欧州に押し寄せる難民危機 マケドニア経由の女性と子どもの難民 過去3カ月で3倍に 【プレスリリース】
着の身着のまま、数カ月間も移動を続ける子どもたち
※ 本信はユニセフ本部が発信した情報をもとに、日本ユニセフ協会が翻訳したものです。
※ 原文は、http://www.unicef.org/media/media_83057.htmlでご覧いただけます。
【2015年9月1日 ジュネーブ/スコピエ 発】
ユニセフ(国連児童基金)は1日、母国で蔓延する暴力から逃れ、欧州で難民としての認定を受けるため、マケドニア旧ユーゴスラビア共和国(以下、マケドニア)を経由する女性と子どもたちの人数が、過去3カ月間で3倍に上っていると発表しました。
難民となることを求めてマケドニアを経由する人々は、一日に推定3,000人。女性と子どもたちは現在その3分の1を占めており、その割合が10%であった6月から増加しています。さらに、それらの女性の約12%が妊婦です。
マケドニア内務省の発表によると、マケドニアを経由する難民のうち80%はシリアから、5%はアフガニスタンから、5%はイラクから逃れてきた人々です。
今年6月以降、5万2,000人以上が、ギリシャ入国を経て、ギリシャ国境付近にあるマケドニア南東部の都市ゲヴゲリヤに設置された、難民のための一時受け入れ施設で登録手続きを行いました。さらに、登録手続きを踏まずにマケドニアを経由している人々は、その同数程度いるとみられています。
多くの家族は、焼けつくような太陽の日差しに晒され、着の身着のままで、子どもを連れて数カ月間も移動を続けています。身体は疲弊し、休む場所を切実に必要としています。その多くが、脱水症状や風邪、下痢などを発症し、日焼けや靴擦れ、足裏の水ぶくれなどに苦しんでいます。
現地では、政府や国連機関、パートナー団体などが最善の努力を続けていますが、水や衛生施設がさらに必要とされています。心身に酷い苦痛を訴える人々も多く、なかには医療ケアを必要とする人もいます。
ユニセフは、貯水タンクやテントをマケドニアの首都スコピエに輸送しています。現在はペットボトルの水のみ提供されていますが、3万リットルの容量がある貯水タンクによって、この地を経由する難民の人々に安全な飲み水を提供することができるほか、洗い場が設置されるまでの間、その水を洗濯のため用いることもできます。また、72平方メートルのテントは「子どもにやさしい空間」の設置に用いられます。現在設置されている「子どもにやさしい空間」には、お絵かきや遊び、学びのための用具が揃っており、一度に50人の子どもたちを受け入れることができます。8月23日の設置以来、これまでに延べ1,200人の子どもたちを受け入れました。さらにユニセフは、ニーズが非常に高い子ども向けの食糧の調達も行っています。
国境を超える子どもたちは、その立場に関係なく、そして家族同伴か単独かの違いに関わらず、適切な支援と保護を受けられるべきです。国境付近で行われる子どもたちの難民認定への申請手続きは、適切な監視と法の施行のもと、迅速かつ適正に行われなければなりません。欧州の関係当局は、子どもの権利の保障と保護のために、既存の法と政策を適用すべきです。
ユニセフは現地の状況を注意深く監視しており、子どもたちの安全を守るため、現地当局との協力の下、支援活動を続けています。またユニセフは、あらゆる面において、移動を続ける難民の子ども一人ひとりの最善の利益を考慮して対応にあたるよう、引き続き呼びかけています。
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■参考情報
ユニセフは今年、欧州連合(EU)に向けて、10項目のプラン(10-point Plan)を提案し、難民・移民の子どもたちの最善の利益を考えた行動をとるよう求めました。
参考記事(英語):http://www.unicef.org/media/media_81876.html
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■ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。(http://www.unicef.org/)
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する36の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています
■日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国36の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 (http://www.unicef.or.jp/)
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