幼稚園や保育園で“遊び込む経験”が多いほうが「学びに向かう力」が高い

~自分なりに遊びを工夫したり、見通しをもって遊ぶなどの経験が年長児期の「がんばる力」「好奇心」「協調性」等につながる~

 株式会社ベネッセホールディングス(本社:岡山市)の社内シンクタンク「ベネッセ教育総合研究所」では、幼稚園や保育園、認定こども園などに通う年長児をもつ保護者2,266名を対象に、2016年2月に「園での経験と幼児の成長に関する調査」を実施しました。国内外の研究において幼児期の教育や保育の重要性が明らかになる中、本調査は、子どもの成長と関連する園での経験や、それを支える園の環境がどのようなものかを検証するものです。
 園での子どもの経験という視点から「保育の質」を議論する際の参考となる資料です。

※用語について
Ø  「学びに向かう力」とは:
「幼児期から小学1年生の家庭教育調査」(ベネッセ教育総合研究所)で、小学校入学以降の学習や生活につながる幼児期の学びとして設定した3つの軸(「学びに向かう力」「文字・数・思考」「生活習慣」)の一つであり、好奇心・協調性・自己統制・自己主張・がんばる力などに関係する力を指します。次期の幼稚園教育要領でも、幼児教育で育みたい資質・能力の一つとして位置づけられています。

Ø  “遊び込む経験”とは:本分析では、子どもが主体的に遊びに入り込むような経験(「遊びに自分なりの工夫を加える」「見通しをもって、遊びをやりとげる」「先生に頼らずに製作する」「挑戦的な活動に取り組む」「好きなことや得意なことをいかして遊ぶ」「自由に好きな遊びをする」の6項目)を、“遊び込む経験”と総称しています。

主な調査結果は以下の通りです。
1. 園生活と子どもの成長:

①年長児の保護者の半数以上は、園で子どもが“遊び込む経験”が「よくあった」と回答。また6割台の保護者は、園に自由に遊べる環境が十分にあったと回答。
●  年長児の保護者の半数以上は、この1年間で、園で子どもが“遊び込む経験”が「よくあった」と回答。「遊びに自分なりの工夫を加える」(66.5%)、「先生に頼らずに製作する」(64.9%)、「挑戦的な活動に取り組む」(59.1%)、「見通しをもって、遊びをやり遂げる」(52.9%)など。
(※「とてもよくあった」+「よくあった 」)【図1-1】
● 保護者の6割台は、園に“自由に遊べる環境”があったと回答。「自由に遊べる時間が十分にある」(68.8%)、「自由に遊べる遊具や素材が十分にある」(65.8%)、「自由に遊べる場所が十分にある」(64.6%)など。
(※「とてもあてはまる」+「ややあてはまる 」)【図1-2】

②園で自由に遊べる環境が充実しているほど、また先生の受容的な関わりがあるほど、“遊び込む経験”は多くなる。
● 園で自由に遊べる時間や場所、遊具や素材があるなど、自由に遊べる環境が充実しているほど、年長児の“遊び込む経験”が多くなる。【図2-1】
● 先生が子どもの「やりたい」気持ちを尊重しているなど、受容的に関わっているほど、年長児の“遊び込む経験”が多くなる。【図2-2】
●“遊び込む経験”と、友だちとの“協同的な活動”の経験の多さは関連している。【図2-3】

③年長児1年間に園で“遊び込む経験”が多いほうが、子どもの「学びに向かう力」は高い。【図3】

2. 園生活を通した保護者の成長と子どもの養育態度: 園生活を通した保護者自身の成長実感が強いほど、子どもの意欲を尊重する養育態度をとる。

● 園生活を通して、83.6%の保護者が「子どもの得意なことやよさに気づいた」と回答したほか、「安心して子育てできた」(76.0%)、「自分の視野が広がった」(68.5%)、「子どもへの関わり方がわかった」(67.5%)と回答。
(※「強く感じる」+「やや強く感じる」)【図4-1】
● 園から提供される情報を子育ての参考にしているほうが、園生活を通して自分自身の成長を感じている。【図4-2】
● 保護者自身の成長実感が強いほど、子どもの意欲を尊重する養育態度をとる傾向がみられる。【図4-3】



 今回の調査では、年長児の1年間を保護者が振り返った際に、子どもが園で自分なりに遊びに工夫を加えたり、見通しをもって遊ぶなどの“遊び込む経験”を多くしたと感じるほうが、子どもの好奇心やがんばる力などの「学びに向かう力」は高くなる傾向がみられました。「学びに向かう力」は、非認知的能力、社会情動的スキル(※)ともいわれ、生涯にわたり、社会生活を営むうえでその人を支える基盤となる力といえますが、この力を支えるのが園生活での“遊び込む経験”であると考えられます。また“遊び込む経験”をするためには、園で自由に遊べる環境や先生の受容的な関わりが大切であることもうかがえます。さらに“遊び込む経験”と友だちとの“協同的な活動”の経験には関連が見られたことから、遊び込む過程で友だちと豊かに関わる子どもたちの姿が浮かびあがります。
 一方、園生活を通した保護者の成長実感は総じて高く、園便りなど園との接点から得る情報を子育ての参考にしているほうが、保護者自身が成長を実感して、子どもの意欲を尊重する養育態度をとる傾向がみられ、そうした養育態度が「学びに向かう力」に関連している可能性もうかがえました。
 以上のことから、幼児の成長のために、園が担う役割の大きさが改めて明らかになりました。本調査結果を一つの材料にして、子どもの育ちを支える「園での経験や園の環境」、また保護者が成長実感を得られる「園と保護者の関係性」など、これからの保育のあり方を様々な立場の方が検討する参考にしていただければ幸いです。
※参考)「家庭、学校、地域社会における社会情動的スキルの育成」(OECD,ベネッセ教育総合研究所)


【調査概要】

調査テーマ 園での経験と幼児の成長に関する調査
調査方法 インターネット調査
調査時期 2016年2月19日~2月22日
調査対象 幼稚園・保育園・認定こども園などに通う年長児をもつ保護者2,266人
(母親2,060人、父親206人)※年齢は25~49歳
調査地域 全国
調査項目 入園理由、入園時の気持ち、園での子どもの経験、園の環境、
園と保護者の関わり、園からの情報の参考度、園生活を通した成長実感、
園への満足度など
調査監修者 無藤隆(白梅学園大学教授)・秋田喜代美(東京大学大学院教授)


◆ベネッセ教育総合研究所のホームページから、本リリース資料と過去の調査結果をダウンロードできます。
http://berd.benesse.jp/

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