企業の求める政策、「物価高対策」がトップ 中小企業向け支援も半数、電力の安定供給への期待も
企業が求める経済関連政策に関するアンケート
新型コロナウイルスによる不透明感が漂うなか、ロシアのウクライナ侵攻や急速な円安などを背景とした一段の物価上昇に加え、人手不足の再燃など、企業を取り巻く環境は厳しさが増している。こうしたなか、政府が打ち出す経済関連政策の重要性がますます高まっている。
そこで、帝国データバンクは、企業が政府に求める経済関連政策についてアンケートを行った。
そこで、帝国データバンクは、企業が政府に求める経済関連政策についてアンケートを行った。
<アンケート結果(要旨)>
【調査概要】
・アンケート期間は2022年7月1日~4日、有効回答企業数はアンケート回答協力先のうち、実際に回答のあった1,926社(インターネット調査)
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企業の5割が「物価高対策」を求めている
また、所得税や消費税などを含む「個人向け減税」(37.7%)および法人税などを含む「法人向け減税」(36.7%)が必要と考えている企業は4割近くとなった。ほかにも、3割近くの企業が「人手不足への対応」(28.9%)や、円安の影響を背景に「為替レート変動への対策(為替介入など)」(28.2%)を求めている。
企業規模別にみると、「大企業」では「物価高対策」が56.1%でトップとなり、次いで、「安定的な電力供給に向けた対策」は49.4%で続いた。一方で、「中小企業」では「中小企業向け支援策の拡充」が53.8%で最も高く、「物価高対策」も半数となっている。また、3番目に割合が高い政策は「大企業」「中小企業」ともに「個人消費の拡大策」だった。
企業からは「燃料価格の高騰は、企業も国民も負担が増えるため、何とかしてほしいところである」(コンクリートブロック工事)や「零細企業は、新型コロナの影響で収入が減少したなか、物価高や最低賃金引き上げなどで出費が増加し、資金繰りが回らなくなる状況になる。零細企業のなかには、日本の経済活性化に役立つ商品作りを行っている企業もあり、将来性の観点から特別な支援を検討してほしい」(米菓製造)などといった声があげられた。
『運輸・倉庫』では7割超の企業が「物価高対策」、『小売』では6割近くが「個人消費の拡大策」を希望
また、公共事業の受注が多い『建設』では「公共事業費の増額」(48.8%、全体比+28.2ポイント)の割合が最も高いほか、「人手不足への対応」(43.9%、全体比+15.0ポイント)は4番目に高く、主要7業界のなかでも突出して高い割合となった。『建設』における人手不足問題の深刻さがうかがえる。ほかにも、電力消費が比較的大きい『製造』では「安定的な電力供給に向けた対策」(54.0%、同+11.6ポイント)が上位3項目にランクインするなど、業界の特徴により差異がみられる。
政府に求める経済政策・企業の声
本アンケートの結果、半数の企業が政府に「物価高対策」および「中小企業向け支援策の拡充」を取り組んでほしいと考えている。次いで、「個人消費の拡大策」や「安定的な電力供給に向けた対策」が4割超で続いた。
物価の上昇がとどまる気配を見せないなかで、実質賃金が上昇しない現状では消費マインドが冷え込み、企業および家計は厳しい状況が続くことが予想される。また、少子化による労働力の減少や年金に対する不安など長期的にみても日本経済に対する懸念材料は多い。今後の政府には経済の回復に向けてのエビデンスに基づく支援策の立案推進に加え、賃上げ環境を整えるための支援策や、生産性の向上、国際競争力強化など中長期の視点から成長戦略を進めることが求められよう。
- 企業の5割が「物価高対策」を求めている
- 『運輸・倉庫』では7割超の企業が「物価高対策」、『小売』では6割近くが「個人消費の拡大策」を希望
【調査概要】
・アンケート期間は2022年7月1日~4日、有効回答企業数はアンケート回答協力先のうち、実際に回答のあった1,926社(インターネット調査)
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企業の5割が「物価高対策」を求めている
政府に求める経済関連政策について尋ねたところ、「物価高対策(事業者への資金繰り支援やガソリン減税・購入費補助など)」(以下、「物価高対策」)が50.8%、「中小企業向け支援策の拡充」は50.4%と、いずれも半数となった(複数回答、以下同)。次いで、「個人消費の拡大策」は43.1%、電力需給が厳しく、全国で節電要請が行われたことを背景に「安定的な電力供給に向けた対策」(42.4%)も4割超で続いた。
また、所得税や消費税などを含む「個人向け減税」(37.7%)および法人税などを含む「法人向け減税」(36.7%)が必要と考えている企業は4割近くとなった。ほかにも、3割近くの企業が「人手不足への対応」(28.9%)や、円安の影響を背景に「為替レート変動への対策(為替介入など)」(28.2%)を求めている。
企業規模別にみると、「大企業」では「物価高対策」が56.1%でトップとなり、次いで、「安定的な電力供給に向けた対策」は49.4%で続いた。一方で、「中小企業」では「中小企業向け支援策の拡充」が53.8%で最も高く、「物価高対策」も半数となっている。また、3番目に割合が高い政策は「大企業」「中小企業」ともに「個人消費の拡大策」だった。
企業からは「燃料価格の高騰は、企業も国民も負担が増えるため、何とかしてほしいところである」(コンクリートブロック工事)や「零細企業は、新型コロナの影響で収入が減少したなか、物価高や最低賃金引き上げなどで出費が増加し、資金繰りが回らなくなる状況になる。零細企業のなかには、日本の経済活性化に役立つ商品作りを行っている企業もあり、将来性の観点から特別な支援を検討してほしい」(米菓製造)などといった声があげられた。
『運輸・倉庫』では7割超の企業が「物価高対策」、『小売』では6割近くが「個人消費の拡大策」を希望
政府に求める経済関連政策を主な業界別にみると、すべての業界で「物価高対策」が上位3項目にランクインしている。特に原油価格の高騰により大きな影響を受けている『運輸・倉庫』では、72.7%の企業が物価高対策を求めており、全体(50.8%)を21.9ポイント上回る結果となった。また、個人の購買意欲に左右される『小売』では「個人消費の拡大策」(58.8%)の割合が最も高く、全体(43.1%)より15.7ポイント高かった。
また、公共事業の受注が多い『建設』では「公共事業費の増額」(48.8%、全体比+28.2ポイント)の割合が最も高いほか、「人手不足への対応」(43.9%、全体比+15.0ポイント)は4番目に高く、主要7業界のなかでも突出して高い割合となった。『建設』における人手不足問題の深刻さがうかがえる。ほかにも、電力消費が比較的大きい『製造』では「安定的な電力供給に向けた対策」(54.0%、同+11.6ポイント)が上位3項目にランクインするなど、業界の特徴により差異がみられる。
政府に求める経済政策・企業の声
- 輸入燃料・原料の高騰に必要な支援は、ガソリン税の減税や小麦の政府受け渡し価格を抑える対策の方が直接的で効果があるのではと感じる(味そ・しょう油卸売)
- 現状、半導体に限らず、樹脂製品や鋼材などあらゆる工業製品全般の入手が困難になっている。物が高額、さらには納入時期が安定していない状況で『インボイス制度』や『電子帳簿保存法』にともなう新たなシステムの導入と継続利用のための保守料など、今後利益を圧迫する要因があまりにも多い。設備やシステムを継続利用するための資金への優遇措置などを実施してほしい(金型・同部分品・付属品製造)
- 現在の中小企業施策は、申請・利用に手間の掛るものが多く、使い勝手が良くないものがあるため、簡易かつ迅速に支援いただける施策を期待する(ガラス工事)
- 補助金がなかなか採択されない。新型コロナの影響で売り上げが減少し、財務が痛んでいる会社を救済してほしい。最近は公的金融機関や銀行も渋くなっており、補助金に依存したいことを理解してほしい(美容業)
- 一部の個人や企業が対象となる支援策ではなく、消費することで還元が得られる政策で全産業、全国民に効果の上がる政策が必要(スーパーストア)
- 小手先の補助や減税ではなく、もっと抜本的な政策に注力してほしい(建築用金属製品製造)
- 人手不足が深刻化している。官公庁の入札参加資格や行政の普段の手続きを紙とハンコではなく、パソコンですべてできるようにし、紙の書類を郵送しないで済むようにしてほしい(建設機械・鉱山機械整備)
- 国内生産力を高めて本来の日本の物づくりを復活させて景気を良くしてもらいたい(金属製建具工事)
本アンケートの結果、半数の企業が政府に「物価高対策」および「中小企業向け支援策の拡充」を取り組んでほしいと考えている。次いで、「個人消費の拡大策」や「安定的な電力供給に向けた対策」が4割超で続いた。
物価の上昇がとどまる気配を見せないなかで、実質賃金が上昇しない現状では消費マインドが冷え込み、企業および家計は厳しい状況が続くことが予想される。また、少子化による労働力の減少や年金に対する不安など長期的にみても日本経済に対する懸念材料は多い。今後の政府には経済の回復に向けてのエビデンスに基づく支援策の立案推進に加え、賃上げ環境を整えるための支援策や、生産性の向上、国際競争力強化など中長期の視点から成長戦略を進めることが求められよう。
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