人手不足企業は45.9%、コロナ禍前の水準に迫る 特にIT業界で深刻
非正社員では「飲食店」「旅館・ホテル」で人手不足が目立つ
「コロナ禍」前まで企業の経営課題として筆頭にあげられていた人手不足は、新型コロナウイルスの感染拡大によって経済活動が制約され、人手不足感が一時落ち着く格好となった。しかし、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が解除され徐々に「アフターコロナ」へと向かうなかで人手不足割合も上昇、再び経営課題として浮上してきた。帝国データバンクが2021年11月に実施した調査では、2022年の景気に悪影響を及ぼす懸念材料に「人手不足」をあげた企業は30.6%で、前年の11.1%から大幅に上昇した。
<調査結果(要旨)>
正社員の人手不足動向
人手不足割合は45.9% 「コロナ禍前」の水準に迫る
情報サービス業が64.6%でトップ 引き続きIT人材不足が目立つ
次いで、「メンテナンス・警備・検査」は60.1%と6割を上回り、「建設」も59.4%となり長く高水準が続いている。
コロナ禍前まではインバウンド需要によって好調だった「飲食店」「旅館・ホテル」は、2年前の2020年4月には1回目の緊急事態宣言によって大きな打撃を受けた。その時点の人手不足割合は大きく減少したものの、直近では「飲食店」は51業種中で6番目、「旅館・ホテル」は9番目に高く、再び多くの企業が人手不足を感じている傾向が表れた。
非正社員の人手不足動向
27.3%の企業が非正社員不足 前年同月から6.7ポイント増
企業からは、「外国人が入国できないため人手不足状態となり、建設業の施工が延期されているため影響を受けている」(鉄鋼卸売、東京都)や「新型コロナウイルスの影響で求職者が全体的に減っており、顧客からの派遣ニーズは強い」(労働者派遣、千葉県)などの声があげられている。
コロナ禍によって人手不足が緩和された「飲食店」「旅館ホテル」が再び上位に
また、正社員と同様に「人材派遣・紹介」(53.6%)や「メンテナンス・警備・検査」(43.9%)なども高かった。「繊維・繊維製品・服飾品小売」(42.9%)も新型コロナによって影響を受けた業種であるが、徐々に人手不足感が上昇している。
コロナに左右される人手不足、いち早く抜け出せる施策を打てるかがカギ
国内企業の人手不足割合は、正社員・非正社員それぞれにおいてコロナ前の水準に迫ろうとしている。情報サービス業ではIT人材の不足が目立ち、飲食店、旅館・ホテル業など元来人手不足割合が高かった業種では不足感が再燃している。アフターコロナへと移ろうなかで、今後さらに不足感が上昇すると考えられる。
生産年齢人口の減少などにより、今後はこれまで以上に採用が難しくなることが予想されており、人手不足の解消は事業継続や成長に向けて避けられない。2021年に人手不足を主な要因として倒産したケースが104件発生した。2年連続で大幅に減少し4年ぶりの低水準となったものの、こうした人手不足感の高まりを踏まえると、増加に転ずる可能性も否定できない。
政府も人手不足の解消に欠かせないデジタル化やDXを推進している。2021年9月にはデジタル庁が発足。また、地方からデジタルの実装を進め、地方と都市における差の縮小を目指す「デジタル田園都市国家構想」も本格化している。こうした時流に乗り、将来を見据ながら人手不足の解消に向けて積極的に取り組むことは、事業継続を左右する大きなファクターとなるだろう。
- 正社員の人手不足割合は45.9%で、前年同月から8.7ポイントの大幅増加となった。特に情報サービス業では64.6%となり、IT人材の不足感が目立っている
- 非正社員では27.3%が人手不足を感じており、同6.7ポイント増加した。コロナ禍によって人手不足感が緩和されていた「飲食店」「旅館・ホテル」で、再び不足感が強まっている
正社員の人手不足動向
人手不足割合は45.9% 「コロナ禍前」の水準に迫る
人手不足感は、新型コロナの感染拡大前に近い水準まで上昇している。2022年4月時点における従業員の過不足状況を尋ねたところ、正社員について「不足」していると回答した企業は45.9%だった。前年同月から8.7ポイント上昇するなど5割に迫り、コロナ禍前に最も人手不足割合が高かった2019年(50.3%)に近い水準となった。なお、人手が「適正」と感じている割合は44.5%、「過剰」は9.6%だった。
情報サービス業が64.6%でトップ 引き続きIT人材不足が目立つ
業種別においても、上位10業種それぞれで前年同月より上昇している。なかでも「情報サービス」が64.6%で最も高かった。経済産業省が2030年までに約40~80万人のIT人材が不足すると試算するなど危惧されていたなかで、依然としてIT人材の引き合いは強い結果となった。
次いで、「メンテナンス・警備・検査」は60.1%と6割を上回り、「建設」も59.4%となり長く高水準が続いている。
コロナ禍前まではインバウンド需要によって好調だった「飲食店」「旅館・ホテル」は、2年前の2020年4月には1回目の緊急事態宣言によって大きな打撃を受けた。その時点の人手不足割合は大きく減少したものの、直近では「飲食店」は51業種中で6番目、「旅館・ホテル」は9番目に高く、再び多くの企業が人手不足を感じている傾向が表れた。
非正社員の人手不足動向
27.3%の企業が非正社員不足 前年同月から6.7ポイント増
非正社員について「不足」していると回答した企業は27.3%となった。正社員の傾向と同様に、前年同月から大幅に上昇した。また、人手が「適正」とした割合は64.5%、「過剰」は8.2%だった。
企業からは、「外国人が入国できないため人手不足状態となり、建設業の施工が延期されているため影響を受けている」(鉄鋼卸売、東京都)や「新型コロナウイルスの影響で求職者が全体的に減っており、顧客からの派遣ニーズは強い」(労働者派遣、千葉県)などの声があげられている。
コロナ禍によって人手不足が緩和された「飲食店」「旅館ホテル」が再び上位に
非正社員の人手不足割合を業種別にみると、「飲食店」が77.3%でトップとなった。全業種中で唯一の7割台となり、深刻な人手不足となっている。次いで、「旅館・ホテル」も56.1%と高い。企業からは「県民割の適用により、旅行客が増加している」(旅館・長崎県)や「決して楽観できる状況ではないが、まん延防止等重点措置が解除され昨年よりは良い」(旅館、愛媛県)といった声があるように、旅行客が戻ってきていることが人手不足の背景にありそうだ。
また、正社員と同様に「人材派遣・紹介」(53.6%)や「メンテナンス・警備・検査」(43.9%)なども高かった。「繊維・繊維製品・服飾品小売」(42.9%)も新型コロナによって影響を受けた業種であるが、徐々に人手不足感が上昇している。
コロナに左右される人手不足、いち早く抜け出せる施策を打てるかがカギ
国内企業の人手不足割合は、正社員・非正社員それぞれにおいてコロナ前の水準に迫ろうとしている。情報サービス業ではIT人材の不足が目立ち、飲食店、旅館・ホテル業など元来人手不足割合が高かった業種では不足感が再燃している。アフターコロナへと移ろうなかで、今後さらに不足感が上昇すると考えられる。
生産年齢人口の減少などにより、今後はこれまで以上に採用が難しくなることが予想されており、人手不足の解消は事業継続や成長に向けて避けられない。2021年に人手不足を主な要因として倒産したケースが104件発生した。2年連続で大幅に減少し4年ぶりの低水準となったものの、こうした人手不足感の高まりを踏まえると、増加に転ずる可能性も否定できない。
政府も人手不足の解消に欠かせないデジタル化やDXを推進している。2021年9月にはデジタル庁が発足。また、地方からデジタルの実装を進め、地方と都市における差の縮小を目指す「デジタル田園都市国家構想」も本格化している。こうした時流に乗り、将来を見据ながら人手不足の解消に向けて積極的に取り組むことは、事業継続を左右する大きなファクターとなるだろう。
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