公益財団法人コーセーコスメトロジー研究財団第34回 表彰・贈呈式を開催
株式会社コーセー(本社:東京都中央区、代表取締役社長:小林 一俊)が社会貢献の取り組みのひとつとして支援している公益財団法人コーセーコスメトロジー研究財団(所在地:東京都中央区、理事長:小林 一俊)は、
2023年11月30日に「第34回 表彰・贈呈式」をパレスホテル東京(東京都千代田区)にて開催しました。
コーセーコスメトロジー奨励賞
表彰者
北海道大学 山田勇磨 氏
左:公益財団法人コーセーコスメトロジー研究財団
理事長 小林一俊
右:株式会社コーセー
取締役 研究所長 小椋敦子
コスメトロジー研究助成受賞者
コーセーコスメトロジー研究財団は、多様かつ広範な学際領域に跨るコスメトロジー(化粧品学)に関する研究へ助成を行うことにより、広く生活者の保健衛生の向上を図り、美しく豊かな人間生活の実現に寄与することを目的として、1990年に株式会社コーセーの創業者である小林孝三郎により設立されました。以来毎年、化粧品に関連する幅広い学術分野の優れた研究に対して助成を行っています。
第34回となる今年度は「コーセーコスメトロジー奨励賞」として、2018年以降の助成採択者の中から北海道大学大学院 薬学研究院 山田勇磨 氏を表彰しました。また、「コスメトロジー研究助成」として、全国の主要大学、病院、公的研究機関からの101件の応募に対し、選考委員の厳正な審査により選ばれた35名の研究者に対して助成金贈呈を行いました。
■小林 一俊 理事長挨拶 要旨
このたび、当財団は、34回目の表彰・贈呈式を迎えることになりました。当財団は、創業者である小林孝三郎が平成2年に設立したもので、化粧品科学の発展には、物理学や化学、生物学といった自然科学に加えて、心理学や社会学、さらに文化、芸術におよぶ、幅広い分野の融合が必要と考え、この化粧品の科学を「コスメトロジー」と名付けて、財団の名称にしてきました。以来、コスメトロジーの研究に取り組む全国の研究者を支援する活動を進め、今年までの助成件数の累計は957件、助成金の合計額は14億3,184万円に達し、数多くの研究成果を広く社会に公表してきました。例えば、皮膚アレルギーの問題に、これまで財団は多くの研究者を支援してまいりました。その結果、皮膚アレルギーの発症メカニズムの解明が進んで、予防法や治療法の開発も大きな進歩を遂げて、人々の健やかな生活の実現に貢献することができました。
本日は、「コーセーコスメトロジー奨励賞」の受賞者1名を表彰し、「コスメトロジー研究助成」35名の研究者に贈呈書を授与させていただきます。今回、受賞される皆様の研究が、それぞれの目標を達成され、コスメトロジー研究として実りある成果を生み出されますよう願っています。これからも、私どもは、美しく豊かな生活の実現、そして化粧品産業の発展のため、研究助成事業を通して着実に歩みを進めてまいります。
■二木 鋭雄 選考委員会委員長 選考経過報告 要旨
今年はコスメトロジー研究助成に101件の応募をいただきました。例年どおり「素材・物性」、「生体作用・安全性」、「精神・文化」の三分野で助成課題を募集し、各分野の専門委員による研究課題の総合評価に加え、(1)独創性、(2)発展性、(3)実用の可能性、(4)コスメトロジーへの波及性の観点から予備選考を行い、選考委員会での慎重な審議の結果、35件の研究課題を採択しました。
採択された研究課題を分野ごとに見てみますと、「素材・物性」では、化粧品の機能性成分の開発に自然界から学ぶ手法を取り入れたテーマが見受けられました。「生体作用・安全性」では、例年の皮膚を対象にした研究に加え、光や熱、触覚など感覚器官としての皮膚に着目したテーマが加わりました。「精神・文化」では、コスメトロジー研究を特徴づける多彩なテーマが揃っております。
受賞される研究課題は、どれも最先端の科学・技術とコスメトロジーならではの着想を組み合わせたもので、化粧品の科学としての広がりが感じられる、大変楽しみな研究課題です。本日の受賞される研究が、当初の目標を達成され、将来、人々の健康と生活の向上に役立つことを祈っております。
参考情報
◇コーセーコスメトロジー奨励賞
2020年の本財団創立30周年にあたり創設された表彰制度で、本財団の研究助成採択者の中から、コスメトロジー研究の発展に功績があった研究者を表彰することにより、更なる研究の進展を期待するとともに、これをインセンティブとして、コスメトロジー研究の学術論文による成果公表を奨励し、研究成果の社会還元の促進を目的とするものです。
4回目となる本年度は、2018年以降の助成採択者の中から今年最も優れた論文実績が認められた研究者を表彰しました。
◇コスメトロジー研究助成
本助成事業では、様々な専門分野の研究者にコスメトロジー研究への参画を呼びかけ、人々の健康や美容の増進に役立ち、美しく豊かな生活の実現への貢献が期待される研究課題に対して助成を行います。
◇学術集会支援助成
コスメトロジーおよび関連研究の学会や研究討論会などの開催費用への助成を行います。
■ 2023年度 コーセーコスメトロジー研究財団 表彰・助成実績
○コーセーコスメトロジー奨励賞
表彰候補者(2018年以降の研究助成採択者) 41 名
受賞者 1 名
表彰内容 表彰状および副賞 200万円
○ コスメトロジー研究助成
応募総数 101 件
助成件数
1)素材、物性に関する分野 11 件
2)生体作用、安全性に関する分野 16 件
3)精神、文化に関する分野 8 件 計 35 件
助成金総額 6,000万円 (1件あたりの助成金額 200万円、100万円、50万円)
○ 国際交流支援助成 2 件
○ 学術集会支援助成
◇2022年度 コーセーコスメトロジー奨励賞 受賞者(敬称略)
〈順に、 所属機関・氏名・研究課題〉
・北海道大学 大学院薬学研究院 山田 勇磨
ミトコンドリアを標的とするナノカプセル型機能性化粧品の開発
(2018年 第29回コスメトロジー研究助成受賞)
◇2023年度 コスメトロジー研究助成 受賞者(敬称略、分野別五十音順)
■第1分野: 素材、物性に関する分野
〈順に、 所属機関・氏名・研究課題〉
・日本大学 生産工学部 教養・基礎科学系 秋田 紘長
皮膚バリア機能を促進するD-アミノ酸の酵素合成法の開発
・東京理科大学 薬学部 板倉 祥子
皮膚の健康増進を目的とした植物由来ナノ粒子の機能性評価
・同志社大学 理工学部 古賀 智之
アミノ酸系高分子を基盤とするスマートゲル材料の開発
・九州大学 先導物質化学研究所 新藤 充
UV-Aの全領域をカバーする強力な非芳香族系紫外線吸収剤の開発
・奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 塚崎 智也
L-システイン発酵生産を資した硫黄系トランスポーターの構造基盤
・徳島文理大学 薬学部 原 貴史
皮膚毛包幹細胞の分化系譜における必須ミネラルの役割と毛包再生への応用
・埼玉大学 大学院理工学研究科 藤森 厚裕
界面活性剤修飾ナノダイヤモンドの集積・積層化による構造色発現と、抗菌性チキソトロピー塗膜の開発
・早稲田大学 先進理工学部 細川 誠二郎
太古に学ぶ安定錯体色素の多様化合成と化粧品素材研究
・物質・材料研究機構 細田 奈麻絵
昆虫のグルーミングから学ぶマイクロコームの開発
・東北大学 大学院理学研究科 叶 深
極低濃度のオゾンによる生体膜構造と安定性への影響に関する基礎研究
・千葉大学 大学院理学研究院 吉田 和弘
新しいアミノ酸の開発と応用
■第2分野: 生体作用、安全性に関する分野
〈順に、 所属機関・氏名・研究課題〉
・九州大学 大学院理学研究院 池ノ内 順一
コレステロールによるタイトジャンクションの制御機構
・広島大学 大学院統合生命科学研究科 石原 康宏
新規アンチポリューション素材の探索を指向した PM2.5/太陽光同時曝露システムの開発
・名古屋市立大学 大学院薬学研究科 伊藤 佐生智
黄色ブドウ球菌バイオフィルムによるtype2炎症発症増悪機構の解明
・静岡県立大学 薬学部 内野 智信
コレステロール類を含めた角層細胞間脂質の成分および構造評価に関する研究
・大阪府立病院機構 大阪国際がんセンター研究所 大川 祐樹
抗炎症性糖鎖による皮膚炎制御機構の解明
・広島大学 原爆放射線医科学研究所 神沼 修
化粧品の影響評価に役立つステロイド抵抗性皮膚炎モデルの開発
・京都工芸繊維大学 応用生物学系 川口 耕一郎
表皮角化細胞ターンオーバーにおけるFABP5の役割解明と皮膚組織の老化制御に資する分子基盤の構築
・山形大学 大学院理工学研究科 江目 宏樹
超短時間過渡吸収測定とふく射-身体熱流動複合解析による熱中症ダイナミクスの解明
・神戸大学 バイオシグナル総合研究センター 菅澤 薫
紫外線に対する防御機構としてのDNA損傷認識を制御する新規標的分子の探索
・九州工業大学 大学院生命体工学研究科 前田 憲成
細菌クォーラムセンシングに着眼したアクネ菌病原性抑制技術の開発
・東京大学 大学院薬学系研究科 松本 信圭
保湿剤を塗布された四肢による触覚の脳内表象機構の解明
・順天堂大学 大学院医学研究科 松本 征仁
細胞の運命を変換する新たなアンチエイジング技術の実用的開発
・量子科学技術研究開発機構 量子生命・医学部門 放射線医学研究所 三浦 太一
自家幹細胞エイジングケアを一新する間葉系幹細胞の“若返り誘導法”の開発
・愛知淑徳大学 健康医療科学部 山本 博之
非視覚組織の皮膚はどのように波長を区別しているのか?-レチノール代謝を介した青色光の識別機序の解明-
・北海道大学病院皮膚科 渡邉 美佳
表皮損傷がもたらす幹細胞の時空間的記憶の全容解明
・大阪大学 大学院医学系研究科 渡辺 玲
皮膚 resident memory T細胞の老化に対する皮膚脂質構成の影響
■第3分野: 精神、文化に関する分野
〈順に、 所属機関・氏名・研究課題〉
・同志社大学 文化情報学部 河瀬 彰宏
化粧品選択とメイクアップ行動に関する大規模データベース構築と計量的分析による化粧品アイテム間の相互作用の解明
・国立病院機構東京医療センター感覚器センター 神﨑 晶
香料を用いた嗅覚刺激による認知機能改善についての効果
・香川大学 創造工学部 北村 尊義
プロテウス効果による内発的な肌の潤い向上・保持支援システムの検討
・京都大学 大学院生命科学研究科 坂本 雅行
イメージング技術を応用した匂い識別の回路メカニズムの解明
・追手門学院大学 心理学部 田中 秀明
口紅の方が髪の変化よりも女性の顔の魅力を高めて顔知覚に関わる脳神経時系列処理へ強い影響を与える -高密度脳波計による検討-
・神戸大学 大学院海事科学研究科 長松 隆
ファンデーションの塗りムラ検出手法に関する研究
・吉備国際大学 心理学部 橋本 翠
メイクにおける心理学的効果(錯視)の利用は、顔の魅力アップに影響を与えるのか?-事象関連電位を用いた生理心理学的検討-
・藤女子大学 人間生活学部 和田 雅子
大学由来の原料を使用した化粧品開発プロジェクト~プロジェクトマネジメント学で実践する産学連携研究~
◇公益財団法人コーセーコスメトロジー研究財団Webサイト
URL: https://www.kose-cosmetology.or.jp
表彰された研究課題の概要等も掲載しています。
次回、第35回コスメトロジー研究助成の募集は、2024年5月より、本ウェブサイトで告知予定です。
財団へのお問い合わせも、上記ウェブサイトよりお願いいたします。
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