企業が求める人材像、「コミュニケーション能力が高い」がトップ 中途採用では「専門性」をのぞむ声
企業が求める人材像アンケート
7月の全国の有効求人倍率(季節調整値)は前月比で7カ月連続して上昇したことに加え、2年3カ月ぶりにすべての都道府県で1倍を超えた。企業の人手不足感は再び高まっており、人手不足が顕著となっていた新型コロナ禍前の水準に近づきつつある。
こうしたなか、9月5日には高校生の求人応募書類の提出がスタートしたほか、10月は大手企業を中心に大卒学生の内定通知が行われるなど、新卒者の来年度入社に向けた動きが活発化している。
そこで、帝国データバンクは、企業が求める人材像についてアンケートを行った。
こうしたなか、9月5日には高校生の求人応募書類の提出がスタートしたほか、10月は大手企業を中心に大卒学生の内定通知が行われるなど、新卒者の来年度入社に向けた動きが活発化している。
そこで、帝国データバンクは、企業が求める人材像についてアンケートを行った。
<調査結果(要旨)>
※アンケート期間は2022年9月2日~5日、有効回答企業数は1,550社(インターネット調査)
「コミュニケーション能力」と「意欲的」が4割超、大企業は新卒、中小企業は中途をメインに採用
主に採用するのは新規卒業者か、既に就業経験のある中途入社者かを尋ねたところ、「新卒採用がメイン」は21.3%、「中途採用がメイン」は56.6%となった。ただし企業規模別でみると、大企業の48.8%が「新卒採用がメイン」と回答した一方、中小企業では「新卒採用がメイン」とした企業は16.9%にとどまり、60.0%が「中途採用がメイン」と回答している。さらに小規模企業ではおよそ3社に2社の企業が「中途採用がメイン」(63.5%)としており、企業規模が小さいほど即戦力として期待できる中途採用の割合が高まっている。
新卒は「育成するうえで必要な基本的資質」、中途では「専門的スキルと誠実さ」
「技術職として資格取得や現場での経験を積んでいくためには、専門的なスキル以上に、年配者や有資格者とのコミュニケーション能力などが求められる」(一般土木建築工事、北海道)、「肉体的にも精神的にもタフな人であれば、仕事に修練できると考える」(麺類製造、大阪)といった声が企業から聞かれるように、新卒者に対しては、将来的にどのような職種に進むとしても、入社後に業務を教え育てていくうえで必要となる基本的な能力・資質が求められている。
一方で、中途入社者に対しては「ソフトウエア開発技術者を求めているが、未経験者を雇用すると生産性が出せるようになるまでの期間が長くなってしまうため、どうしても専門的スキルを有している人材となる」(ソフト受託開発、東京)、「顧客の秘められたニーズを掘り出し解決するためには、話が上手いかよりも、根底にある人柄をもとにした信頼関係が一番大事となる」(工業薬品製造、群馬)との声があるように、即戦力として業務に従事できる能力や、誠実で信頼できる人柄が求められていることが明らかとなった。
「新卒をメイン」に採用する企業の声
「中途をメイン」に採用する企業の声
本アンケートの結果、採用活動において企業が求めている人材像は、「コミュニケーション能力が高い」や「意欲的である」が4割超となった。企業規模別にみると、大企業で新卒採用メインの割合が高く、企業規模が小さくになるにしたがい中途採用メインの割合が増えている。また採用形態別では、新卒採用は入社後に仕事を覚えていくうえで必要な基本的な能力・資質が求められる傾向にある一方、中途採用では即戦力として必要な専門性が重要視されている。
人手不足を要因とした倒産が一部で発生するなど、人材不足による企業経営への悪影響が懸念される。少子化などによって若者を中心に人材の絶対数が減るなかで、優秀な人材を確保することは容易でないが、経営上の重要度は高い。そのため企業を安定的に運営し成長させていくうえで重要な資産である人材を、適切に採用し育成することがこれまで以上に肝要といえる。
- 「コミュニケーション能力」と「意欲的」が4割超、大企業は新卒、中小企業は中途をメインに採用
- 新卒は「育成するうえで必要な基本的資質」、中途では「専門的スキルと誠実さ」
※アンケート期間は2022年9月2日~5日、有効回答企業数は1,550社(インターネット調査)
「コミュニケーション能力」と「意欲的」が4割超、大企業は新卒、中小企業は中途をメインに採用
採用活動において、どのような人材像を求めているかを尋ねたところ、「コミュニケーション能力が高い」(42.3%)と「意欲的である」(42.2%)が4割超となった(3つまでの複数回答、以下同)。次いで、以下、「素直である」(35.0%)、「真面目、または誠実な人柄である」(31.8%)、「明るい性格である」(21.9%)が上位となった。
主に採用するのは新規卒業者か、既に就業経験のある中途入社者かを尋ねたところ、「新卒採用がメイン」は21.3%、「中途採用がメイン」は56.6%となった。ただし企業規模別でみると、大企業の48.8%が「新卒採用がメイン」と回答した一方、中小企業では「新卒採用がメイン」とした企業は16.9%にとどまり、60.0%が「中途採用がメイン」と回答している。さらに小規模企業ではおよそ3社に2社の企業が「中途採用がメイン」(63.5%)としており、企業規模が小さいほど即戦力として期待できる中途採用の割合が高まっている。
新卒は「育成するうえで必要な基本的資質」、中途では「専門的スキルと誠実さ」
求める人材像について、採用形態別の新卒と中途で5ポイント以上の差がある項目をみると、新卒採用をメインとする企業では、「コミュニケーション能力が高い」「精神的にたくましい」の割合が高くなった。他方、中途採用をメインとする企業では「真面目、または誠実な人柄である」「専門的なスキルを持っている」の割合が高くなっている。
「技術職として資格取得や現場での経験を積んでいくためには、専門的なスキル以上に、年配者や有資格者とのコミュニケーション能力などが求められる」(一般土木建築工事、北海道)、「肉体的にも精神的にもタフな人であれば、仕事に修練できると考える」(麺類製造、大阪)といった声が企業から聞かれるように、新卒者に対しては、将来的にどのような職種に進むとしても、入社後に業務を教え育てていくうえで必要となる基本的な能力・資質が求められている。
一方で、中途入社者に対しては「ソフトウエア開発技術者を求めているが、未経験者を雇用すると生産性が出せるようになるまでの期間が長くなってしまうため、どうしても専門的スキルを有している人材となる」(ソフト受託開発、東京)、「顧客の秘められたニーズを掘り出し解決するためには、話が上手いかよりも、根底にある人柄をもとにした信頼関係が一番大事となる」(工業薬品製造、群馬)との声があるように、即戦力として業務に従事できる能力や、誠実で信頼できる人柄が求められていることが明らかとなった。
「新卒をメイン」に採用する企業の声
- 物事に対して素直さを有している人が良い。また会社はチームワークであることから、協調性を有しながら、自分の考えも凛としてある人材を欲している。スキルや技術は後からでも備わるものと考えている(水産練製品製造、福島)
- 求める人材像と実際に応募してくる人材には乖離があり、理想的な採用は難しい。しかし、応募者の中にも学歴や出身校ではなく、地頭力を持つ学生はおり、育てたいと思う学生に入社してもらうようにしている(ソフト受託開発、東京)
- 中小企業だと応募者が限られるので、入社後の「伸びしろ」に期待して採用している(界面活性剤製造、大阪)
- 望ましい人材像は、営業職と技術職で異なってくるが、新卒者との面談だけでは判断しにくいので、性格テストの分析結果を参考にしている(電子応用装置製造、大阪)
「中途をメイン」に採用する企業の声
- 金属プレス金型製作の技術を持った人物を探しているが、なかなか労働市場に放出されない(特殊産業用機器卸売、東京)
- 建設業の資格取得者、ITに強い人材を採用したく、Webのスカウト型採用を最近取り入れた(産業用電気機器卸売、東京)
- 若年層の人材不足感はさらに増えると予想。複数の店舗を有し年齢層も広い職場のため、コミュニケーション力や誠実性は不可欠と感じる(一般食堂、三重)
- 建設業に関する資格、施工管理技術者などを必要としている(内装工事、神奈川)
- キャリアと当該職種における知見や経験を尊重するため、ハローワークや人材紹介業などのルートを使って、求める人材の獲得のために尽力している(荷役運搬設備製造、群馬)
- 技術系社員の高齢化によって人材不足に陥っている(建設機械器具賃貸、大分)
本アンケートの結果、採用活動において企業が求めている人材像は、「コミュニケーション能力が高い」や「意欲的である」が4割超となった。企業規模別にみると、大企業で新卒採用メインの割合が高く、企業規模が小さくになるにしたがい中途採用メインの割合が増えている。また採用形態別では、新卒採用は入社後に仕事を覚えていくうえで必要な基本的な能力・資質が求められる傾向にある一方、中途採用では即戦力として必要な専門性が重要視されている。
人手不足を要因とした倒産が一部で発生するなど、人材不足による企業経営への悪影響が懸念される。少子化などによって若者を中心に人材の絶対数が減るなかで、優秀な人材を確保することは容易でないが、経営上の重要度は高い。そのため企業を安定的に運営し成長させていくうえで重要な資産である人材を、適切に採用し育成することがこれまで以上に肝要といえる。
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