侵攻6カ月、「脱ロシア」欧米も下火 日本企業「露事業」見直し、2カ月連続ゼロ 懸念された「レピュテーションリスク」、想定より深刻度小さく
日本企業の「ロシア進出」状況調査(8月)
帝国データバンクは、ロシアに進出する日本の主要企業168社の動向について調査・分析を行った。
<調査結果>
侵攻6カ月、日本企業の「脱ロシア」2カ月連続で新規ゼロ
ロシア事業の停止・撤退を巡っては、3月時点で全体に占める割合は22%だったものの、3~4月にかけて、ロシアに進出する主要な日本企業でロシア事業の停止や撤退といった「脱ロシア」の動きが相次いだ。しかし、その後は脱ロシアの機運は急激に低下し、7月時点で新たに判明した企業の停止や撤退は3月以降で初めてゼロとなった。大手企業でも将来的な事業再開・撤退についても言明を避けるケースが多いなかで、総じてロシア事業を見直す動きはストップした。一方で、政府が大手総合商社に対し、石油・天然ガス開発事業「サハリン2」の事業を引き継ぐロシアの新会社に引き続き出資するよう要請。ロシアに対する事業姿勢は国内でも足並みが揃わず、ここにきて日本企業の対ロ事業見直しへの機運はペースダウンの兆しもある。
事業の停止や中断となった企業の内訳では、製品の出荷・受注などを含む「取引停止」が34社で最も多く、事業停止・撤退企業のうち約半数を占めた。次いで現地工場の稼働停止など「生産停止」(14社)、店舗営業や現地の販売活動などを含めた「営業停止」は10社で、ともに前月から変動はなかった。ロシア事業からの撤退は6社判明した。
懸念された「レピュテーションリスク」、想定より深刻度小さく
日本企業でも引き続き、ロシア工場の操業停止や同国との製品輸出入停止といった、ロシアと距離を置く動きは続いた。しかし、ロシア事業依存によるレピュテーションリスクは「当初の想定に比べて深刻度は小さい」といった指摘もあり、ロシアビジネス撤退には慎重姿勢をみせる企業が多い。対ロ姿勢は国内でも官民のみならず、グローバル企業と中堅企業でも足並みが揃っておらず、当面はロシア事業の見直しを当面「様子見」する企業が多くを占めるとみられる。
- 侵攻6カ月、日本企業の「脱ロシア」2カ月連続で新規ゼロ
侵攻6カ月、日本企業の「脱ロシア」2カ月連続で新規ゼロ
ロシアでのビジネスから撤退=日本企業の「脱ロシア」の動きはこれまでと一転、下火となりつつある。2022年2月時点でロシアへの進出が判明した国内上場企業168社のうち、8月21日までにロシア事業の停止や制限・撤退を新たに発表・公開した企業は、全体の4割に当たる74社で判明した。前月に引き続き、新たなロシア事業の停止や撤退を表明した企業はゼロだった。
ロシア事業の停止・撤退を巡っては、3月時点で全体に占める割合は22%だったものの、3~4月にかけて、ロシアに進出する主要な日本企業でロシア事業の停止や撤退といった「脱ロシア」の動きが相次いだ。しかし、その後は脱ロシアの機運は急激に低下し、7月時点で新たに判明した企業の停止や撤退は3月以降で初めてゼロとなった。大手企業でも将来的な事業再開・撤退についても言明を避けるケースが多いなかで、総じてロシア事業を見直す動きはストップした。一方で、政府が大手総合商社に対し、石油・天然ガス開発事業「サハリン2」の事業を引き継ぐロシアの新会社に引き続き出資するよう要請。ロシアに対する事業姿勢は国内でも足並みが揃わず、ここにきて日本企業の対ロ事業見直しへの機運はペースダウンの兆しもある。
事業の停止や中断となった企業の内訳では、製品の出荷・受注などを含む「取引停止」が34社で最も多く、事業停止・撤退企業のうち約半数を占めた。次いで現地工場の稼働停止など「生産停止」(14社)、店舗営業や現地の販売活動などを含めた「営業停止」は10社で、ともに前月から変動はなかった。ロシア事業からの撤退は6社判明した。
懸念された「レピュテーションリスク」、想定より深刻度小さく
ロシア事業の見直しをめぐっては、強い姿勢で臨んできた米欧企業も足並みが揃っていない。帝国データバンクが米エール経営大学院の集計をもとに、日米欧約1300社のロシア事業動向を調査した結果、「ロシア事業撤退(Withdrawal)」および「取引停止(Suspension)」の割合は約6割にとどまり、なかでも完全な「撤退」は2割弱にとどまった。スターバックス(米)やH&M(スウェーデン)などグローバルに事業を展開する大手企業では、ウクライナ侵攻を続けるロシアへの圧力を欧米各国政府に追随した。しかし、日本も含め、中堅企業や対ロ事業の割合が軽微な企業では引き続き対ロ事業を継続しており、西側諸国の「脱ロシア」の動きはペースダウンしている。
日本企業でも引き続き、ロシア工場の操業停止や同国との製品輸出入停止といった、ロシアと距離を置く動きは続いた。しかし、ロシア事業依存によるレピュテーションリスクは「当初の想定に比べて深刻度は小さい」といった指摘もあり、ロシアビジネス撤退には慎重姿勢をみせる企業が多い。対ロ姿勢は国内でも官民のみならず、グローバル企業と中堅企業でも足並みが揃っておらず、当面はロシア事業の見直しを当面「様子見」する企業が多くを占めるとみられる。
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