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国境なき医師団(MSF)日本
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エチオピア:ティグレ州 激しさを増す医療施設への攻撃、73%の施設が被害

国境なき医師団

2020年11月以降、武力衝突が続くエチオピア北部のティグレ州で、医療施設への攻撃が激しさを増している。昨年12月から今年3月上旬にかけて、国境なき医師団(MSF)が訪問した州内の106の医療施設のうち、73%が略奪、または破壊の被害を受けており、65%の医療施設は完全に機能不全に陥っている。通常どおり機能している医療施設は13%のみで、医療への攻撃は意図的に行われており、武装兵士によって占拠されている医療施設もある。MSFは、紛争時に医療施設や医療スタッフの安全確保を規定する国際人道法が、ティグレ州において明らかに機能していないと訴える。

【訂正】「東ティグレ州のムグラト」の表記は「ティグレ州東部のムグラト」の誤りでした。(3月22日更新)

MSFは、ティグレ州北西部で多くの医療施設が破壊されていることを確認しており、壊されたドアや窓、床に散乱した医薬品や患者のファイルを発見した。ティグレ州中部のアドワ病院では、意図的に超音波機器やモニターなどの医療機器が破壊されていた。同地域では、医療施設が兵士によって2度略奪された後に放火され、一部の診療所はロケット弾の攻撃を受け分娩室が破壊されていた。

 

破壊された手術室、ティグレ州北部の病院  ©MSF破壊された手術室、ティグレ州北部の病院 ©MSF

兵士に占拠される医療施設

MSFが訪問した医療施設の20%が一時的、または継続して武装勢力によって占拠されていた。ティグレ州東部のムグラト(Mugulat)では、エリトリア軍の兵士がいまだ医療施設を拠点として使用している。人口50万人のティグレ州中部のアビイ・アディの病院は、3月上旬までエチオピア軍に占拠されていた。

MSFの緊急対応コーディネーターを務めるケイト・ノーランは、「軍はアビイ・アディ病院を基地として、負傷した兵士の容体安定用に使用していました。その間、一般の人びとはこの病院に入ることができず、町の診療所へ行くしかありません。そこは輸血や銃創の治療もできず、二次医療を提供する設備が整っていません」


押収される救急車、去る医療スタッフ

ティグレ州では、多くの救急車が武装集団に奪われ、救急車を備えている医療施設はほとんどない。ティグレ州東部のアディグラト市周辺では、病院や近隣の診療所から約20台の救急車が奪われた。MSFは、これらの車両の一部がエリトリア国境付近で兵士が物資の運搬に使用しているのを目撃した。ティグレ州では、病気の患者を搬送するためのシステムはほぼなく、患者は必要な医療サービスを受けるために時には徒歩で長距離を移動せざるを得ない。多くの医療施設では、スタッフが恐怖のため逃げ出したり、何カ月も給料が支払われていないために仕事に来なくなっており、ほとんど残っていない。

武装集団から略奪を防ぐため、町の周辺に隠されている救急車 ©MSF武装集団から略奪を防ぐため、町の周辺に隠されている救急車 ©MSF

崩壊する医療システム、地域住民への甚大な影響

MSFオランダ事務局長を務めるオリバー・ベーンは、「ティグレ州の医療施設への攻撃は、住民に甚大な影響を与えています。国際人道法に基づいて、紛争時に医療施設と医療スタッフは保護される必要があります。ティグレ州では明らかに国際人道法が機能していません」と語る。

2020年11月に紛争が始まる前のティグレ州は、村には保健所、町には診療所や病院があり、救急車で患者を病院に運ぶシステムも機能しており、エチオピアで最も優れた医療システムを有する地域のひとつだった。現在は、こうした医療システムはほぼ完全に崩壊している。

ティグレ州の農村部で移動診療を行っているMSFスタッフは、救急車の不足、道路上の治安の悪さ、夜間の外出禁止令などの理由で病院に行けず、出産時に死亡した女性の話を聞いている。現在も多くの女性が、不衛生な非公式の避難キャンプで出産せざるを得ない状況だ。

過去4カ月間、ほとんどの妊婦が産前産後のケアを受けられず、子どもたちはワクチンを受けていないため、将来的に感染症が発生するリスクが高まっている。糖尿病、高血圧、HIVなどの慢性疾患の患者や、精神疾患の患者は、薬を手に入れることができない。性暴力の被害者は、必要な医療や心のケアを受けられずにいる。

医療施設と医療スタッフの安全確保が急務

「一刻も早く医療システムを回復させる必要があります。医療施設を復旧させ、物資や救急車を増やし、スタッフには給与を支払い、安全な環境で働ける機会が必要です。最も重要なのは、すべての紛争当事者が、医療施設と医療スタッフを尊重し、保護する必要性です」とベーンは強調する。

MSFは、地域内の多くの医療施設を修復し、薬剤やその他の医療用品を提供するとともに、救急、産科病棟、外来診療で医療援助を行っている。MSFは、医療システムが機能していない地方の町や村、避難民が滞在している非公式な場所で移動診療を行っている。しかし、ティグレ州には、MSFを含む援助団体が入れていない農村部があり、これらの地域に住む人びとは医療にアクセスできずにいると推測している。
 

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業種
医療・福祉
本社所在地
東京都新宿区馬場下町1-1  FORECAST早稲田FIRST 3階
電話番号
03-5286-6123
代表者名
村田慎二郎
上場
未上場
資本金
-
設立
1992年12月
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