「短期退職に関する調査」
新卒入社した会社よりも中途入社した会社の方が、退職の判断がより早い。入社1年目の社員に対する会社側のケアについて、人事担当者の63.0%・退職者側の27.8%が「充実している」と回答。
<調査背景>
近年、人材不足はますます深刻化しています。今後も売り手市場が続くことが予想される中、企業としては人材流出においても今以上の対策が求められるでしょう。
そこで、人材流出を食い止めるヒントとなるのが「退職者」。今回は1年以内に自己都合退職した人(退職側)と、1年以内に自己都合退職した社員に関与した人事・教育担当者(退職される側)に対し、退職周りの実態を聴取しました。是非、社員と企業の相互理解に向けた一資料としてご活用ください。
【調査概要】
調査の方法:株式会社ネオマーケティングが運営するアンケートシステムを利用したWEBアンケート方式で実施
調査の対象:全国の20歳以上の男女のうち、短期退職者(現在社会人で、新卒入社or中途入社で1年以内の短期退職経験者)、または1年以内に退職した従業員に関与した経験のある、企業の人事・教育担当者
有効回答数:短期退職者500名、人事・教育担当者500名
調査実施日:2024年5月10日(金)~2024年5月13日(月)
◆「短期退職に関する調査」主な質問と回答
1年以内に自己都合で退職した会社・職場での在籍期間は:新卒入社した会社の場合「1年以内」が最多で29.0%、中途として入社した会社の場合「3か月以内」が最多で22.6%。
在籍期間が長くとも3か月以内(「1週間以内」「2週間以内」「1か月以内」「3か月以内」の合算)の割合で比較しても、新卒入社した会社の場合は46.6%、中途として入社した会社の場合は57.7%と、後者の方が11.1ポイント高くなっていた。
入社1年目の社員に対する会社・職場側のケアの充実度合いについてどう思うか:人事担当者の63.0%・退職者側の27.8%が「充実している」と回答。
ケアの充実度合いへの認識について、両者で35.2ポイントもの差が生じた。
入社後の教育カリキュラムや交流会など、会社側で準備している「ケア」の数は多いものの、それが社員側の不安や不満を取り除くものになっていない可能性が考えられる。
はじめに、1年以内に自己都合退職した経験のある人(以下、「短期退職者」)に対し、その会社・職場での在籍期間を新卒・中途それぞれでお聞きしました。(※複数回ある場合は、最も短い在籍期間について回答)
■1年以内に自己都合で退職した会社・職場での在籍期間
新卒入社した会社の場合「1年以内」が最多で29.0%、中途として入社した会社の場合「3か月以内」が最多で22.6%でした。
また、在籍期間が長くとも3か月以内(「1週間以内」「2週間以内」「1か月以内」「3か月以内」の合算)の割合で比較しても、新卒入社した会社の場合は46.6%、中途として入社した会社の場合は57.7%と、後者の方が11.1ポイント高くなっていました。
新卒入社よりも中途入社の方が、退職の判断がより早いことがわかります。
短期退職者に、1年以内に自己都合で退職した理由をお聞きしました。
また、1年以内に退職した従業員に関与した経験のある、企業の人事・教育担当者(以下、「人事担当者」)に対しては、社員が1年以内に自己都合退職した理由として、把握しているものをお聞きしました。なお、以下のグラフは上位10項目を表示しています。
■1年以内に自己都合退職した理由/社員が1年以内に自己都合退職した理由として、把握しているもの
順序はやや異なるものの、両者で上位4項目は共通しており、概ね退職理由の認識に相違無いことがわかりました。
一方で、「残業・休日出勤が多い」や「給与に不満があった」割合は短期退職者でそれぞれ18.8%・16.8%あるのに対し、人事担当者では11.8%・11.8%にとどまっており、両者でズレが生じています。
やはり、人事担当者が把握している以上に、待遇面におけるネガティブな理由で辞める割合は多いようです。
短期退職者と人事担当者それぞれに対し、妊娠・出産・育児や介護に対して職場で用意されている制度、実施されているケアは十分だと思うかお聞きしました。
■妊娠・出産・育児や介護に対する職場の制度、実施されているケアは十分だと思うか
「とてもそう思う」の割合は短期退職者で9.2%、人事担当者で23.6%となり、14.4ポイント差が生じています。「とてもそう思う」「ややそう思う」の合算で比較するとその差はさらに開き、短期退職者39.6%、人事担当者68.5%で、28.9ポイント差に。
前掲した設問【1年以内に自己都合退職した理由】では「妊娠・出産・育児のため」「介護のため」「福利厚生が充実していない」の項目が上位10項目に入っていませんでした。
このことから、妊娠・出産・育児や介護に対して用意された制度・ケアの不十分さが短期退職の直接的な原因にはなりにくいことが分かりましたが、短期退職者の多くが制度の不十分さにも不満を持っていること、そしてその不十分さを会社側が把握できていない様子がうかがえます。
また、「とてもそう思う」と回答した割合を性年代別で比較すると、男性の場合20代で最も高く、女性の場合20代で最も低くなり、真逆の結果に。
妊娠・出産・育児や介護制度の実効性や利用のしやすさに対する男女の意識差は、20代が最も大きいようです。
短期退職者に、会社・職場にどのような制度やケアがあれば辞めずに済んだと思うかお聞きしました。
また、人事担当者には妊娠・出産・育児や介護をおこなう社員に対し、会社・職場にある制度、実施されているケアをお聞きしました。なお、以下のグラフは上位11項目を表示しています。
■会社・職場にどのような制度やケアがあれば、辞めずに済んだと思うか/
妊娠・出産・育児や介護を行う社員に対して、会社・職場にある制度や実施しているケア
上記の、短期退職者側の希望と人事担当者側が実際に用意している制度・ケアを比較すると、「職場での理解促進・雰囲気づくり」「柔軟な勤務時間やリモートワークの許可」「カウンセリングやメンタルヘルス支援の提供」など、退職者の希望する制度やケアの多くが、実際に設けられていることがわかりました。
短期退職者は「職場での理解促進・雰囲気づくり」がトップとなりましたが、前掲した設問【1年以内に自己都合退職した理由】で「上司との人間関係」「同僚・部下との人間関係」が上位に入っていることからもわかるように、やはり短期退職者は職場の雰囲気に敏感であることがわかります。
既に「職場での理解促進・雰囲気づくり」に関する制度やケアを設けていても、それが本当に社員の希望に沿った内容になっているか、当事者の周囲の意見はどうかなど、会社側は様々な角度から検証する必要があるでしょう。
短期退職者に対し、1年以内に自己都合退職したことをどう思っているかお聞きしました。
■1年以内に自己都合退職したことに対する自身の気持ち(n=500)
後悔している(「とても後悔している」「少し後悔している」の合算)割合が23.8%と一定数いるものの、「全く後悔していない」割合が52.8%と半数以上を占めています。
短期退職者と人事担当者それぞれに対し、入社1年目の社員に対する会社・職場側のケアの充実度合いについてお聞きしました。
■入社1年目の社員に対する、会社・職場側のケアは充実していたか/
入社1年目の社員に対する、会社・職場側のケアは充実していると思うか
充実していると感じている割合(「とても充実していた(とても充実している)」「まあ充実していた(まあ充実している)」の合算)は短期退職者で27.8%、人事担当者で63.0%となり、35.2ポイントもの差に。
入社後の教育カリキュラムや交流会など、会社側で準備している「ケア」の数は多いものの、それが社員側の不安や不満を取り除くものになっていない可能性が考えられます。
「自分に合わない」と入社早々に判断されてしまわないよう、会社側としては、同期入社または近い時期に入社した社員と交流させ、相談しやすい“横のつながり”を作らせる、中途入社の場合は前職での経験・強みを社内に徹底的に周知させ、やりがいのある業務を担うチャンスを増やすなど、より細かなケアが求められるでしょう。
1年以内の自己都合退職について、実際におこなった短期退職者には「その後の転職活動で支障となった経験はあるか」、人事担当者には「その後の転職活動で支障となると思うか」お聞きしました。
さらに人事担当者には、1年以内に自己都合退職した経験がある求職者への印象もお聞きしました。
■1年以内に自己都合退職したことがその後の転職活動で支障となった経験はあるか/
1年以内に自己都合退職することは退職者のその後の転職活動で支障となると思うか/
1年以内に自己都合退職した経験がある求職者に対する印象
短期退職者の29.0%が、その後の転職に支障をきたした経験があるという結果に。
人事担当者が懸念する支障の度合い(「とてもそう思う」「ややそう思う」の合算)の74.0%には及ばないものの、やはり一定程度の支障はあるようです。
しかしそんな人事担当者も、44.1%は「退職理由によってはネガティブな印象はない」と回答。自社の求める業務スキルや人物像のマッチが最重要で、理由さえ納得できれば短期退職でも問題ないと考える人事担当者は多いのかもしれません。
短期退職者と人事担当者それぞれに対し、「退職代行サービス」をどの程度知っているかお聞きしました。(※退職代行サービス:従業員本人に代わって、勤務先に退職意思を伝え、退職完了までに必要な手続きなどをおこなうサービス)
■「退職代行サービス」をどの程度知っているか
「退職代行サービス」の認知度(少なくとも「聞いたことがある」割合)は、両者ともに80%以上でした。
その上で、退職者の6.4%が実際に利用、15.8%が利用を検討したことがあるという結果に。さらに、1年以内に退職した従業員に関与した経験のある人事担当者は、29.1%が「利用されたことがある」と回答しています。
短期退職者の「退職代行サービス」利用率の高さがうかがえます。
前掲した設問【「退職代行サービス」をどの程度知っているか】にて「退職代行サービス」を「利用したことがある」と回答した人に対し、サービスの推奨度をお聞きしました。
また、人事担当者には「退職代行サービス」に対する印象をお聞きしました。
■「退職代行サービス」の推奨度/「退職代行サービス」に対する印象
その結果、利用経験者の推奨度は90.6%でした。(「とてもお薦めしたい」「ややお薦めしたい」の合算)人事担当者の65.4%がネガティブな印象を抱く一方(「とてもネガティブな印象」「ややネガティブな印象」の合算)、利用者にとっては非常に満足度の高いサービスであることがわかります。
このことから、今後「退職代行サービス」の利用者は拡大していきそうです。
短期退職者に対し、今後、もし今の職場を退職する場合「退職代行サービス」を利用したいと思うかお聞きしました。
■今後、今の職場を退職すると仮定した時の「退職代行サービス」の利用意向(n= 500)
前掲した設問【「退職代行サービス」をどの程度知っているか】では、実際に短期退職しようとした時に「退職代行サービス」を利用検討・実際に利用した割合は22.2%でした。
そんな中、今後のサービス利用意向は50.0%とさらに高くなりました。昨今はメディアで取り上げられることも多く、サービスへの興味・関心の高まりがうかがえます。
■この調査のその他の質問
・今後のキャリア意識(単数回答)
・(短期退職者に)入社1年目に、どのような課題や悩みがあったか(複数回答)
・(人事担当者に)入社1年目には、どのような課題や悩みがあると思うか(複数回答)
・1年以内に自己都合で退職した会社・職場に抱いた、入社前後のギャップ(単数回答)
など
■この調査で使用した調査サービスはコチラ
ネットリサーチ:https://neo-m.jp/research-service/netresearch/
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<例>「生活者を中心にしたマーケティング支援事業を提供する株式会社ネオマーケティングが実施した調査結果によると……」
■「ネオマーケティング」
URL :https://neo-m.jp/
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