チェック・ポイント・リサーチ、2026年第2四半期のランサムウェアレポートを発表 AIがサイバー犯罪への参入障壁を下げ、ランサムウェアエコシステムが拡大
Qilinが4四半期連続で首位に立つ中、活動中のランサムウェアグループ数は93と過去最多に 攻撃の焦点はデータ暗号化からデータ窃取に移行
サイバーセキュリティソリューションのパイオニアであり、世界的リーダーであるチェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ(Check Point® Software Technologies Ltd.、NASDAQ: CHKP、以下チェック・ポイント)の脅威インテリジェンス部門であるチェック・ポイント・リサーチ(Check Point Research、以下CPR)は、2026年第2四半期のランサムウェアレポートを発表しました。2026年第2四半期、ランサムウェアによる被害は記録的な高水準で推移するとともに、攻撃の焦点がデータ暗号化からデータ窃取に移行していることが明らかになりました。また、ランサムウェアグループ「The Gentlemen」から流出した内部チャットの分析により、背後にある興味深い事実が浮かび上がっています。
2026年第2四半期の主な調査結果
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2,139件のランサムウェア被害を確認:データリークサイトの調査により、第2四半期には2,139件の被害が確認されました。第1四半期の2,122件からほぼ同水準である一方、前年同期比では33%増加しています。2025年以降、ランサムウェアによる被害は高水準を維持しています。
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過去最多の93ランサムウェアグループが活動中:Qilinが279件の被害を記録し4四半期にわたり首位に立ち、上位10グループが被害件数の57.6%を占めました。その一方で、活動中のランサムウェアグループ数は第1四半期の71から93へと大幅に増加し、より多くのグループによる活動の広がりが示されました。
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約9人の中核メンバーで世界トップ3規模のランサムウェア組織を運営:The Gentlemenのバックエンドシステムや内部チャットの分析から、同グループの中核が約9人のオペレーターで構成され、広範なアフィリエイトネットワークを活用して攻撃規模を拡大していたことが判明しました。
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AIでランサムウェア開発を加速し数カ月でトップグループに成長:The Gentlemenのチャット記録によると、同グループの管理者Zeta88はDeepSeekやQwenなどのAIコーディングツールを活用し、約3日間でランサムウェア管理パネルを構築していました。AIによる自律的な攻撃の実行は確認されていないものの、AIがサイバー犯罪に使用されるツールの開発を加速させ、高度な攻撃を実行する障壁を下げていることが明らかとなっています。
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データ窃取を重視する攻撃へ移行:第2四半期におけるランサムウェアの身代金支払率は、2019年の85%から約23%まで低下しています。一方、支払率の低下にもかかわらず、2025年のブロックチェーン上でのランサムウェア関連の支払総額は8億2,000万ドルを超えています。データの暗号化のみによる攻撃から、窃取したデータの公開を圧力として利用する恐喝手法が継続して主流となっています。
ランサムウェアエコシステムが拡大
第2四半期のランサムウェア情勢で特に注目すべきは、攻撃主体の裾野の広がりです。第1四半期には71グループが活動し、上位10グループが被害件数全体の71%を占めていました。第2四半期には活動中のグループ数が93に増加し過去最多となった一方、上位10グループが占める割合は57.6%に低下しています。
第1四半期にOracle E-Business Suiteを標的としたキャンペーンで大きな被害をもたらしたCl0pは、第2四半期にはほぼ姿を消し、その空白を埋める形で中堅グループが活動を拡大しています。Qilinは279件の被害を記録して4四半期連続で最多となり、The Gentlemenが僅差でそれに続きました。急拡大するThe Gentlemenの被害件数は62%増加し、6月にはQilinを上回っています。
こうした状況は、ランサムウェアが一部の大規模グループだけによって運営されるものではなく、より小規模なグループが参入し、その規模とは不釣り合いなほど大きな影響を及ぼし得る市場へと変化していることを示しています。従来、ランサムウェア攻撃の成功には高度な技術力や大規模なインフラ、人的リソースが必要とされていましたが、AIを活用した開発、Ransomware-as-a-Service(RaaS)モデル、専門化された犯罪サプライチェーンによって参入障壁が大幅に低下しています。


攻撃の焦点はデータの暗号化から窃取・恐喝へ
ランサムウェアの身代金支払率は、2019年の85%から年を追うごとに低下し、2026年第2四半期時点では約23%となりました。この低下の大きな背景にはバックアップ技術の進歩があります。しかしバックアップは暗号化による被害を緩和できる一方で、すでに窃取されたデータの公開を防ぐことはできません。そのため攻撃者は、データを暗号化する従来型の攻撃から、データを窃取して公開をちらつかせる「二重恐喝」型の手法や、データ流出そのものを主目的とした恐喝へと重点を移してきました。
この変化によって、防御側も新たな対応が求められています。組織はバックアップや復旧だけでなく、機密データの保護やデータ流出の検知も同等に重視する必要があります。また、脆弱性の公開から実際の悪用までの時間も、数週間ではなく数時間から数日へと短縮されつつあります。AIを活用したエクスプロイト開発の増加によって、攻撃者が組織によるパッチ適用よりも早く脆弱性を悪用する可能性も高まっています。
防御側に求められる「防止優先」のアプローチ
ランサムウェアの進化に対抗するには、侵害が発生した後の対応だけでなく、攻撃者が侵入する前の段階から対策する必要があります。The Gentlemenの事例では、VPNスキャン、ブルートフォース攻撃、認証情報ブローカーから入手した認証情報などが初期アクセスに利用されていました。こうした手法はランサムウェアエコシステム全体で広く用いられています。
組織は、フィッシングや漏えいしたリモートアクセス権限などによる初期アクセスを防止するとともに、悪用可能なエクスポージャーを特定・優先順位付けし、迅速に是正することが重要です。さらに、侵害が発生した場合に備え、ラテラルムーブメントやデータ流出を制限する対策も必要となります。
チェック・ポイントの脅威インテリジェンス担当ディレクターであるセルゲイ・シュキエヴィチ(Sergey Shykevich)は、次のように述べています。
「今四半期における最も重要な発見は、ランサムウェアの被害件数よりも、ランサムウェア攻撃への参入ハードルが劇的に低下している状況です。CPRが発見した証拠によって、小規模なチームであっても、AIを活用したツールやアフィリエイトネットワークの支援を受け、わずか数カ月でトップレベルのランサムウェアオペレーションを構築できることが明らかになりました。AIがソフトウェア開発とエクスプロイトの生成を加速させる中、今後も数多くの脅威アクターが出現し、過去に例を見ないほど活動スピードを速め規模を拡大していくことが予想されます。組織は、事後対応型のセキュリティモデルから、防止を最優先とするアプローチへと転換する必要があります。悪用されうるエクスポージャーの低減、認証情報や機密データの保護に注力するとともに、攻撃者がAIをより多く活用し、攻撃ライフサイクルのあらゆる段階で迅速化していくことを前提に対策を講じる必要があります」
本プレスリリースは、米国時間2026年8月13日に発表されたブログ(英語)をもとに作成しています。
Check Point Researchについて
Check Point Researchは、チェック・ポイントのお客様、脅威情報コミュニティを対象に最新のサイバー脅威インテリジェンスの情報を提供しています。チェック・ポイントの脅威インテリジェンスであるThreatCloud AIに保存されている世界中のサイバー攻撃に関するデータの収集・分析を行い、ハッカーを抑止しながら、自社製品に搭載される保護機能の有効性について開発に携わっています。100人以上のアナリストや研究者がチームに所属し、セキュリティ ベンダー、捜査当局、各CERT組織と協力しながら、サイバーセキュリティ対策に取り組んでいます。
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チェック・ポイントについて
チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ(www.checkpoint.com)は、世界各国の10万を超える組織を保護するグローバルなサイバーセキュリティのリーダー企業です。チェック・ポイントは、企業の安全なAIトランスフォーメーションの保護をミッションとして掲げています。防止優先のアプローチとオープンエコシステムアーキテクチャを基盤に、組織がリスクを低減し、業務を簡素化して、自信を持ってイノベーションを推進できるよう支援します。チェック・ポイントの統合セキュリティアーキテクチャは、進化する脅威や拡大するAI攻撃対象領域に継続的に適応し、ハイブリッドネットワーク、クラウド環境、デジタルワークスペース、AIシステムを保護します。4つの戦略的柱であるハイブリッドメッシュネットワークセキュリティ、ワークスペースセキュリティ、エクスポージャー管理、AIセキュリティを軸に、チェック・ポイントは複雑なマルチベンダー環境全体にわたり、一貫した保護と可視性を提供します。チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズの全額出資日本法人、チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ株式会社(https://www.checkpoint.com/jp/)は、1997年10月1日設立、東京都港区に拠点を置いています。
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