第60回文藝賞受賞作『無敵の犬の夜』11月22日発売!
著者が10代を九州で過ごした経験から生まれた、北九州の少年の逆襲劇!
1962年創設以来、多くの新人作家を輩出してきた「文藝賞」(主催:河出書房新社/本社:東京都渋谷区)は、今年が第60回となります。記念すべき第60回受賞者は小泉綾子さんに決定、受賞作品『無敵の犬の夜』を本日発売いたしますのでお知らせいたします。
選考委員を務めた角田光代氏、島本理生氏、穂村弘氏、町田康氏、満場一致の受賞作となった本作は、北九州の片田舎で暮らす中学生が、東京のラッパーを倒しにカチコミへ向かうという破格の青春爆走劇です。思春期に抱える世界からの疎外感、北九州弁の中高生たちが繰り広げる言葉の応酬とその生命力、そもそも彼はなぜ東京ヘカチコミに向かうのかーー?など読みどころにあふれ、頁をめくる手が止まらない、一気読み必至!と、雑誌「⽂藝」2023年冬季号(10月6日発売)掲載直後から多くの反響を呼んでいます。
贈呈式に先立って行われた記者会見で小泉綾子さんは、本作を執筆したきっかけについて「白石和彌監督の任侠映画『孤狼の血』に衝撃を受け、3回見た。その後すぐに福岡県田川市に向かい、比較的治安の悪い立地のホテルにこもって書いた」と驚きのエピソードを語りました。また影響を受けた作家については「夏目漱石の『坊っちゃん』や『抗夫』などが好きで『どうしたらこんなものが書けるのだろう』と思いながら書いてきたが、本作を書く中では今までにない手応えを感じていた」と述べました。
第60回文藝賞受賞作の『無敵の犬の夜』、大型新人として話題沸騰中の受賞者・小泉綾子さんにご注目くださいますようお願いいたします。
■「文藝賞」小泉綾子氏 受賞の言葉(「⽂藝」2023年冬季号からの抜粋)
創作は孤独だ。言葉の配置に細心の注意を配り、浮かばれない過去と対峙し、自分を救ってくれた名作に励まされながら魂を削り書き上げたところで、誰にも読んでもらえないかもしれない。だけどそれでも書くことは私の使命だ。そう信じるしかない。そして「無敵の犬の夜」の主人公のように、人生の不公平さを糧にあらぬ方向に向かって一発デカい花火を打ち上げようとする、そんなふうに生きる人間に私はいつまでもあこがれる。
■選考委員の言葉
「すべての人物が衝動に突き動かされて瞬間をマジで生きる様が描かれて、この作者の世界観、人間観が広く深いものであることが知れる。」 ーー町田康氏
「この現実世界の中心にかかわりたくてあがいていながら、まったくかかわることができずにいる、絶望と意識もされない絶望が、絶妙に描き出されている。」 ーー角田光代氏
「思春期の葛藤は時に人を殺したくなるほど肥大する。その切実さが丁寧に描かれている。」 ーー島本理生氏
「主人公の世界と自分の直結を夢見る感覚はテロリスト的。」 ーー穂村弘氏
■書店人からも絶賛の声!
「小泉さんは原始の感情、或いは発展途上の知識と感情の不均衡と言うべきか、を描くのが途轍もなく上手い。一見空疎な文章だが、物語に呼応するかのようなエネルギーを感じる。それは青春小説によくある嘘っぱちのみずみずしさではなく、もっと野卑で、じっとしてると汗が流れてくるようなむさくるしさだ。小泉さんの描く物語はとにかく世界の中心で愛を叫べない若者へのレクイエムみたいなところがあって、この崖っぷちの咆哮が、私の胸を鷲掴みにする。あらゆる未完成をこの人には書いて欲しいし、私はそれを読んでいたい。」 ーー紀伊國屋書店浦和パルコ店 竹田勇生氏
■『無敵の犬の夜』あらすじ
「強くなったらもう誰も俺をバカにしない。恐れられ尊敬される世界。最高やん。きっといつか、もしかしたら」
北九州の片田舎。幼少期に右手の小指と薬指の半分を失った男子中学生・界(かい)は、学校へ行かず、地元の不良グループとファミレスでたむろする日々。その中で出会った「バリイケとる」男・橘さんに強烈に心酔していく。
ある日、東京のラッパーとトラブルを起こしたという橘さんのため、ひとり東京へ向かうことを決意するが――。
どこまでも無謀でいつまでも終われない、行き場のない熱を抱えた少年の切実なる暴走劇!
■「文藝賞」について
「⽂藝賞」は⽂芸誌『⽂藝』を⺟体とし、1962年から始まった⼩説の新⼈賞です。これまで、第1回の⾼橋和⺒をはじめ、⽥中康夫、⼭⽥詠美、⻑野まゆみ、綿⽮りさ、⽻⽥圭介、若⽵千佐⼦、宇佐⾒りん、遠野遥など、⽂学シーンに常に新たな才能を送り込んできました。
今年の「⽂藝賞」は第60回を迎え、受賞作は、⼩泉綾⼦「無敵の⽝の夜」に、優秀作は、佐佐⽊陸「解答者は⾛ってください」、図野象「おわりのそこみえ」の2作に決定いたしました。この3作は11⽉22⽇にそれぞれ単⾏本を発売いたします。
■書誌情報
タイトル:無敵の犬の夜
著者:小泉綾子
ISBN:978-4-309-03159-0
本体価格:1540円(税込1400円)
仕様:四六単行本・148ページ
書誌URL:https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309031590/
■著者情報
小泉綾子(こいずみ・あやこ)
1985年、東京都生まれ。10代を九州で過ごす。2022年、「あの子なら死んだよ」で第8回林芙美子文学賞佳作受賞。2023年、「無敵の犬の夜」で第60回文藝賞受賞。
■関連リリース
第60回文藝賞受賞作は小泉綾子「無敵の犬の夜」、優秀作二作品決定のお知らせ
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000497.000012754.html
第60回「文藝賞〈短篇部門〉」受賞作決定のお知らせ
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000493.000012754.html
■関連サイト
雑誌「文藝」公式サイト
https://www.kawade.co.jp/np/bungei.html
次回、第61回「文藝賞」(2024年)原稿募集
https://www.kawade.co.jp/np/bungei.html
河出書房新社HP
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