スーダン東部:エチオピア難民の間でウイルス性肝炎が急増 援助不足が原因
スーダン東部のゲダレフ州とカッサラ州にある難民キャンプで、E型肝炎の患者が大幅に増加している。感染した何百人もの人びとは、昨年11月以降エチオピア・ティグレ州から逃れた難民で、地元のスーダン人にも広がる恐れがある。国境なき医師団(MSF)は、E型肝炎のまん延が防げなかったのは人道援助の不足に原因があるとして、関連団体に連携のもと早急な対応を行うよう呼びかけている。
この数週間、MSFはゲダレフ州にあるウム・ラクバ難民キャンプとアル・ハシャバの一時滞在センターで、278人の患者を診察。そのうち妊婦3人を含む16人が入院した。患者の多くは、ウイルス感染の兆候である急性黄疸症候群、嘔吐、上腹部痛などの症状があった。ウム・ラクバでは現在、1日平均15人のE型肝炎患者が確認されており、同州内のアル・タニデバ難民キャンプでもこれまでに6人、エチオピア国境に近いハムダイエト村の一時滞在センターでは3人の患者が見つかった。
E型肝炎はウイルス性の感染症で、肝臓の病気を引き起こす。目や皮ふが明らかに黄色くなり、倦怠感や濃い色の尿が出て、急性肝不全から死に至ることもある。妊婦にはとりわけ危険で、致死率は約25%と高い。MSFが治療したE型肝炎患者の中には、こん睡状態で運び込まれた人もいる。E型肝炎ウイルスは、腸チフスや赤痢、コレラなどの病気と同様で、水と衛生の状態が悪い環境でまん延する。
アル・タニデバとウム・ラクバのキャンプでも、トイレは不足しているか、使用できない状態だ。ウム・ラクバでは2万人の避難民に対し175基のトイレしかなく、アル・タニデバでは大雨や風で多くが損壊した。両キャンプには合わせて約4万人が身を寄せている。
新しいトイレの建設も進むが、雨期の到来により多くが完成するのは数カ月先となる見込みだ。既にあるトイレでは、給水場のすぐ横に設置されたものもあり、汚染リスクを高めている。さらに今週起きた豪雨で、アル・タニデバでは大部分の区画が浸水し、状況は深刻化している。雨期には他の水系感染症もまん延する恐れがあり、援助団体は早急にトイレの数と質を改善せねばならない。
アル・タニデバで5人の子どもと共に避難するメフルートさんは「着いた時からトイレが問題でした。清掃や整備がされたことはなく、あまり使う気になれないのです」と話す。食料配給が不安定なため、支給された石けんを売って食費に充てる難民も多い。
E型肝炎患者の増加を受け、MSFは供給する水の塩素濃度を上げたほか、管理している井戸を汚れた地表水から守り、消毒する対策を講じた。また、難民キャンプでの健康教育と支援活動を強化。難民が安全に水を保管できるように、貯水容器を洗浄するキャンペーンも実施した。さらに妊婦に対しては、感染予防のため追加の石けんを配布している。
MSFプロジェクト・コーディネーターのセルジオ・スコーは「基本的なインフラの整備が間に合っていれば、E型肝炎のまん延は避けられたはずです。しかし国際援助機関の連携がうまく図られてこなかったために、それほど数も多くない難民にすら尊厳や安全を守る援助が届けられずにいるのです」と訴える。
MSFは、2020年11月からウム・ラクバ難民キャンプ、12月からアル・タニデバ難民キャンプで活動してきた。両キャンプの診療所を運営し、産科、心のケア、生後1年半未満の子どもの予防接種、栄養失調治療などの一次・二次医療を外来と入院で提供。水・衛生に関する支援も行い、緊急水処理施設で水を塩素消毒し、大型の袋タンクに貯め、清潔な飲み水として難民に届けている。また、ハムダイエトとアル・ハシャバ(第8村)の一時滞在センターでも活動中。MSFの援助は、エチオピア・ティグレ州からの難民と地元のスーダン人住民の両方を対象としている。
- 不衛生な環境で感染が広がる
この数週間、MSFはゲダレフ州にあるウム・ラクバ難民キャンプとアル・ハシャバの一時滞在センターで、278人の患者を診察。そのうち妊婦3人を含む16人が入院した。患者の多くは、ウイルス感染の兆候である急性黄疸症候群、嘔吐、上腹部痛などの症状があった。ウム・ラクバでは現在、1日平均15人のE型肝炎患者が確認されており、同州内のアル・タニデバ難民キャンプでもこれまでに6人、エチオピア国境に近いハムダイエト村の一時滞在センターでは3人の患者が見つかった。
E型肝炎はウイルス性の感染症で、肝臓の病気を引き起こす。目や皮ふが明らかに黄色くなり、倦怠感や濃い色の尿が出て、急性肝不全から死に至ることもある。妊婦にはとりわけ危険で、致死率は約25%と高い。MSFが治療したE型肝炎患者の中には、こん睡状態で運び込まれた人もいる。E型肝炎ウイルスは、腸チフスや赤痢、コレラなどの病気と同様で、水と衛生の状態が悪い環境でまん延する。
アル・タニデバとウム・ラクバのキャンプでも、トイレは不足しているか、使用できない状態だ。ウム・ラクバでは2万人の避難民に対し175基のトイレしかなく、アル・タニデバでは大雨や風で多くが損壊した。両キャンプには合わせて約4万人が身を寄せている。
新しいトイレの建設も進むが、雨期の到来により多くが完成するのは数カ月先となる見込みだ。既にあるトイレでは、給水場のすぐ横に設置されたものもあり、汚染リスクを高めている。さらに今週起きた豪雨で、アル・タニデバでは大部分の区画が浸水し、状況は深刻化している。雨期には他の水系感染症もまん延する恐れがあり、援助団体は早急にトイレの数と質を改善せねばならない。
アル・タニデバで5人の子どもと共に避難するメフルートさんは「着いた時からトイレが問題でした。清掃や整備がされたことはなく、あまり使う気になれないのです」と話す。食料配給が不安定なため、支給された石けんを売って食費に充てる難民も多い。
- 援助団体の連携が急務
E型肝炎患者の増加を受け、MSFは供給する水の塩素濃度を上げたほか、管理している井戸を汚れた地表水から守り、消毒する対策を講じた。また、難民キャンプでの健康教育と支援活動を強化。難民が安全に水を保管できるように、貯水容器を洗浄するキャンペーンも実施した。さらに妊婦に対しては、感染予防のため追加の石けんを配布している。
MSFプロジェクト・コーディネーターのセルジオ・スコーは「基本的なインフラの整備が間に合っていれば、E型肝炎のまん延は避けられたはずです。しかし国際援助機関の連携がうまく図られてこなかったために、それほど数も多くない難民にすら尊厳や安全を守る援助が届けられずにいるのです」と訴える。
MSFは、2020年11月からウム・ラクバ難民キャンプ、12月からアル・タニデバ難民キャンプで活動してきた。両キャンプの診療所を運営し、産科、心のケア、生後1年半未満の子どもの予防接種、栄養失調治療などの一次・二次医療を外来と入院で提供。水・衛生に関する支援も行い、緊急水処理施設で水を塩素消毒し、大型の袋タンクに貯め、清潔な飲み水として難民に届けている。また、ハムダイエトとアル・ハシャバ(第8村)の一時滞在センターでも活動中。MSFの援助は、エチオピア・ティグレ州からの難民と地元のスーダン人住民の両方を対象としている。
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