NTT西日本が“声の権利”を守り、“声の価値”を高める音声AI事業「VOICENCE」を開始
~”公認AI“により、AI音声の健全なビジネス活用を促進する仕組みを構築~
NTT西日本(代表取締役社長:北村亮太、以下NTT西日本)は、声優・俳優・アーティスト・芸人などの実演家の声の権利を守り、声の価値を高める音声AI事業「VOICENCE(ヴォイセンス)」を2025年10月27日(月)より開始いたします。機動力を持って事業を進めるため、社内独立組織「VOICENCEカンパニー」(事業責任者/CEO:花城高志)を設置し、「声の権利」の社会的課題解決と“声の経済圏”の創出をスピーディに実現してまいります。

■コンテンツ産業の成長を加速する「声」の可能性
近年、映像・音楽・アニメ・ゲームなどを含むジャパンコンテンツ市場は、世界的に高い評価を受けながら成長を続けており、経済産業省の調査によると国内コンテンツ産業の市場規模は約17兆円、海外売上は過去10年で約3倍に拡大しています。2024年6月に内閣府により発表された「新たなクールジャパン戦略」でも基幹産業として位置づけられました。NTT西日本はこの巨大なジャパンコンテンツ産業の中にある「声」という資産が新たな価値を生み出すことを推進し、音声市場の1兆円規模の拡張、コンテンツ産業のさらなる成長へ貢献したいと考えています。
■「声の権利」を守り、収益化へつなげる仕組みを構築
生成AIの普及に伴い、「声」の無断利用やフェイク音声の拡散が社会問題化しています。しかし日本では、肖像権やパブリシティ権の一部でしか対応できず、「声の権利」を直接保護する規定は存在しません。こうした状況下で、エンターテインメント業界やクリエイターからは「権利を守りながらAIを活用する仕組み」を求める声が急速に高まっています。その背景には、実演家の活動領域はグローバルに広がる一方で、無断生成や不正利用によるブランド毀損・機会損失が拡大している実態があります。
そこでNTT西日本は、この課題を事業機会と捉え、新事業「VOICENCE」を開始します。本事業は、AI音声合成と独自の権利保護技術を組み合わせ、「実演家から提供された音源データ」「それを学習させ生成したAI音声モデル」「そこから作成したAI音声およびコンテンツ」といった音声に関連する知的財産を”音声IP”として保管・管理するプラットフォームを構築します。これにより、声を守ると同時に、声を正しく活用し、経済・社会に新たな価値をもたらす正規ライセンス市場を整備することで、企業やクリエイターによる健全な”音声IP”の活用を促進いたします。
■VOICENCEとは(声の権利を守り、収益化へつなげる仕組み)
NTT人間情報研究所の音声処理技術を活用し、テキスト入力により実演家の声色のままAI音声合成および多言語変換いたします。それら”音声IP”をNTT西日本が独自開発したトラスト技術を活用してライツマネジメントを行うとともに、企業のブランディングやプロモーション、観光向けディスティネーションコンテンツ、海外ファン向け多言語配信など多彩な音声コンテンツおよびソリューションの企画・制作・運用まで一貫してプロデュースいたします。実演家の収録稼働の制約を受けずにバリエーションを創出できるため、生活者とのインタラクティブなタッチポイントを拡大しながらその収益をIPに還元することで、ライセンサーの収益機会を広げます。
【VOICENCEの由来】
声の権利を守る「License(ライセンス)」と声の本質的な価値「Essence(本質)」を、声=Voiceに宿した造語です。
■事業開始日と提供エリア
開始日:2025年10月27日(月)
提供エリア:全国
■VOICENCEの担う役割と特徴

当カンパニーでは、NTTのテクノロジーを組み込んだ「VOICENCEプラットフォーム」を構築し、コンテンツプロデュース事業を展開いたします。実演家に対しては①音声IPライツマネジメント機能を提供し、音声IPを活用するクライアント企業に対して②音声コンテンツ企画・制作機能を担います。
①音声IPライツマネジメント機能
「実演家に正式に許諾された公認AI」の真正性証明と契約に紐づく用途証明のデータが付与された”音声IP”を、安心して運用できる仕組みを提供いたします。これにより実演家の声のデジタル資産化を促すことで、稼働に制限されない持続的な収入源の確保と、ファンとの接点強化を支援します。
特徴: 真正性証明「トラスト技術」
VOICENCEにて保管・管理される”音声IP”には、真正性を証明するデータが付与されており、無断生成された音声データと区別できることが特徴です。真正性証明技術にはパブリックブロックチェーンとVC(Verifiable Credentials)を活用しており、分散型台帳による改ざん耐性を確保した【データ真正性】と、階層型VC※1によるデータの親子関係を記録し追跡できる【トレーサビリティ】、利用許諾や条件など契約内容等【用途証明】を組み合わせて、NTT西日本が独自で開発した「トラスト技術※2」を採用しています。なお本技術は、2025年度NEDO懸賞金活用型プログラム「GENIAC-PRIZE」領域03のトライアル審査にて採択されました。(参考:GENIAC-PRIZE<NEDO懸賞金活用型プログラム>)
※1:NTTテクノクロス社の特許技術を採用 ※2:NTT西日本にて特許出願中

②音声コンテンツ企画・制作機能
クライアントのニーズに応じて、最適な音声IPのキャスティングから企画・制作・運営まで、音声にまつわるソリューションやコンテンツを一貫してプロデュースいたします。
特徴:話者の声の印象や口調を高精度で再現し、多言語変換も可能な音声処理技術
数秒から数分程度の声をインプットすることで、本人の声の性質や話し方の特徴が再現可能なAI音声合成技術に加え、「音声印象制御技術」により話者の声色を保ったまま印象や口調を変換することができます。それにより表現力の高い音声コンテンツの制作が実現いたします。また、「クロスリンガル技術※」により話者本人の声色のまま、多言語に変換しての出力も可能です。現在は、日本語、英語、中国語、韓国語、フランス語、スペイン語の6ヵ国語に対応しています。
※NTT人間情報研究所が開発した、話者の声質を損なわずに一言語の音声から多言語の合成音声を生成できる技術
■コンテンツプロデュース事業における提供価値
1.音声ブランディングによるブランド価値の最大化(B2C企業/ブランドなど)
ブランド人格を「声」で表現します。すべてのタッチポイントを同じ声にすることで、ブランドへの愛着形成が促進されます。印象の統一による想起率の向上や、音による”ながら時間“へのリーチも期待できます。
2.パーソナライズ体験やライブツーリズム体験拡大によるファンエンゲージメント強化(プロモーター/プロダクションなど)
「名前を呼んでくれるボイスメッセージ」のようなパーソナライズ体験も可能になります。ライブ会場付近の観光促進として、アーティストによる地域紹介の音声ARなど、インタラクティブなコミュニケーションによりエンゲージメントを向上します。
3.グローバル展開の参入障壁を下げ、市場拡大を加速(海外ビジネス事業者)
クロスリンガル技術により、アニメやドラマ・舞台など映像コンテンツのグローバル展開の機会を広げます。また、インバウンド需要の高まりを背景に、訪日旅行客の観光促進や商品プロモーションにも活用可能です。
これらの社会的価値と経済的価値の提供を通じて、3年目に売上10億円、5年目に100億円規模の事業成長をめざします。
【VOICENCEパートナー(敬称略)】※2025年10月現在(公開許諾パートナーのみ記載)
VOICENCEに「声」をお預けいただいているパートナーのみなさま




実演家のみなさまが大切にされている世界観やブランド価値を尊重し、利用希望者のブランドや企画、シナリオの適正、品質といった様々なフェーズで確認・合意を重ねることで、AI活用における透明性・コンプライアンス・ファン視点を大切にしたコンテンツを提供します。業界全体の「声の権利を守り、正しく活用するルールづくり」に貢献してまいります。
■VOICENCEがめざす姿
VOICENCEがめざすのは、“声の真正性が担保されたAI音声コンテンツ”のデファクトスタンダード化です。
トラスト技術による証明データやログを、ステークホルダーからの要求に応じて提供することで、誰もが正当に声の権利を行使できる社会基盤の整備をめざします。音声コンテンツの保護に関する事例を蓄積していくことで、社会的な抑止力を育みながら市場における「声の権利」への認識定着を図ります。
あわせて、声の権利研究をリードしているNTT社会情報研究所と連携し、同所が創出した研究成果である声の権利を保護し適切に扱うための解説資料を活用することで、法的・社会的に声の権利保護を促進していきます。また、知的財産権を専門とする法律家、行政・業界団体、アカデミアなど、有識者の皆さまと連携しながら、ルール整備と運用基盤の構築を進めていきます。
VOICENCEカンパニーは、こうしたルールに準拠したサービスを提供することで、AI音声の信頼基盤を社会に実装します。これにより、多くの実演家・企業・クリエイターが、より自由かつ安全にAI音声ビジネスへ参入できる環境を整え、“声の経済圏”の創出をめざします。
■事業責任者コメント:カンパニー長/CEO花城高志
NTTは、電話から始まった企業です。創業以来ずっと、声によるコミュニケーションを大切にしてきました。声には、力があります。感情を伝え、人を動かす力があります。その「声の原点」に立ち返り、AIという新しい技術で、人と人をつなぐ価値を、新しい形で進化させる。それが、VOICENCEです。“声”の体験を文化に、価値を経済に。声を通じて、社会と産業の新しい循環を生み出していきます。日本から、世界の音声業界を創造する。この挑戦を、皆さまと共に広げていきます。

■カンパニー概要
組織名:NTT西日本 VOICENCEカンパニー
責任者:カンパニー長/CEO 花城 高志
本社所在地:大阪市都島区東野田町四丁目15番82号 QUINTBRIDGE 3F
事業開始日:2025年10月27日
事業内容:コンテンツプロデュース事業
■本件に関するお問い合わせ先
NTT西日本 ミライ事業共創室 担当:大西
MAIL:voicence_info-ml@west.ntt.co.jp
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