パレスチナ:イスラエル軍の激しい空爆でガザ地区が破滅的状況に

国境なき医師団

中東エルサレムでのイスラエル治安部隊とパレスチナ人の暴力的衝突と、パレスチナ自治区ガザ地区への空爆により、これまでに数百人が負傷し、子どもを含む数十人が死亡するなど、パレスチナのコミュニティに壊滅的な影響を与えている。国境なき医師団(MSF)は、イスラエル治安部隊による武力行使と負傷者数は容認できないと表明し、一般市民の安全を深く憂慮する。

 

イスラエル軍の空爆によって破壊されたガザ地区のアル・シュルークタワー=5月12日撮影 © Fady Hanona/MSFイスラエル軍の空爆によって破壊されたガザ地区のアル・シュルークタワー=5月12日撮影 © Fady Hanona/MSF

 
  • 激しく、徹底した空爆 市民が犠牲に

パレスチナ自治区で現地活動責任者を務めるヘレン・オッテンス=パターソンは、「今回の空爆は前回2019年11月に行われた空爆よりかなり激しく、徹底したものです。執拗な爆撃によって、至る所で家や建物が破壊されています。屋外も屋内も安全ではないため、人びとはなす術がありません。救急医療スタッフは非常に大きく重要なリスクを背負いながら、治療にあたっています」と話す。

ガザ保健省の報告によると、5月10日夜から13日朝までの間に、イスラエル軍の空爆により、子ども17人を含む67人が死亡し、400人近くが負傷した。一方イスラエル当局は、同時期にパレスチナの武装組織がガザ地区から発射したロケット弾やミサイルにより、7人が死亡したと発表した。

ガザ地区への空爆は、エルサレムでの衝突が続いた後に起きた。5月10日の夜、MSFはパレスチナ赤新月社を支援し、イスラエル警察による攻撃で負傷した数百人の患者の状態を見極め、容体の安定化を図った。患者の多くはゴム弾や音響閃光弾(スタングレネード)、鈍器などによる外傷を負っていた。

「MSFは、イスラエル警察によって重傷を負った人びとを治療しましたが、最年少はゴム弾で負傷した12歳の子どもです。これは、ここ数年間にエルサレムでMSFが目撃した中でも最悪の武力行使です」とオッテンス=パターソンは言う。

数百人の負傷者が出たエルサレムで、パレスチナ赤新月社(PRCS)を支援するMSFスタッフ © MSF数百人の負傷者が出たエルサレムで、パレスチナ赤新月社(PRCS)を支援するMSFスタッフ © MSF


  • 影響の長期化に懸念

ガザ地区での暴力による壊滅的結果をMSFが目撃したのは、今回が初めてではない。これまでに起きたイスラエルとガザの軍事的対立では、何千人のパレスチナ人市民が死傷し、その多くは子どもであった。

MSFの医療コーディネーターを務めるナタリー・サートル医師は、「紛争や、緊張の高まり、抗議行動が起こるたびに、私たちはイスラエル軍に傷つけられた人びとを治療してきました。そして毎日のように、武力が引き起こした負傷者の長期的な障害や痛みを目にしています。今回の戦闘が長引けば長引くほど、負傷者は増え、爆撃が終った後にも苦しみが長く続くことは明らかです」と話す。

「14年間イスラエルによって封鎖されてきたガザ地区では、医療体制は脆弱で平時でも治療に必要な物の多くが不足しています。その上で、数年おきに膨大な数の負傷者が押し寄せる事態に対応せざるを得ないのです。2014年の紛争では1万1000人の負傷者、2018年と2019年の抗議デモでは7000人余りが銃で撃たれました。今回は5月10日からの空爆で、既に数百人の負傷者と数十人の死者が出ています」

ガザ地区で20年以上活動しているMSFは、現地の保健当局を支援し、必須の医療提供を行う準備をしている。

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業種
医療・福祉
本社所在地
東京都新宿区馬場下町1-1  FORECAST早稲田FIRST 3階
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03-5286-6123
代表者名
村田慎二郎
上場
未上場
資本金
-
設立
1992年12月