【新国立劇場】《権力者ゴドゥノフの破滅への転落。先鋭演出家トレリンスキ×大野和士のタッグで新国立劇場が放つ、衝撃のオペラ『ボリス・ゴドゥノフ』》
新国立劇場(東京都渋谷区)は開場25周年記念公演として、オペラ『ボリス・ゴドゥノフ』をポーランド国立歌劇場共同制作により新制作上演します。有力者たちの策謀と民衆の叫び、そしてボリスの苦悩がシェイクスピア史劇のように展開する物語を、ムソルグスキーの斬新な音楽が緊迫感の中に綴る大作です。映画監督でもあるマリウシュ・トレリンスキの演出は、社会を覆う不安や民衆の力、権力を掴んだ男の不信と孤独、人間に潜在する残忍さを鮮烈に提示するもの。オペラの現代性を発信し続けてきた新国立劇場から、また一つ、時代を問うプロダクションが誕生します。
ボリス・ゴドゥノフの破滅への転落 ムソルグスキーの大作、新国立劇場初登場
「展覧会の絵」で有名な作曲家ムソルグスキーが完成させた唯一のオペラ『ボリス・ゴドゥノフ』が新国立劇場に初登場。ポーランド国立歌劇場との共同制作により、同劇場芸術監督マリウシュ・トレリンスキによる新演出で上演します。
『ボリス・ゴドゥノフ』はロシア動乱時代の皇帝ボリス・ゴドゥノフの戴冠から死までを描くプーシキンの史劇を原作とし、有力者たちの策謀と民衆の叫び、そしてボリスの苦悩がシェイクスピア史劇のように展開する悲劇です。ムソルグスキーの音楽は近代性に満ち、ロシ音楽に基づいた斬新な和声が用いられ、ロシア国民音楽の金字塔として輝く傑作です。民衆の合唱や人物のモノローグのコントラストも鮮やかで、緊張感に満ちた硬質な音楽とドラマティックな展開が凝縮されています。新国立劇場でムソルグスキーを上演するのは初めて。また、『ボリス・ゴドゥノフ』は、日本での制作・上演が極めて稀で、日本の上演団体による演出付きロシア語全曲上演は史上初。滅多に見られない、貴重な上演です。
オペラ最前線の旗手トレリンスキ×大野和士、黄金コンビによる新プロダクション
国際的に評価される映画監督でもあるトレリンスキは、オペラ演出でも古典的、本質的な美しさを現代的な解釈と美的センスで引き出し、ベルリン、パリ、ブリュッセル、ロサンゼルス、サンクトペテルブルクなど世界各地の著名歌劇場で目覚ましい活躍をしています。特に、メトロポリタン歌劇場の『イオランタ/青ひげ公の城』『トリスタンとイゾルデ』はライブビューイングで世界へ発信され、迫力ある映像を駆使して人物の内面を掘り下げる手法でトレリンスキの名前を知らしめました。
トレリンスキはオペラを現代に開放し、アートの最新の潮流を融合させ、ダイナミックで現代的な作品へ変貌させます。「私のすべての認識は、私の人生で直接または精神的に起こることと関係があります」「私はオペラ劇場を他の芸術のように、つまり人間同士の会話の場にしたいと思っています」と彼は言います。世界のオペラ界では、もはや彼なしでは今日のオペラは不可能とまで評されています。トレリンスキと大野和士芸術監督とのタッグは、表現主義的アプローチでセンセーションを巻き起こし、トレリンスキがインターナショナル・オペラ・アワード最優秀演出家賞に輝いた世界的話題作『炎の天使』(2018年/エクサンプロヴァンス音楽祭)以来です。トレリンスキは大野和士のロシア音楽へのアプローチを「感傷や悲哀に流されない強固で知的な構築」と絶賛し、『ボリス・ゴドゥノフ』を長い時間をかけ、共同で準備してきました。
映像のスペシャリストでもあり、人物の心理を大胆に視覚化することで衝撃を与え続けているトレリンスキの『ボリス・ゴドゥノフ』新演出に、世界の注目が集まります。
注目の新演出は「人間ボリスの苦悩を描く大きな物語」
トレリンスキは『ボリス・ゴドゥノフ』を歴史劇でなく、人間ボリス・ゴドゥノフの物語として構築します。皇子を殺害し帝位を手にしたボリス・ゴドゥノフは罪の意識に苛まれ、その結果自らの人生の意味も権威も信じることができなくなっていきます。権力の絶頂にありながら抱える孤独、不信と不安、そして過ちを犯したことにより息子へ抱く罪悪感。トレリンスキは父ボリスと、帝位を継ぐべき唯一の拠り所であり、それ故に不安材料でもあり、自らの不完全さを思い起こさせ糾弾する存在でもある息子との関係に大きくクローズアップし、追い詰められた父と子の葛藤を描く大きな物語を誕生させます。
パンデミックや戦争により世界が行き詰まることを目の当たりにした今日、世界は「明日はないかも知れない」「二度と同じことはないかも知れない」という不安に覆われています。トレリンスキは飢饉や疫病の“動乱の時代”の不安と、父子の個人的関係を『ボリス・ゴドゥノフ』の中心的要素と捉えて、権力者の心理にフォーカスした圧巻の今日的ドラマへ変貌させます。
上演困難な大作に、実力派キャストが集結
皇帝ボリス・ゴドゥノフを巡る重層的な悲劇『ボリス・ゴドゥノフ』は上演に大人数を要し、日本で制作されることは極めて稀で、原語(ロシア語)上演、演出付きで全曲が制作・上演されるのは初めてのことです。『エウゲニ・オネーギン』『夜鳴きうぐいす/イオランタ』に続く、大野和士芸術監督の新国立劇場着任以来3作目となるロシア・オペラ上演に向け、実力派キャストを内外から集め、万全の態勢で制作します。
タイトルロールには昨年の『ニュルンベルクのマイスタージンガー』ポーグナーで新国立劇場へ登場、要となってプロダクションを支えたベテランのバス、ギド・イェンティンスを招聘。シュイスキー公にはバイロイト音楽祭の常連歌手で来日も多いテノール、特にキャラクターテノールとして世界的に評価されるアーノルド・ベズイエンが出演します。ピーメンのゴデルジ・ジャネリーゼは、破格の美声を持つ若手バス歌手です。新国立劇場初登場を飾るテノール工藤和真、そして清水華澄、九嶋香奈枝、小泉詠子、金子美香と贅沢な女声陣、秋谷直之、河野鉄平ら実力派が勢揃いするキャストにご期待ください。
オペラトーク 亀山郁夫×佐藤優×大野和士 開催
ロシア文学者でオペラにも造詣の深い亀山郁夫氏と現代ロシア事情に精通した佐藤優氏をゲストに迎え、大野和士と共に『ボリス・ゴドゥノフ』をめぐるトークを繰り広げます。どうぞご期待ください。
日時:11月6日(日)11:00~
会場:オペラパレスホワイエ
料金:1,500円※前売完売
*インターネットライブ配信を行う予定です。詳細は決まり次第発表いたします。
『ボリス・ゴドゥノフ』ものがたり
ボリス・ゴドゥノフの戴冠から6年。最高位の聖職者ピーメンはゴドゥノフの敵であり、僧グリゴリーに、彼こそが現皇帝に殺害された皇子ドミトリーの生まれ変わりと信じ込ませていた。ゴドゥノフは治世に疲れ切っていたが、皇子フョードルだけが希望である。臣下シュイスキーはゴドゥノフの弱みに付け込むことを思い立つ。シュイスキーが皇子の死の情景を克明に語ると、ゴドゥノフは自らの罪を思い起こし、追い詰められていく。宮殿には皇位継承者ドミトリーの名を僭称するグリゴリーの軍が迫っていた。
公演およびチケットの詳細については、新国立劇場ホームページをご覧ください。
公演情報WEBサイト https://www.nntt.jac.go.jp/opera/borisgodunov/
*本公演は、新型コロナウイルス感染予防、拡散防止対策をとって上演いたします。
新国立劇場における新型コロナウイルス感染拡大予防への取り組みと主催公演ご来場の皆様へのお願い
https://www.nntt.jac.go.jp/release/detail/23_017576.html
新国立劇場2022/2023シーズンオペラ 新国立劇場開場25周年記念公演
『ボリス・ゴドゥノフ』
【公演日程】2022年11月15日(火)14:00/17日(木)19:00/20日(日)14:00/23日(水・祝)14:00/26日(土)14:00
【会場】新国立劇場 オペラパレス
【スタッフ・出演】指揮:大野和士/演出:マリウシュ・トレリンスキ/ボリス・ゴドゥノフ:ギド・イェンティンス、フョードル:小泉詠子、クセニア:九嶋香奈枝、乳母:金子美香、ヴァシリー・シュイスキー公:アーノルド・ベズイエン、アンドレイ・シチェルカーロフ:秋谷直之、ピーメン:ゴデルジ・ジャネリーゼ、グリゴリー・オトレピエフ(偽ドミトリー):工藤和真、ヴァルラーム:河野鉄平、ミサイール:青地英幸、女主人:清水華澄、聖愚者の声:清水徹太郎、ニキーティチ/役人:駒田敏章、ミチューハ:大塚博章、侍従:濱松孝行/合唱:新国立劇場合唱団/児童合唱:TOKYO FM少年合唱団/管弦楽:東京都交響楽団
文化庁委託事業「令和4年度戦略的芸術文化創造推進事業」
【チケット料金】 S:27,500円 ・ A:22,000円 ・ B:15,400円 ・ C:8,800円 ・ D:5,500円・ Z(当日のみ):1,650円
【チケットのお求め】新国立劇場ボックスオフィス 03-5352-9999 WEBボックスオフィスhttps://nntt.pia.jp/
※WEBボックスオフィスでは、ご自身で座席を選びながらチケットをご購入いただけます。各種割引チケットもお取り扱い中。
【アクセス】京王新線(都営新宿線乗入)初台駅中央口直結
新国立劇場について
新国立劇場は、日本唯一の現代舞台芸術のための国立劇場として、オペラ、バレエ、ダンス、演劇の公演の制作・上演や、芸術家の研修等の事業を行っています。オペラ部門は2018年9月より世界的指揮者の大野和士が芸術監督に就任し、世界の主要歌劇場と比肩する水準のオペラ公演を年間およそ10本上演、高校生のためのオペラ鑑賞教室の実施等を行っています。
2022年10月、新国立劇場は開場25周年を迎えました。所在地:東京都渋谷区本町1-1-1
https://www.nntt.jac.go.jp/
【お客様からのお問い合わせ先】
新国立劇場ボックスオフィス 03-5352-9999(10:00~18:00)
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