パレスチナ・ガザ地区:イスラエルは攻撃の停止を MSF診療所も空爆の被害
パレスチナ自治区・ガザ地区で5月16日、国境なき医師団(MSF)の診療所がある地域でイスラエル軍が空爆を実施。ガザ保健省によると、10人の子どもを含む少なくとも42人が死亡した。この爆撃でMSFの診療所も被害を受け、滅菌室が使えなくなったほか、待合室が損壊した。診療所での負傷者はこれまでに確認されていない。
MSFは、人口が密集するガザ地区中心部への攻撃を停止するようイスラエルに求めるとともに、必要とされる人道援助スタッフと物資をガザに入れることを認めるよう訴えている。
MSFは、人口が密集するガザ地区中心部への攻撃を停止するようイスラエルに求めるとともに、必要とされる人道援助スタッフと物資をガザに入れることを認めるよう訴えている。
- 病院も道路も破壊 病院に行けない負傷者
ガザでMSFの副医療コーディネーターを務めるモハマド・アブ・ムガイセブ医師はこう話す。「攻撃の翌朝、診療所とその周辺の状況を見たときは言葉を失いました。家も、道路も、木も、何もかもが被害を受けていました。この診療所では年間1000人余りの子どもたちのやけどや外傷を診てきましたが、いまは壁が吹き飛び、がれきと化しています。建物の構造が被害を受けた上、診療所への道も破壊されて危険なため、診療所はいま閉鎖しています」
イスラエル軍の空爆により多くの道路が破壊されたため、負傷者は生死の境にあっても病院に行けない状況となった。さらに、多くの医療スタッフが病院へ行くことへ不安を感じているという。MSFの診療所付近で起きた空爆で犠牲となった42人のうち、2人は医師であった。また、医療物資の不足も深刻で、一部の物資は在庫が尽き始めてきている。
- 人口密集地域への攻撃の停止を
MSFの現地活動責任者を務めるエリィ・ソクは、「ガザで行われている市民や生活インフラに対する攻撃は、許し難く、耐え難いものです」と話す。「負傷者や家を追われた人の数が増え続けているにも関わらず、追加で必要な人道援助スタッフも物資もガザに入ることができません。現地の保健当局は、負傷者の治療に欠かせない輸血用血液があと24時間で底を尽きると報告しています」と話す。
MSFチームは、現在ガザ地区ジャバリア市にあるアル・アウダ病院の救急処置室と手術室の医療スタッフをサポートするために24時間交代で勤務。深い傷や重度のやけどを負った患者を毎日40~45人治療している。MSFは先週、同地区のさまざまな医療機関に医療物資を寄贈した。一方、術後の外傷ケアといった通常の活動は休止を余儀なくされている。
国連によると、イスラエルによるガザへの空爆と砲撃により3万8000人余りのパレスチナ人が自宅を追われた。少なくとも2500人が自宅を失い、その中にはMSFスタッフも含まれている。
ソクは、「イスラエルは、ガザ地区中心部への攻撃を停止すべきです。いくら攻撃対象を絞っても、市民が犠牲になることは避けられません。ガザのように人口密度の高い場所では、爆撃の被害を抑えることは不可能です。必要な人道援助スタッフと物資を現地に入れることも急務です」と訴える。
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