10月の食品値上げは今年最多の6700品目 値上げ率は年内2番目の高さ 値上げラッシュは10月にピークアウトも予断許さず
「食品主要105社」価格改定動向調査(10月)
帝国データバンクは、上場する食品メーカー主要105社における価格改定動向について調査を行った。
<調査結果(要旨)>
10月は年内値上げのピークに 値上げ6700品目は今年最多規模
値上げ率平均のうち、10月単月では16%に達した。8月の18%に次ぎ、既に値上げが済んだ1~9月を含めた年内10カ月のなかでは2番目に高い水準だった。春先から続く小麦や食用油価格の上昇に加え、原油高に伴う包装資材や容器、物流費の高騰、今夏から急速に進行した円安水準などが重なり、食品分野を問わず大幅な価格アップに踏み切るケースが多かった。
乳製品で11~12月に値上げ相次ぐ 生乳価格上昇でパック牛乳など対象
各食品分野のうち、値上げ品目が増加したのは乳製品(985品目)で、前月から285品目増加した。パック牛乳などのほか、ヨーグルトやスライスチーズ、乳幼児向けの粉ミルク製品などを中心に価格が引き上げられる。輸入飼料の価格高騰などを背景に、飲用・発酵乳用途向けの生乳取引価格が11月以降引き上げられるほか、ホエイなど輸入原料乳価格の上昇も背景にある。
輸入小麦・原油価格など主な値上げ要因は沈静化の兆し、電気代など新たな値上げ要因に注目
帝国データバンクの試算では、これまでの食品値上げによって少なくも1世帯当たり年間7万円の負担増となるなど、家計への影響が深刻化しつつある。こうしたなか、足元では、政府による輸入小麦価格の据え置きに加え、下落が続いたドル円相場に対する政府介入、景況感の原則により下落が予想される原油価格など、今年の主だった値上げ要因に沈静化の兆しがある。そのため、パンなど小麦価格高騰が反映された春先の「値上げラッシュ」再来は当面の間回避できる可能性が高く、年内の値上げは10月を最後に一旦はピークアウトするとみられる。
一方、10月から大幅な価格引き上げが予定される電気・ガス代に加え、飼料価格の上昇による生乳価格の引き上げなど新たな値上げ要因も出始めている。特に電気・ガス代については「これまでの価格転嫁には含まれていない」といった企業もあり、今後の値上げ動向を左右するカギとなりそうだ。円安水準や原油価格なども現状からバランスが大きく崩れた場合、来年以降に再び断続的な「値上げラッシュ」が到来する可能性は否定できず、しばらくは予断を許さない状況が続く。
- 10月は年内値上げのピークに 値上げ6700品目は今年最多規模
- 乳製品で11~12月に値上げ相次ぐ 生乳価格上昇でパック牛乳など対象
- 輸入小麦・原油価格など主な値上げ要因は沈静化の兆し、電気代など新たな値上げ要因に注目
10月は年内値上げのピークに 値上げ6700品目は今年最多規模
「値上げラッシュ」が今年最大の山場を迎える。上場する主要飲食料品メーカー105社における、2022年以降の価格改定計画(値上げ、実施済み含む)を調査した結果、9月末までに累計2万665品目の値上げが判明した。このうち、10月単月の値上げは6699品目となり、前月(9月:2424品目)からは2.8倍、これまで年内最多だった8月の2.6倍と記録的な値上げとなる。先月までに値上げされた1万3066品目と合わせ、年内に値上げが予定・計画された2万665品目の9割以上が、10月までに値上げを終える。各品目の価格改定率(各品目での最大値)は平均で14%に達し、原材料高や急激に進んだ円安を反映した夏~秋以降の大幅な価格引き上げが、全体の値上げ率上昇を招く要因となった。
値上げ率平均のうち、10月単月では16%に達した。8月の18%に次ぎ、既に値上げが済んだ1~9月を含めた年内10カ月のなかでは2番目に高い水準だった。春先から続く小麦や食用油価格の上昇に加え、原油高に伴う包装資材や容器、物流費の高騰、今夏から急速に進行した円安水準などが重なり、食品分野を問わず大幅な価格アップに踏み切るケースが多かった。
乳製品で11~12月に値上げ相次ぐ 生乳価格上昇でパック牛乳など対象
食品分野別に値上げとなった品目をみると、最も多いのは加工食品で年内8530品目が判明した。前月から増減はなかったものの、全品目のうち最多の約4割を占め、1万品目に迫る規模となる。値上げ率も平均で16%に達し、特に秋以降にかけて大幅に値上がりする食品が多くみられた。調味料では4808品目となり、前月から157品目の値上げが新たに判明した。特に食用油の高騰を背景に、マヨネーズ製品やドレッシング製品などの複数回値上げが目立つ。酒類・飲料(3970品目)は、ビール類や焼酎、炭酸飲料や缶コーヒーなどほとんどの飲料が一斉に値上げされる10月に2991品目が値上げとなり、10月全体の4割超を占めた。
各食品分野のうち、値上げ品目が増加したのは乳製品(985品目)で、前月から285品目増加した。パック牛乳などのほか、ヨーグルトやスライスチーズ、乳幼児向けの粉ミルク製品などを中心に価格が引き上げられる。輸入飼料の価格高騰などを背景に、飲用・発酵乳用途向けの生乳取引価格が11月以降引き上げられるほか、ホエイなど輸入原料乳価格の上昇も背景にある。
輸入小麦・原油価格など主な値上げ要因は沈静化の兆し、電気代など新たな値上げ要因に注目
帝国データバンクの試算では、これまでの食品値上げによって少なくも1世帯当たり年間7万円の負担増となるなど、家計への影響が深刻化しつつある。こうしたなか、足元では、政府による輸入小麦価格の据え置きに加え、下落が続いたドル円相場に対する政府介入、景況感の原則により下落が予想される原油価格など、今年の主だった値上げ要因に沈静化の兆しがある。そのため、パンなど小麦価格高騰が反映された春先の「値上げラッシュ」再来は当面の間回避できる可能性が高く、年内の値上げは10月を最後に一旦はピークアウトするとみられる。
一方、10月から大幅な価格引き上げが予定される電気・ガス代に加え、飼料価格の上昇による生乳価格の引き上げなど新たな値上げ要因も出始めている。特に電気・ガス代については「これまでの価格転嫁には含まれていない」といった企業もあり、今後の値上げ動向を左右するカギとなりそうだ。円安水準や原油価格なども現状からバランスが大きく崩れた場合、来年以降に再び断続的な「値上げラッシュ」が到来する可能性は否定できず、しばらくは予断を許さない状況が続く。
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