英国手法を参考に、生物多様性の定量化手法(試行版)を独自開発 日本初 リゾート事業地での生物多様性の価値・保全活動の効果を可視化

~長野県・蓼科で環境取り組みを体験できる視察ツアーも開始~

東急不動産

 東急不動産株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:星野 浩明、以下「当社」)および東急リゾーツ&ステイ株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:粟辻󠄀 稔泰、以下「東急リゾーツ&ステイ」)は、MS&ADインターリスク総研株式会社と株式会社地域環境計画と共同で、生物多様性価値の定量化手法(試行版)の開発をいたしましたので、(以下「本手法」)お知らせいたします。

 本手法は、英国のBiodiversity Net Gain(※1)政策に用いられている手法(以下「英国BNG」(※2))を参考に作成した日本版BNG評価であり、これを用いることで、当社事業地における自然の状態を定量的に評価することが可能となります。当社グループのTNFDを踏まえ、自然へのインパクトが大きいと評価した「リゾート事業地」で生物多様性の評価を行い、さらに実際の事業地で評価を行ったことは、国内初であり、事業地の生物多様性の価値と保全効果の可視化により、今後一層効果的なネイチャーポジティブの取り組みを推進してまいります。

(※1)Biodiversity Net Gain(生物多様性ネットゲイン)とは、自然環境を開発前よりも定量的によい状態にすること

(※2)英国BNGは、2024年以降英国で順次施行されている、生物多様性を開発前より10%以上増加させるよう開発事業者に義務付けている法律で使用されている手法を指す

 

■背景と目的

 生物多様性の定量的評価は、ネイチャーポジティブを実現していく上で世界的にも重要な課題であり、当社の中でも特に自然豊かな地域に事業地を多く持つリゾート事業においては、事業を通じたネイチャーポジティブへの貢献をより一層深めていくことが重要だと認識しております。このような背景を通して、下記を目指して、今回の取り組みに着手いたしました。

①生物多様性に関する適切な取り組みを検討・実施するための現状把握

②当社グループの事業を通じたネイチャーポジティブの取り組みや効果の可視化

③上記取り組みや効果をお客様や投資家などのステークホルダーに伝えていくこと

 今回の定量化手法から得られた結果に基づき、リゾート事業地における生物の分布や保全への貢献度を数値化し、ネイチャーポジティブに繋がる具体的なアクションを事業の中で実施してまいります。

 なお、当社及び東急リゾーツ&ステイは、2025年3月、環境省が実施する「2030 生物多様性枠組実現日本会議(J-GBF)」が呼びかける「ネイチャーポジティブ宣言」への参加表明をしており、生物多様性定量化については、本宣言に基づく具体取り組みの1つとなります。

■生物多様性定量化手法開発に向けた具体検討

STEP1:スクリーニング評価

 衛星画像などにより生態系ネットワーク構築に貢献できるポテンシャルをどの程度有しているのか、施設のタイプや規模、自然への依存度などを踏まえた取り組み余地も含め、リゾート事業地で定量評価を行う優先地域を選定。それら地域を対象に、インパクトを受けやすい生態系との接点(重要性)・地域及び事業地の生態系の十全性からスクリーニング評価を実施。総合評価および地域の十全性が最も高い地域として、「東急リゾートタウン蓼科(以下「蓼科」)」を選定。

 

STEP2:現地詳細調査

 STEP1で選定された蓼科について、現地調査を実施。現地の植生調査の他、整備や管理、課題状況等を踏まえ、植生タイプおよび水系タイプ(生態系タイプ)を細区分。

 

STEP3:生物多様性向上に対する定量評価(評価指標設定)

 英国BNGで用いられるBiodiversity Unitの考え方を踏まえ、日本の自然環境の特性に合わせた生物多様性評価手法(試行版)を開発。それに基づき、蓼科の植生タイプおよび水系タイプ(生態系タイプ)ごとに、生物多様性の現状評価を実施。

 

STEP4:定量評価を踏まえたアクションプランの策定及び保全活動推進

 定量評価を踏まえ、周辺生態系の状況などを確認し、数値向上を目指したアクションプランの策定及び保全活動を推進。さらに、観光資源として利用できそうな自然資本やその活用の方向性について検討。

 

■蓼科を対象とした定量評価(STEP2、3)の結果

 蓼科における評価結果は、下図の通り。植生タイプごとの評価合計値は3,234pt/3,717pt(約87%)と全体として高得点の評価結果となりました。

 基準に達しなかった評価項目については、単純な植生構造、外来種の移入、歩道周辺の裸地化・土壌侵食等が要因として挙げられました。

■今後の活動について

 上記の結果を踏まえて、今後STEP4のアクションプラン策定に着手し、生物多様性保全の取り組みを推進していきます。このような取り組みを定量的に効果測定し、可視化することで生物多様性保全に効果のあるアクションを優先的に実施していきます。また、本手法は試行版であり、今後第三者意見等も踏まえて、指標の深度化を図ってまいります。今回は蓼科での定量評価を実施しましたが、今後他のリゾート地においても、定量化を実施することで、現状の把握及び今後のアクション検討を進めてまいります。

 さらに、環境保全の取り組みに共感し、連携できる企業を探索するためにも、当社活動の認知拡大を図っていきたいと考えています。そこで、これまで蓼科で実施してきた多様な環境取り組みについて、ご紹介、ご体験いただける「体感型サステナブルリゾート 視察ツアー」の提供を開始いたします。今回のトピックである「生物多様性」に加え、当社重点課題の「脱炭素社会」「循環型社会」にもフォーカスして、ご案内予定です。

 

【体感型サステナブルリゾート 視察ツアー】

当社重点課題の「脱炭素社会」「循環型社会」「生物多様性」の取り組みをご紹介、ご体験いただける視察ツアーを開始いたします。詳細情報については、お問合せいただければと思います。

 日程:2025年10月以降(予定)

 内容:例)1泊2日の場合 ※日帰りプランもあります

 【1日目】

  ・説明:東急リゾートタウン蓼科における取り組み紹介

  ・視察

         「脱炭素社会」:バイオマスボイラー、CO2固形化

   「循環型社会」:TENOHA蓼科、地域共生、水循環、エディブルガーデン、コンポスト

   「生物多様性」:カラマツ池周辺、森林・山野草保全

  ・食事:地産地消/ジビエ料理

 【2日目】

  ・体験アクティビティ:精油抽出体験、標本づくり体験、草木染め体験 等

  ・地域共生:間伐材活用オリジナルお土産のお持ち帰り

 お問合せ先:

 東急不動産株式会社 ウェルネス事業ユニット

 事業戦略部 業務企画グループ 担当:桑原・太田(tlc_wellness@tokyu-land.co.jp)

■生物多様性定量化手法の検討にあたって

 本取り組みは、リゾート施設の運営管理を行う東急リゾーツ&ステイのほか、自然資本に関するコンサルティングを手掛けるMS&ADインターリスク総研株式会社、生物多様性の取り組みをサポートし、自然環境に関する調査等を実施する地域環境計画など、生物多様性に精通したパートナー企業と協業し検討を進めてまいりました。

■東急不動産ホールディングスグループ「事業におけるネイチャーポジティブへの貢献」

 東急不動産ホールディングスグループでは、環境経営を全社方針としており、「脱炭素社会」「循環型社会」 「生物多様性」の重点課題への取り組みを通じ、環境を起点とした事業機会の拡大を目指しています。中でも 「生物多様性」は、土地や様々な資源の利用、自然によるレクリエーションや人々のゆとり・ 癒しや生産性 の向上、そして資産価値向上など、多様な側面で自然に依存し、インパクトを与えながら事業が成り立っていることから、重要な課題と認識し、2011 年に生物多様性方針を策定するなど、早期より自然と共生する取り 組みを継続的に実施してきました。 また、「地域特性を踏まえたネイチャーポジティブへの貢献」を目標に掲げ、都市においては、都市に点在 する緑を繋ぐ、人と自然に配慮した緑化、地方においては、生態系サービスとの共存を取り組み目標として、不動産開発・運営管理を行っています。

 

■ウェルネス事業における2030年度までに目指す姿

 東急不動産では、東急不動産ホールディングスグループにおける環境経営を推進するため、生物多様性について、ホテル・リゾート事業、ヘルスケア事業を含むウェルネス事業地※1において、2030 年度までに40%の面積の事業地を保全※2 するという目標数値を策定しています。本取り組みは、この目標達成に寄与するものであり、今後もリゾート施設において、健全な生態系を保全していきます。

※1「ウェルネス事業」とは、運営のみ外部受託案件を除く、東急不動産ホールディングスグループの管理運営事業セグメント におけるリゾート施設およびヘルスケア施設を対象とします。

※2「保全」された面積とは、①OECM 認定その他の生物多様性・緑地保全系の環境認証を取得する対象土地の面積、②国立公園・国定公園・自然公園の区域内に該当する面積、③森林法に基づく森林経営計画の作成の対象となる森林面積を指します。

 

■ 私たちが提供する「体感型サステナブルリゾート」

 東急不動産・東急リゾーツ&ステイ・東急リゾートは、「リゾートの力で、地域に幸せな『めぐり』を」をスローガンとして掲げ、「生物多様性を育む」・「地域の未来を創る」・「地域のエネルギーを活かす」という三つのテーマに基づき、楽しみながら地球や地域に優しく過ごすことのできるサステナブルな空間や体験、活動を作り、施設を訪れるお客様に提供していきます。

「体感型サステナブルリゾート」のコンセプトや、当社リゾート施設で提供する環境体験を紹介するWEBサイトはこちら

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URL:https://www.tokyu-green-resort.com/

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会社概要

東急不動産株式会社

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URL
https://www.tokyu-land.co.jp/
業種
不動産業
本社所在地
東京都渋谷区道玄坂1-21-1 渋谷ソラスタ
電話番号
03-6455-1121
代表者名
星野 浩明
上場
未上場
資本金
575億5169万円
設立
1953年12月