電通総研、国内500社を対象とした「2026年 ESG企業動向調査」を発表
- SSBJ義務化を見据え、ESG情報開示は「実施の有無」から「信頼性を担保する統制・システム化」の時代へ -
テクノロジーで企業と社会の進化を実現する株式会社電通総研(本社:東京都港区、代表取締役社長:岩本 浩久、以下「電通総研」)は、2026年9月7日(月)、国内企業500社を対象とした企業の環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)への取り組み状況およびESG情報管理ツールの導入状況を調査した「2026年 ESG企業動向調査」を発表します。
■ 調査の背景と目的
近年、ISSB(International Sustainability Standards Board:国際サステナビリティ基準審議会)※1や欧州のCSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive:企業サステナビリティ報告指令)※2といった世界的な情報開示規制が強化される中、日本国内においてもSSBJ(Sustainability Standards Board of Japan:サステナビリティ基準委員会)※3によるサステナビリティ開示基準の策定が進み、2027年3月期から時価総額に応じて段階的に有価証券報告書での義務化が適用されます。
このような背景を踏まえ、本調査は、国内企業におけるESG責任体制や情報開示の実態、ESGデータの収集・管理方法、さらにSSBJやCSRDへの対応進捗とシステム導入を巡る実務課題などの企業動向を明らかにし、ESGへの対応傾向を調査することを目的として実施しました。
■ 「2026年 ESG企業動向調査」 主なファインディングス
1.ESG情報の開示はすでに定着。「実施の有無」から、SSBJなど制度適用に向けた「開示品質向上」に焦点が移行
役員クラスがESG責任者を担う割合は75.6%と高水準で安定しており、ESGレポート等の作成・開示企業は72.6%に達しています。これにより、今後の企業の焦点は「開示の有無」から「制度適用を見据えた開示の網羅性、正確性、および監査・保証に対応できる品質の向上」へシフトしています。
2.進むデータ管理のシステム化。一方で「表計算ソフトウエア依存のシステム外作業」が最大の実務課題に
ESG情報管理/GHG排出量算定ツールを導入している企業は52.4%と半数を超えています。しかし、導入済み企業であっても、データの収集・加工・確認などの実務プロセスにおいて、64.7%が「表計算ソフトウエアなどを使ったシステム外の作業が半分以上を占める」と回答しています。システム外作業が発生する最大の要因は「部門や事業所から提出されるデータの形式や粒度の不統一(49.0%)」であり、システム導入そのものよりも実務に即したプロセスの標準化とシステム連携が課題となっています。
3.SSBJ適用の具体化に伴い、システム投資負担と第三者保証を見据えた内部統制の整備が本格化
開示レポート案作成、先行開示段階等SSBJ適用が進んでいる企業ほど専用ツールの導入が進んでおり(73.5%)、社内のみならずグループ会社やサプライヤーを巻き込んだ管理体制の成熟度が高くなっています。一方で、SSBJ対応が具体化するにつれて、「対応コストの負担が大きい(26.2%)」や「現在作成している統合報告書(サステナビリティ報告書)や他の開示基準との整合性をとることが難しい(20.1%)」など実務負担が顕在化。また、データへの信頼性を担保するための内部統制の構築や承認フローの設計、第三者機関による保証の重要性が高まっています。
■「2026年 ESG企業動向調査」結果サマリー
1. ESG責任者の任命
役員層が責任を担う企業は、75.6%(内訳:最高責任者43.0%、役員兼務32.6%)と高い水準で定着している。一方、前年比で専任役員は微減し、部課長クラスの責任者が23.0%へ上昇。体制の整備は進んだものの、実務部門中心の運用も依然として見られる。

2. ESGレポートの作成・情報開示状況
2026年の開示率は72.6%と、高い水準を維持。未開示を含むレポート作成率は94.0%に達し、未作成企業はわずか6.0%。開示の実務はすでに定着しており、今後の焦点は作成の有無から開示内容の充実や品質向上へ移っている。

3. ESG情報管理の方法
ツールやシステムの利用が52.4%と半数を超える一方、自社開発システム(49.8%)や業務パッケージへのアドオン開発対応(29.6%)が上昇し、既存環境との併用が進んでいる。手作業からのシステム移行は順調だが、複数ツールやシステムの併用が多く、単一の仕組みで業務を完結できていない企業が多いのが実態。

4. ESG情報管理における課題
最大の課題は「データ形式の不統一・管理の煩雑さ」(43.6%)となり、前年より上昇。システム化が進む一方で、形式や粒度の違いが壁となっている。次いでデータの「信頼性基準の不足」(28.6%)や「収集の効率不足」(27.6%)が続き、データの標準化や品質管理、プロセス整備が引き続き急務となっている。

5. ESGデータ収集におけるシステム外作業の発生状況
「システム外作業が大部分を占める」という回答は22.2%に減少したものの、「半分くらいある」が42.5%と依然として多数を占める。「ほとんどない」は9.9%にとどまり、ツール導入済みの企業でもデータ収集・加工等の実務がシステム外に残存。作業のシステム内完結が大きな課題となっている。
システム外作業の発生理由は「拠点間のデータ形式・粒度の不統一」(49.0%)で、データの標準化が最大の課題。次いで「ツールの開示項目への対応不足」(38.5%)や「他システムとの連携不足による表計算ソフトウエア出力」(32.8%)が続き、機能面やシステム連携の不足が表計算ソフトウエアへの依存を招いている。

<ESGデータ収集におけるシステム外作業の発生状況>

6. SSBJへの対応状況
SSBJへの関心が高まる中、「開示対象か不明」(8.0%)や「非対象と判断」(23.0%)が上昇した。単なる情報収集段階の企業が減少する一方、自社が将来的に開示対象となるかの実質的な適用判断を行う企業が増えている。
具体的な対応段階(施策策定や基盤構築など)を進める企業は一定数にとどまるものの、既存のレポート等でSSBJを意識した情報を先行開示している企業が10.2%に達しており、正式適用に向けた準備が二極化している。
最大の課題は「開示情報の整理と網羅性の確保」(29.4%)。検討から実装段階へ進むにつれ、「システム未構築」(26.2%)や「コスト負担」(26.2%)、既存レポート等「他基準との整合性の難しさ」(20.1%)といった回答が前年から大きく上昇。 「社内連携」や「人材不足」といった組織面の課題は改善傾向にある一方、システム整備やコスト、開示実務にかかる負担がより顕在化している。


■調査概要

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調査名 |
2026年 ESG企業動向調査 |
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調査期間 |
2026年5月29日(金)~6月2日(火) |
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調査対象 |
以下の条件をすべて満たす国内企業の役職者 ・ 年商500億円以上の企業勤務者 ・ 係長・主任職相当以上の役職者 ・ 社内のESG取り組み状況を把握しており、関連業務に関与している者 |
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調査方法 |
電通総研マーケティング部門によるWebアンケート |
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有効回答数 |
500社 |
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ファイルダウンロード |
※1 https://www.ifrs.org/groups/international-sustainability-standards-board/
※3 https://www.ssb-j.jp/jp/list-ssbj_2.html
※4 https://www.globalreporting.org/how-to-use-the-gri-standards/gri-standards-japanese-translations/
<ご参考資料>
2026年9月1日
電通総研、デンソーのサステナビリティデータ収集基盤として「STRAVIS(ストラビス)」を提供
2024年8月27日
電通総研、三菱商事のサステナビリティ調査を連結会計ソリューション「STRAVIS(ストラビス)」で実現
■電通総研について https://www.dentsusoken.com
電通総研は、「HUMANOLOGY for the future~人とテクノロジーで、その先をつくる。~」という企業ビジョンの下、「システムインテグレーション」「コンサルティング」「シンクタンク」という3つの機能の連携により、企業・官庁・自治体や生活者を含めた「社会」全体と真摯に向き合い、課題の提言からテクノロジーによる解決までの循環を生み出し、より良い社会への進化を支援・実装することを目指しています。
テクノロジーや業界、企業、地域の枠を超えた「X Innovation(クロスイノベーション)」を推進し、これからも人とテクノロジーの力で未来を切り拓き、新しい価値を創出し続けます。
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