イオンリテール、日本IBMと開発したAIが適切な 割引価格を提示し食品ロスを削減する「AIカカク」と国内最大規模の需要予測・発注システム「AIオーダー」の適用範囲を拡大
イオンリテール株式会社 (代表取締役社長 井出 武美、以下「イオンリテール」)は、 日本アイ・ビー・エム株式会社(代表取締役社長 山口 明夫、以下 「日本IBM」)と開発した、過去の販売データに基づきAIが適切な値引き率を提示する「AIカカク」の適用を、既に実装している惣菜部門と日配品の一部に加え、2024年5月8日より畜産部門に、5月22日より水産部門に拡大します。また、客数と商品の需要予測をもとにAIが最適な発注数を提示するシステム「AIオーダー」の適用を、6月から新たな日配品(漬物やチルド飲料、チーズ、ハムなど)およびデリカの冷総菜やサラダへと拡大します。「AIカカク」、「AIオーダー」の開発にあたっては、日本IBMのデータ・サイエンティストとコンサルタントが、AIなどを活用した予測モデルや最適化モデルの構築、システム構築を支援しました。
AIカカク利用シーンのイメージ(鮮魚はパック後の商品に適用)
イオン株式会社の「2021~2025年度中期経営計画( https://www.aeon.info/wp-content/uploads/news/pdf/2021/04/210409R_3.pdf )」で策定された成長戦略の「デジタルシフトの加速と進化」において、データ・AI・経験に基づく迅速な意思決定の実現により、店舗・デジタルが融合されたシームレスな顧客体験、データ連携とデータ基盤の構築による新たな収益モデルの創造、データ・AIを活用した既存オペレーションの刷新を目指しています。そして、総合スーパーの「イオン」、食を中心に専門性の高い売り場を組み合わせた「イオンスタイル」などの店舗を運営するイオンリテールは、「お客さま第一」のもと、デジタル技術との融合によって、店舗では対話を通じた楽しさや発見のあるお買物体験を提供し、利便性の追求に取り組んでいます。この現場起点での小売店舗デジタル・トランスフォーメーション(DX)を実現するのが、「AIカカク」と「AIオーダー」です。
2021年5月に「AIカカク」を適用開始し、データに裏付けされた売り切り価格で販売することで、導入前と比べ、ロス率が1割以上低減しているほか、値引きや売り切り業務に関わる店舗スタッフの教育時間も低減しています。今回の適用範囲の拡大にあたり、イオンリテールは日本IBMのデータ・サイエンティストとともに、部門ごとの販売特性や値引きによる売れ方の変化などを細やかに分析し、店舗特性も考慮したうえで、予測と売価最適化モデルにさまざまなチューニングをしました。また、2023年に導入された「AIオーダー」では、発注にかかる時間が半減され、入荷整理や品出し、在庫管理、値引き、発注修正など店舗商品管理における業務負荷が減り、大きな生産性向上につながるなどの成果が確認できたため、今回、適用範囲をさらに拡大することになりました。
・「AIカカク」:2021年5月から店内調理の惣菜で運用を開始し、翌年には日配品(数日期限)、そして生鮮部門への拡大により、対象は約1,200品目、約380店舗に導入します。販売実績や天候・客数などの環境条件をAIが学習し、売場の商品のバーコードを読み取り陳列数を入力するだけのシンプルなシステム設計と画面設計になっています。入力後はAIが提示した適切な割引率で携行のシール発行機から自動印刷され、該当商品にシールを添付して作業完了と、経験に関わらず作業を進めることができます。
・「AIオーダー」:2023年に日配品約1,000品目を対象に、関東・北陸信越・東海・近畿・中四国の約380店舗に導入されました。正確な発注数を自動で提示し発注時間を平均で5割削減するとともに、AIによる客数予測や過去の販売実績とあわせて、曜日・価格・気温・プロモーションなどを機械学習させることで、既存システムと比べ予測精度が最大40%改善(※1)しました。気温の変化等による突発的な品切れ削減と過剰発注を防ぐことで平均3割の在庫削減にもつながっています。日本IBMは、値引き・廃棄リスクと、販売機会ロスを考慮し利益を最大化する適正発注を行えるように設計しました。具体的には、特売や販促を考慮した変動するPI値を予測し、適切な発注数を算出します。
イオンリテールは今後、店舗にとどまらず生産や流通といったサプライチェーン全体の課題解決にAIを適用していく方針であり、日本IBMは、引き続き、AIを活用したシステム開発を支援します。
(※1)既存の発注予測システムとのPI値(レジ通過客数1,000人あたりの買上点数)予測差での比較
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