LIFULL HOME'Sが東京23区の2024年新築マンション1㎡あたりの価格上昇率を調査
平均価格1億円超えエリアは13エリアに!単価の下落率1位は「新宿区」
事業を通して社会課題解決に取り組む、株式会社LIFULL(ライフル)(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:伊東祐司、東証プライム:2120、以下「LIFULL」)が運営する不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME'S(ライフルホームズ)」は、昨年の調査※に続き、2024年における東京23区の新築マンションの平均価格をもとに区単位で調査し、発表します。
※「2023年東京23区の新築マンション平均価格」
円安の進行に加えて住宅ローンの引き上げ、都内の新築マンションの上昇が大きい区は?
直近の住宅市場は資材価格の高騰や円安の進行、コロナ後の住宅需要本格回復などによって都市圏中心部での住宅価格は高騰し続け、東京都心部の新築マンションが平均1億円を突破。さらに今春、2016年から8年続いたマイナス金利政策の解除を受けて、大手銀行が住宅ローンを引き上げています。しかし、長期的に住宅価格が上昇基調にあることから不動産に資産性を求める層が、好立地物件や希少性の高さから一般的に資産性が高いと考えられる物件に注目しています。そういった物件が多い東京23区で「今、注目の街はどこか」を調査するため、新築マンションの平均価格や㎡単価に着目し比較しました。住宅市況の分析を行うLIFULL HOME'S総研チーフアナリストの中山登志朗の見解とあわせてまとめています。
最も平均㎡単価が上昇したのは「北区」の64.3%、平均㎡単価1位は「港区」の297.7万円に。
マンション価格はエリアや立地だけでなく、同じ建物でも部屋ごとに価格や面積が異なるケースが多いため、1㎡あたりの価格(以下、㎡単価)を算出し、比較しました。
東京23区の新築マンションの㎡単価の上昇率1位は「北区」の64.3%(前期比+72.8万円/㎡)となり、2位「渋谷区」の53.8%、3位「港区」の36.6%を上回り、北区の平均価格は1億3,517万円(同+5,851万円)と億超えとなりました。また、2位「渋谷区」は、㎡単価が最高額であったことと平均専有面積80㎡の広さであったことも総じて平均価格は2億4,212万円(同+1億3,512万円)となりました。一方、「港区」は上昇率3位にも関わらず平均価格が1億8,758万円(同-1億7,280万円)でした。これは平均専有面積が58.26㎡と今期分譲された物件の1部屋当たりの面積が小さくなったためです。前期に最も㎡単価が安かった「足立区」が今回10位にランクインし、平均価格も6,000万円台でした。
都内23区で㎡単価が下がったのは「新宿区」、平均価格1位は「千代田区」の2億6,939万円
ランキングでは、23区のうち7区では㎡単価が前年を下回っていることが分かりました。最も㎡単価が下がったのは「新宿区」で前期から約50万円下がりましたが199.7万円/㎡とまだまで高額です。
東京23区全域の新築マンション平均価格は1億1,862万円と、1億円の大台を突破しました。金利2%で35年ローンを組んだ場合、月々の返済額は33万円となり、高所得者しか手が出せないことがうかがえます。平均㎡単価は172.4万円、平均㎡単価の上昇率は13.7%です。
新築マンション平均価格の最高額は「千代田区」の2億6,939万円、最低額は「墨田区」の4,034万円となりました。最も平均㎡単価が安いのは「葛飾区」(89.8万円)、23区内で100万円を切る唯一の区となりました。
<LIFULL HOME'S総研 中山の考察>
新築マンションの“億ション化”でファミリー層は都心近郊から郊外方面に転出している!
2023年に続き、2024年版の新築マンション価格上昇率を東京都の行政区および自治体単位で集計したところ、今回も驚くべき結果となりました。東京23区の2024年1~5月の新築マンションは、平均価格が1億1,862万円(前年同期1億943万円)、平均㎡単価は172.4万円(同151.6万円)で昨年からさらに面積単価では13.7%の明確な上昇を記録したのです。
物件価格が極めて高い都心はもちろんですが、上昇率1位となった北区の164.3%を筆頭に、中野区133.0%、台東区127.4%など近郊の価格上昇率も高水準となっており、価格高騰が都心から近郊、そして準近郊方面へと拡がっていることが明らかになりました。北区では赤羽、十条など駅前の好立地に億ションが相次いで分譲されたことが平均価格を大幅に押し上げた要因です。
価格高騰の背景には、円安による資材価格の高騰、インバウンドの需要増、株高による資産付け替えニーズ、依然続く低金利など、様々な要素が重なり、また資産価値を意識した購入を検討する投資家の存在もあって、これだけ高い価格水準が続いていても需要は未だに衰えを示しません。
この“異常事態”が継続することで、東京都の世代別移動人口にも大きな変化が発生しています。20~34歳までの若年単身者層はコロナ明けで年間約9万人もの転入超過となっていますが、35歳以上のファミリー層は対照的に3万人以上の転出超過を記録しており、生活費の上昇も重なって子育てと仕事の両立が可能な準近郊~郊外方面へと移動している状況です。
東京市部の新築マンションも上昇中! 1位の「昭島市」は1㎡あたり20万円上昇
東京市部での新築マンションの平均㎡単価の上昇率1位は「昭島市」の36.0%(前期比+21.3万円/㎡)、2位は「国立市」の21.7%、3位は「青梅市」の112.9%となりました。
東京市部の新築マンション平均価格は5,805万円で平均㎡単価は89.4万円、平均㎡単価の上昇率は3.5%でした。また、新築マンション平均価格の最高額はJR中央線の「吉祥寺」・「三鷹」・「武蔵境」がある「武蔵野市」の9,074万円で、平均㎡単価も最も高く151.8万円でした。平均㎡単価だと23区の台東区を上回る価格です。
<LIFULL HOME'S総研 中山の考察>
東京市部の価格上昇率は3.5%、価格水準も東京23区の約半額に留まる
一方、東京市部でも新築マンションは平均価格、平均㎡単価ともに上昇しています。しかし、東京23区に隣接する武蔵野市など平均価格が1億円に迫る高額エリアはあるものの、市部全域の平均価格は5,805万円(同5,381万円)、平均㎡単価89.4万円(同86.2万円)と前年同期比で3.5%の上昇に留まっています。
これは専ら需要の強含みや買い進みが都心を中心とした東京23区内で発生していることを浮き彫りにしており、調布市(同-14.2%)、日野市(同-7.5%)、八王子市(対前年比-6.3%)、多摩市(同-2.7%)、国分寺市(同-2.4%)では前年から価格が僅かに下落しています。市部では価格を引き上げてしまうとユーザー離れが発生する可能性が高いため、面積単価を維持しつつファミリー層の強いニーズがある居住性を重視して専有面積を拡大し、1戸当たりの価格を上げる方向で対応していることがわかります。
それでも対前年比で最も上昇率の大きかった昭島市では136.0%、国立市で121.7%、青梅市で112.9%と10%以上の価格上昇を記録している自治体もあり、市部においても新築マンションの価格上昇傾向は着実に進んでいると言えます。
ただし、東京都全域では新築マンション価格上昇に歯止めが掛からない状況でも、東京市部の価格相場は東京23区の半額、価格上昇率もごく僅かと大きな違いがあることから、円安および消費者物価の上昇が当面続くことが予測される現状は、今後も都心近郊から周辺3県を含む郊外方面へと定住人口が拡散していくことはほぼ疑いようがなく、東京23区では価格上昇が続くものと考えられます。
LIFULL HOME'S総研 副所長/チーフアナリスト 中山登志朗(なかやま としあき)
出版社を経て、1998年から不動産調査会社にて不動産マーケット分析、知見提供業務を担当。2014年9月にHOME'S総研副所長に就任。不動産市況分析の専門家としてテレビ、新聞、雑誌、ウェブサイトなどメディアへのコメント提供、寄稿、出演を行うほか、年間多数の不動産市況セミナーで講演。国土交通省、経済産業省、東京都ほかの審議会委員などを歴任。(一社)安心ストック住宅推進協会理事。
調査概要
集計対象:東京都内で分譲された新築マンションを行政区単位で集計
集計期間:2023年1~5月および2024年1月~5月を比較し対前期比を算出
集計条件:専有面積30㎡未満の住戸および平均専有面積が30㎡未満の分譲期は除外
集計方法:各マンションにつき、分譲期ごとに最高価格/面積と最低価格/面積を抽出し平均値を算出
LIFULL HOME'Sは、「叶えたい!が見えてくる。」をコンセプトに掲げる不動産・住宅情報サービスです。賃貸、一戸建て・マンションの購入、注文住宅から住まいの売却まで。物件や住まい探しに役立つ情報を、一人ひとりに寄り添い最適な形で提供することで、本当に叶えたい希望に気づき、新たな暮らしの可能性を広げるお手伝いをします。
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株式会社LIFULLについて (東証プライム:2120)
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