」(61.6%)「電気や水の使いすぎを減らす」(60.8%)などが多く選ばれました。「脱炭素商品の購入」よりも、「買うのではなくリペアや再利用する」が高くなっています。
■「暮らしの工夫情報」のテーマ魅力度
生活におけるCO2削減の工夫に関する情報テーマ例を複数呈示し、それぞれの魅力度を聞いたところ、「【輸送の工夫】地産地消の商品紹介」(67.7%)や「【消費の工夫】捨てるや売るより直すサービス紹介」 (62.3%)、「【食事の工夫】出荷できない魚の実は美味しい食べ方紹介」(62.0%)などが上位となりました。食まわりの工夫情報は魅力度が高いようです。
「生活者の脱炭素意識&アクション調査」 ▼【意識篇①】日本の生活者に脱炭素意識はどの程度浸透しているか?(10/18発表) https://www.hakuhodo.co.jp/news/newsrelease/93767/ ▼【アクション篇②】日本の生活者の脱炭素行動を促進するには?(本レポート) https://www.hakuhodo.co.jp/news/newsrelease/93959/ |
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