JLL オフィス プロパティ クロック 2022年第3四半期
東京、大阪、福岡ともに、引き続き「賃料下落」フェーズ
東京 2022年11月14日 – 総合不動産サービス大手JLL(本社: 米国シカゴ、CEO & プレジデント:クリスチャン・ウルブリック、NYSE: JLL)は、世界主要都市のオフィス賃料動向を示す独自の分析ツール「オフィス プロパティ クロック(不動産時計)2022年第3四半期」を発表しました。
東京、大阪、福岡※1のAグレードオフィス賃料は、ともに「賃料下落」フェーズに位置しています。
「2022年第2四半期の実質GDP成長率は前期比3.5%増(季節調整済み年率換算)と大きな回復を示しました。続く第3四半期も、コロナ感染者数が増加したにも関わらず、国内消費の回復によりプラス成長が見込まれています。また、9月の日銀短観における大企業の景況感は物価上昇等を背景に製造業では回復の動きにやや減速がみられるものの、サービス業を含む非製造業はコロナ禍脱却に向けて上昇を続けています。
こうした状況の中、2022年第3四半期の東京、大阪、福岡のAグレードオフィス市場は、賃料の下落フェーズに位置しています。今後予定されている大量供給が賃料に下押し圧力を加える中で、当期は3市場すべてで新規供給がみられましたが、空室率の状況は市場により異なります。東京は小規模な返却の積み上がり等により2013年第2四半期以来4%台へ上昇した一方で、大阪と福岡は新規供給に残った空室を既存ビルの需要が穴埋めする形でそれぞれ3.4%、2.2%と概ね横ばいとなりました。今後は、供給予定の成約状況及び既存ビルの需要が堅調となれば、賃料への下押し圧力は、より一層緩和する見通しですが、フリーレントを含むインセンティブは拡大する可能性があります。
投資市場では、2022年第3四半期の商業用不動産の投資額は前年同期比58%の減少、第3四半期までの年初来総額は同38%の減少となりました。本年前半からのJREITによる売買及び大型案件の減少等により投資総額が低下しましたが、投資家の意欲は依然旺盛で市場における売り物件の減少が主たる要因と考えられます。その中でも、レジデンシャル取引は底堅く推移しているとともに、コロナからの回復・海外との水際対策緩和期待を受けてホテルの取引が急増しています。また、世界経済の先行き不透明感が漂うなか、世界有数の不動産市場規模を誇り、政治・金融システムの安定性を有する日本は海外投資家にとってセーフヘイブンと見られています。加えて、折からの円安傾向と世界でも稀有な低金利状況は世界の投資家をして日本市場を魅力的に感じさせています。2022年第4四半期に入って、既にJREITの取引も活発化しており、年内に予定される政府保有の超大型優良オフィスである大手町プレイスの売却も予定されていることから、投資額が積みあがっていくものと考えられます。今後についても、当面は良好な資金調達環境が継続する見通しであることに加えて、既に海外では金融引き締めによるネガティブスプレッドがみられる国もある中で、日本市場の魅力が高まっていることから、市場の活性化が期待されます。
グローバルオフィス市場では、テナントのアップグレード需要を背景に、多くの市場でプレミアムオフィスの賃料上昇率が相対的にスペックの劣るオフィスの賃料上昇率を大きく上回っている状況です。第3四半期の世界の空室率は0.2ポイント上昇して14.5%となりました。上昇幅が大きくなった市場はアジア太平洋地域、次いで米国であり、欧州は横ばいとなりました。現在の不確実性の影響は拡大する余地があり、2023年の賃貸借活動は一層減速する兆候が見られます。新規の問い合わせは件数・規模ともに減少・縮小傾向にあるため、弊社の2023年の見通しも、より慎重な見方となっています。しかしながら、慎重姿勢を示す経済環境にあってもプライムオフィスへの「質への回避」は、テナント需要を下支えする見通しです。
グローバルインダストリアル市場では、2022年第3四半期に3地域すべてで賃料が上昇を続け、米国と欧州では2桁の伸びを記録しました。しかしながら、賃料がサプライチェーンのコストに占める割合は相対的に小さく、また、エネルギーや燃料のコスト上昇に対する懸念が大きくなっている現在において、テナントの関心は運営コストに向けられています。こうした状況の中、エネルギー効率がコスト削減の大きな可能性を秘めているため、環境性能の高い新築の物流倉庫施設の需要が高まるとともに、既存施設の改修も重視されるようになるでしょう。
グローバルリテール市場では、リテーラーは新規開業に慎重になる一方で、既存の店舗展開を見直して収益性を最適化することに重点を置いています。特に、エネルギーコストが「第二の家賃」と見なされるまでに上昇している市場では、すでに賃借活動が減速し始めています。明るい兆しは、大手リテーラーの一部が、回復と成長が見込まれる市場で、質の高い店舗スペースを賃借していることです。さらに、現在の混乱の終息を見据えるリテーラーは、より有利な条件で15年の長期賃貸借契約を締結し優良な店舗スペースを確保しています」
※1 福岡Aグレードオフィス賃料の発表は2021年第1四半期から開始
【ご参考】
JLLプロパティ クロック(不動産時計)とは?
世界の主要都市の賃料動向を時計に見立てて「見える化」したJLL独自の市場分析ツールで、四半期ごとに発表しています。賃料が概ね①賃料下落の加速、②賃料下落の減速(→底入れ)、③賃料上昇の加速、④賃料上昇の減速(→頭打ち)、というサイクルで変動することを前提とし、現在の賃料がそのサイクルのどこに位置するかを表示することで、世界主要都市の賃料サイクルを示しています。
JLL Aグレードオフィス定義
JLLについて
JLL(ニューヨーク証券取引所上場:JLL)は、不動産に関わるすべてのサービスをグローバルに提供する総合不動産サービス会社です。JLLは、最先端のテクノロジーを活用した価値ある機会、優良なスペース、環境に配慮した持続可能な施策をお客様、人々、コミュニティに提供し、不動産の未来を拓く取り組みを進めています。
フォーチュン500に選出されているJLLは、2022年9月30日現在、世界80ヵ国で展開、従業員約102,000名を擁し、2021年の売上高は194億米ドルです。JLLは、ジョーンズ ラング ラサール インコーポレイテッドの企業呼称及び登録商標です。https://www.jll.com
JLL日本 リサーチ事業部長 赤城 威志は次のように述べています。
「2022年第2四半期の実質GDP成長率は前期比3.5%増(季節調整済み年率換算)と大きな回復を示しました。続く第3四半期も、コロナ感染者数が増加したにも関わらず、国内消費の回復によりプラス成長が見込まれています。また、9月の日銀短観における大企業の景況感は物価上昇等を背景に製造業では回復の動きにやや減速がみられるものの、サービス業を含む非製造業はコロナ禍脱却に向けて上昇を続けています。
こうした状況の中、2022年第3四半期の東京、大阪、福岡のAグレードオフィス市場は、賃料の下落フェーズに位置しています。今後予定されている大量供給が賃料に下押し圧力を加える中で、当期は3市場すべてで新規供給がみられましたが、空室率の状況は市場により異なります。東京は小規模な返却の積み上がり等により2013年第2四半期以来4%台へ上昇した一方で、大阪と福岡は新規供給に残った空室を既存ビルの需要が穴埋めする形でそれぞれ3.4%、2.2%と概ね横ばいとなりました。今後は、供給予定の成約状況及び既存ビルの需要が堅調となれば、賃料への下押し圧力は、より一層緩和する見通しですが、フリーレントを含むインセンティブは拡大する可能性があります。
投資市場では、2022年第3四半期の商業用不動産の投資額は前年同期比58%の減少、第3四半期までの年初来総額は同38%の減少となりました。本年前半からのJREITによる売買及び大型案件の減少等により投資総額が低下しましたが、投資家の意欲は依然旺盛で市場における売り物件の減少が主たる要因と考えられます。その中でも、レジデンシャル取引は底堅く推移しているとともに、コロナからの回復・海外との水際対策緩和期待を受けてホテルの取引が急増しています。また、世界経済の先行き不透明感が漂うなか、世界有数の不動産市場規模を誇り、政治・金融システムの安定性を有する日本は海外投資家にとってセーフヘイブンと見られています。加えて、折からの円安傾向と世界でも稀有な低金利状況は世界の投資家をして日本市場を魅力的に感じさせています。2022年第4四半期に入って、既にJREITの取引も活発化しており、年内に予定される政府保有の超大型優良オフィスである大手町プレイスの売却も予定されていることから、投資額が積みあがっていくものと考えられます。今後についても、当面は良好な資金調達環境が継続する見通しであることに加えて、既に海外では金融引き締めによるネガティブスプレッドがみられる国もある中で、日本市場の魅力が高まっていることから、市場の活性化が期待されます。
グローバルオフィス市場では、テナントのアップグレード需要を背景に、多くの市場でプレミアムオフィスの賃料上昇率が相対的にスペックの劣るオフィスの賃料上昇率を大きく上回っている状況です。第3四半期の世界の空室率は0.2ポイント上昇して14.5%となりました。上昇幅が大きくなった市場はアジア太平洋地域、次いで米国であり、欧州は横ばいとなりました。現在の不確実性の影響は拡大する余地があり、2023年の賃貸借活動は一層減速する兆候が見られます。新規の問い合わせは件数・規模ともに減少・縮小傾向にあるため、弊社の2023年の見通しも、より慎重な見方となっています。しかしながら、慎重姿勢を示す経済環境にあってもプライムオフィスへの「質への回避」は、テナント需要を下支えする見通しです。
グローバルインダストリアル市場では、2022年第3四半期に3地域すべてで賃料が上昇を続け、米国と欧州では2桁の伸びを記録しました。しかしながら、賃料がサプライチェーンのコストに占める割合は相対的に小さく、また、エネルギーや燃料のコスト上昇に対する懸念が大きくなっている現在において、テナントの関心は運営コストに向けられています。こうした状況の中、エネルギー効率がコスト削減の大きな可能性を秘めているため、環境性能の高い新築の物流倉庫施設の需要が高まるとともに、既存施設の改修も重視されるようになるでしょう。
グローバルリテール市場では、リテーラーは新規開業に慎重になる一方で、既存の店舗展開を見直して収益性を最適化することに重点を置いています。特に、エネルギーコストが「第二の家賃」と見なされるまでに上昇している市場では、すでに賃借活動が減速し始めています。明るい兆しは、大手リテーラーの一部が、回復と成長が見込まれる市場で、質の高い店舗スペースを賃借していることです。さらに、現在の混乱の終息を見据えるリテーラーは、より有利な条件で15年の長期賃貸借契約を締結し優良な店舗スペースを確保しています」
※1 福岡Aグレードオフィス賃料の発表は2021年第1四半期から開始
【ご参考】
JLLプロパティ クロック(不動産時計)とは?
世界の主要都市の賃料動向を時計に見立てて「見える化」したJLL独自の市場分析ツールで、四半期ごとに発表しています。賃料が概ね①賃料下落の加速、②賃料下落の減速(→底入れ)、③賃料上昇の加速、④賃料上昇の減速(→頭打ち)、というサイクルで変動することを前提とし、現在の賃料がそのサイクルのどこに位置するかを表示することで、世界主要都市の賃料サイクルを示しています。
JLL Aグレードオフィス定義
JLLについて
JLL(ニューヨーク証券取引所上場:JLL)は、不動産に関わるすべてのサービスをグローバルに提供する総合不動産サービス会社です。JLLは、最先端のテクノロジーを活用した価値ある機会、優良なスペース、環境に配慮した持続可能な施策をお客様、人々、コミュニティに提供し、不動産の未来を拓く取り組みを進めています。
フォーチュン500に選出されているJLLは、2022年9月30日現在、世界80ヵ国で展開、従業員約102,000名を擁し、2021年の売上高は194億米ドルです。JLLは、ジョーンズ ラング ラサール インコーポレイテッドの企業呼称及び登録商標です。https://www.jll.com
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