IBMが開発したアルゴリズムが、NISTが初めて公開した耐量子計算機暗号標準に

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量子コンピューター技術の急速な発展に伴い、米国国立標準技術研究所 (NIST) は、潜在的な量子技術の不正利用によるサイバー攻撃から暗号化データを保護するため、業界パートナーとの協力によりIBMが開発したものを含む新しいアルゴリズムを公開

【ニューヨーク州ヨークタウン・ハイツ – 2024年8月13日 (現地時間)発】

米国商務省の国立標準技術研究所 (NIST) が本日発表した最初の3つの耐量子計算機暗号標準(Post-Quantum Cryptography Standards)において、IBMが開発した2つのアルゴリズムが正式に公開されました。

本日公開された耐量子計算機暗号標準には、3つの耐量子計算機暗号アルゴリズムが含まれており、ML-KEM (当初の呼称はCRYSTALS-Kyber) とML-DSA (当初の呼称はCRYSTALS-Dilithium)の2つは、IBMの研究者が業界および学術界のパートナーと協力して開発しました。公開された3つ目のアルゴリズムSLH-DSA (当初はSPHINCS+として提出) は、その後IBMに入社した研究者によって共同開発されたものです。さらに、IBMが開発した4つ目のアルゴリズムFN-DSA (当初の呼称はFALCON) が、将来の標準化に向けて選出されています。

量子コンピューターは暗号技術との関連性が急速に増しています。これらのアルゴリズムが公式に公開されたことは、量子コンピューターが将来的に有する計算機能力によって試みられる可能性のあるサイバー攻撃から世界中の暗号化データを保護することを前進させる重要なマイルストーンです。量子コンピューターは、今日の世界のほとんどのデータやインフラストラクチャーの基礎となっている暗号化標準を破るのに十分な計算能力を、先々利用できるようになります。

IBMフェロー 兼 IBM Quantum バイス・プレジデント ジェイ・ガンベッタ(Jay Gambetta)は、次のように述べています。「量子コンピューティングにおけるIBMのミッションは、有用な量子コンピューティングを世界にもたらすことと、世界を耐量子計算機暗号によるセキュリティーが確保された状態にすることです。量子コンピューターは完全にエラー訂正されたシステムに向けて前進しており、現在の量子コンピューターの技術開発も驚くべき進歩を遂げると共に、問題を探索するための活用が世界中の産業で進んでいます。しかし、こうした業界としての技術の進歩は、機密性の高いデータやシステムのセキュリティーに激変をもたらす可能性があることを私たちは理解しています。NISTが最初の耐量子計算機暗号標準を発表したことは、量子コンピューティングの進歩と並び、安全な未来を構築するための取り組みの重要な一歩となります」

コンピューティング領域の新たな分野として、量子コンピューターは急速に実用的かつ大規模なシステムへと進化を続けています。例えば、IBMの量子開発ロードマップにおいてハードウェアとソフトウェアのマイルストーンが達成され、その先の進化が計画されていることからも明らかです。例えば、IBMは、エラー訂正された最初の量子システムを2029年までに提供する予定です。このシステムは、数億回の量子演算を実行し、現在の古典コンピューターでは到達できない複雑で価値のある問題に対して正確な結果を返すことが期待されています。さらに将来的には、IBMのロードマップには、2033年までに10億回以上の量子演算を実行できるように量子システムを拡張する計画が含まれています。IBMはこれらの目標に向けて、すでにヘルスケアやライフサイエンス、金融、材料開発、物流などの分野で専門家を配置し、実用規模のシステムを用いて、最も差し迫った課題を量子コンピューターに適用することを開始しています。

しかし、業界全体として、より強力な量子コンピューターの出現は、今日のサイバー・セキュリティー・プロトコルにリスクをもたらす可能性を包含しています。速度とエラー訂正能力のレベルが向上するにつれて、長年にわたってグローバル・データを保護してきたRSAなどの現在最も使用されている暗号化スキームを破る能力も含まれている可能性があります。IBMにおける世界有数の暗号専門家チームは、数十年前に開始された作業を皮切りに、将来の脅威からデータを保護するアルゴリズムの開発において業界をリードし続けており、現在、今日の暗号化スキームを置き換えようとしています。

NISTが新たに公開した標準は、パブリック・ネットワーク上で交換されるデータの保護、および認証のためのデジタル署名を目的に設計されています。今回正式に承認されたこの標準は、世界中の政府や業界が耐量子サイバー・セキュリティー戦略を採用し始める上での青写真となります。

2016年、NISTは世界中の暗号研究者に対して、将来の標準化を検討するために、耐量子暗号スキームを開発・提出するよう求めました。2022年には、評価用に提出された69件の提案の中から、CRYSTALS-Kyber、CRYSTALS-Dilithium、Falcon、SPHINCS+の四つの暗号アルゴリズムが選出されました。

NISTは、Falconを4番目の公式標準として公開するために評価を継続する一方、耐量子暗号アルゴリズムのツール・キットを多様化するための追加アルゴリズムの特定と評価を続けています。追加アルゴリズムの中には、IBMの研究者によって開発された他のいくつかのアルゴリズムが含まれており、IBMの暗号研究者はこれらのツールの拡張を率先して行っています。これには、新たに提出された3つのデジタル署名スキームが含まれ、これらのスキームは既にNISTの検討対象として受諾され、初期評価中です。

世界を耐量子の状態にするというミッションに向け、IBMは耐量子計算機暗号をIBM z16やIBM Cloudといった多くの自社製品に統合する取り組みを進めています。2023年にIBMは、IBM Quantum Safeロードマップを発表しました。これは、ますます進化する耐量子技術に向けたマイルストーンを示す三段階の青写真であり、発見、観測、変革のフェーズで定義されています。このロードマップに加えて、お客様が耐量子を実現できるように支援するために、IBM Quantum Safeテクノロジーと耐量子の実現に向けた計画策定から移行を含めたIBM Quantum Safe Transformation Servicesを発表しました。これらのテクノロジーには、ソフトウェアやシステム内の暗号資産に関する情報を特定・交換するための新しい標準である暗号部品表 (CBOM) の導入を含めた「クリプト・インベントリー」や「クリプト・アジリティー」への対応が含まれます。

IBM Quantum Safeテクノロジーおよびサービスの詳細については、https://www.ibm.com/quantum/quantum-safeをご参照ください。

 

当報道資料は、2024年8月13日(現地時間)にIBM Corporationが発表したプレスリリースの抄訳をもとにしています。原文はこちらを参照ください。

 

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会社概要

URL
https://www.ibm.com/jp-ja
業種
情報通信
本社所在地
東京都港区虎ノ門二丁目6番1号  虎ノ門ヒルズ ステーションタワー
電話番号
03-6667-1111
代表者名
山口明夫
上場
未上場
資本金
1053億円
設立
1937年06月